石原都知事による都立4大学の廃止に断固反対し、大学の自治と
  地方自治の本旨に基づき、真に発展的な大学改革を進めるよう
  強く要求する決議

 2003年8月1日、石原知事は、問題点は多々あるが、様々な論議と検討を重ねてきた都立4大学(都立大学・科学技術大学・保健科学大学・都立短期大学)の大学改革案を唐突に破棄し、新大学構想を発表した。また、その発表の仕方も一方的なものであり、当事者である総長や学長には発表1時間前に説明をしたのみで、学生・院生を含め他の大学構成員には、まったく寝耳に水の話であった。このやり方は、石原知事が自治体首長の大学設置権限を踏み越えて、現にある都立4大学を一方的に廃止してしまう、ものであり大学の自治を乱暴に踏みにじる民主主義の破壊行為である。
 新大学構想は定員・予算などが大幅に削減され、教授会から人事権やカリキュラムの編成権限が奪われるなど大学自治をさらに形骸化しようとしている。人文学部では英・国・仏・独・中文学科がなくなるなど他の学部に比べて極端に削減され、大学院の設置に必要な教員定数を満たすことも難しく、将来入学する学生・院生への教育はおろか現行の研究・教育水準を維持することさえできない情況になる恐れが濃厚である。また、教員については、任期制・年俸制などが提示される一方、雇用の継続については一言も触れられていない。大幅な教員定数の削減により過員状態が見込まれ、事実上の選別がおこなわれる危険性が高まっている。開設準備は、当事者である現大学の代表者の関与を排除して、大学管理本部により一方的に進められており、7月に成立した地方独立行政法人法の付帯決議「大学の自主性・自律性を最大限発揮しうるために必要な措置を講じなければならない」を完全に無視するものである。また、自治体の首長が個人的信念に基づき、教育・研究の当事者を排して、大学を根本から改造することは、教育基本法第10条で禁止されている「不当な支配」そのものであり、憲法、法律、国会審議をもまったく無視した暴挙である。
 我々は、これまで築き上げてきた都立4大学の教育・研究の歴史と財産を台無にしないよう、都民の学術における資産を守り、未来に禍根を残さないために、石原知事の「大学改革」に断固反対する。また、我々は、教職員・学生・院生など全ての大学構成員が主体となる真の発展的な都立4大学の改革を、大学の自治と地方自治の本旨に基づき、広く都民の積極的な参加を求めて進めるよう強く要求する。

  2003.11.29 
        2003年全国公設試験研究機関職員連絡会 埼玉集会