2003組発第16号
                                         2003.12.3

東京都労働組合連合会
 執行委員長 増 渕 静 雄 様

                           東京都立大学・短期大学教職員組合
                              中央執行委員長 山 下 正 廣

都立の大学の法人化に伴う賃金条件等について

日ごろのご指導に感謝申し上げます。
 さて、都当局は、都立の4大学(都立大学、科学技術大学、都立短期大学、保健科学大学)を2005年(平成17年)4月をもって独立行政法人(公立大学法人)化する検討を進めています。この法人は当局自身が言明している通り「移行型独立行政法人」です。
 大学管理本部は東京都立大学・短期大学教職員組合に対して、11月19日に別紙の「新大学の教員の人事・給与制度(任期制・年俸制)の概要について」の説明をおこないました。法人化後の大学教員の人事・給与制度についての考え方の概要を示したものです。
 今回示された当局の考え方は、「旧制度」と「新制度」のどちらかを選択できるという装いをこらして、任期制や年俸制を一方的、一律に導入したのではないように見せかけようとしています。しかし、当局の考え方に示された、任期制・年俸制をとる「新制度」はもとより、「旧制度」と称するものも定年まで昇給も昇任もなしとしており、現行の制度とはまったく異質なもので、二つの新しい制度が示されたというべきです。
 とりわけ重大なことは、「旧制度」を選択した場合、どんなにまじめに勤務し業績をあげても昇給や昇任がないことで、これは社会通念上からも許されるものではなく、また、「一般地方独立行政法人の職員の給与は、その職員の勤務成績が考慮されるものでなければならない。」という、地方独立行政法人57条第1項にさえ、明らかに違反するものです。当局は、きわめて劣悪な人事・給与制度を示すことによって、結果的に任期制や年俸制を選択せざるを得ないように作為的に誘導しています。
 その「新制度」も、評価基準も評価主体も不明で恣意的な運用の危険が強く、精密な議論をするためには、具体的な給料モデルを示させる必要がありますが、最終的には、「適切な人件費率」によって、給料の総額を管理するのですから、誰かが多くとれば、他は下がる仕組みになっており、とくに若年層に不安定な勤務・給与条件を押し付けるものです。
 このように、当局のいう「旧制度」も「新制度」も、人事・給与制度として明らかに現行の人事制度と賃金体系を根本的に改悪するものです。法人化に際してこのような人事・給与制度を許すことになれば、今後予想される都の種々の部門の法人化における悪しき前例となりかねません。
 東京都立大学・短期大学教職員組合は、都労連に対して、8月11日及び10月31日に「都立の大学の法人化に伴う賃金条件等の交渉について」要請を行いました。法人化に伴う身分保障・賃金・労働条件等の交渉については、まず都労連が東京都当局との間で交渉事項の明確な整理を行った上で、進める必要があると考えております。
 つきましては、下記の点について、交渉の場で東京都としての見解を明らかにするよう、お取りはからいください。
 
                             記

@新大学は移行型地方独立行政法人として設立される以上、労働条件の一方的な不利益変更は許されない。円滑な法人への移行のために最低限、基本的な賃金・労働条件は維持されるべきと考えるが、当局の見解を明らかにされたい。

A任期制は、職員の雇用条件の基本的変更であると考えるが、当局の見解を明らかにされたい。

B「地方独立行政法人への移行等に際しては、雇用問題、労働条件について配慮し、関係職員団体又は関係労働組合と十分な意思疎通が行われるよう…」との、国会付帯決議は尊重されなければならないと考えるが、当局の見解を明らかにされたい。