“学生が不安に感じるのは都立大学の総長、教員が学生に十分説明していないから”
“「移行型独立行政法人」で大学設置申請は教員審査を省略”−大学管理本部答弁   
     ―11月13日都議会文教委員会大学管理本部関係傍聴記―

1.日時 11月13日(木)14:28〜17:38(途中休憩2回15分間)
2.場所 都議会第3委員会室
3.議題(質疑)
(1)事務事業について
4.質疑の状況
(1)質問者
  5会派7人(自民2、公明2、共産1、生活者ネット1、自治市民1)
(2)答弁者
  大学管理本部飯塚管理部長、大村改革推進担当参事、宮下調整担当参事
(3)状 況
管理部長 (あらかじめ要求のあった事項についてまとめた配付資料について説明。資料は、「検討の経緯(新構想前、新構想以降)」、「意見等(企業経営者ヒアリング、都立の大学の学生の意見)」、「教員授業コマ数」、「助手の人数(大学別・在職年数別)」、「社会貢献の事例(社会との連携、研究成果の活用、教育的サービス)」、「司法制度改革)法科大学院、全国の状況)」、「科学技術大学費の推移」、「各大学施設開放の状況」)

遠藤委員(自民) 平成12年度外部監査で少人数教育を見直すべきとされているが、新しい大学では教員一人あたりどの程度の学生数にするのか?

改革推進担当参事 外部監査時点では都立の大学全体で教員一人あたりの学生数は、10.9人で、私立大の平均35人に比べ著しく少ない状況であった。新しい大学では、15人程度にしたい。

遠藤委員(自民) 前回の委員会で人文は教員一人あたり学生数が4.6人と管理本部から説明があったが、人文学部長は、マスコミ等で人文は全学の語学や教養科目を担当しているので、学部の学生数だけで比較するのはおかしい、と反論しているがどう考えるか?

改革推進担当参事 4.6人は単純に学生数を教員数で割った数であるが、教養科目を考慮して試算しても5.7人であり、いずれにしても少ない人数にかわりはない。

遠藤委員(自民) 外部監査は収支構造の改善をするようにとしているが、これはどうするのか。

調整担当参事 地方独立行政法人では発生主義会計をとる。外部評価、アウトソーシングによる改善をはかる。また知事は経営にすぐれた理事長をすえるとしている。

遠藤委員(自民) 理事長、学長は誰が決めるのか?

調整担当参事 地独法では理事長は知事が任命し、学長は学長選考機関の選考に基づき理事長が任命するとなっている。ただし、法人設立後最初の学長は定款の定めるところにより、理事長が任命することになっている。定款には、知事の指名に基づき、理事長が任命する旨規定する予定である。

遠藤委員(自民) 学長、理事長予定者が新大学設立前から新大学の検討に加わるべきだと思うがどうか?

調整担当参事 設立前から参加してもらうつもり。8月1日以後、経営準備室、教学準備委員会を設けた。予定者に入ってもらう。できるだけ早く決定したい。

遠藤委員(自民) いつ決まるのか?

調整担当参事 知事には腹案もあるようだが、相手の都合もある。できるだけ早く決めたい。

遠藤委員(自民) 時間がないので、理事長予定者、学長予定者を加えた検討体制を早く整えてほしい。3つの校舎増設の状況はどうなっているのか。

改革推進担当参事 文系は着工している。理工は年明けに契約し、年度内に着工予定である。

遠藤委員(自民) 新構想ではキャンパス配置を見直しているが、施設整備に影響はないのか。

改革推進担当参事 教養教育は南大沢で行うので、2つの校舎建設は変更ないが、先端科学についてはシステムデザイン学部が日野で行うことや都心展開などから先端科学の校舎建設は必要なくなった。

遠藤委員(自民) 先端科学の校舎建設はしないということだが、新大学の施設整備はそれで大丈夫なのか。 

改革推進担当参事 先端科学系校舎の建設は取りやめて、計上されている予算の扱いについては、財務当局と相談したい。ただ、日野キャンパスについては、従来、学生がいない構想だったが、システムデザイン学部がおかれることになったので、耐震補強を含めて検討していく。

遠藤委員(自民) 依然として学生から不安を訴える文書が届いている。学生に不安を与えないためにどのような措置を講じているか?

改革推進担当参事 学生への説明は本来、各大学の教員が責任を持って行うべき。ところが、都立大学の一部に職責を果たしていない教員がいるために、学生が動揺しているのではないかと思っている。今月からはより具体的な内容について学長名の掲示をしている。なお、今回、科技大、保科大ではわかりやすい掲示を考えて掲示したり、教員から学生に説明が行われているのに対して、都立大学では大学管理本部からの通知を総長名の伝聞(?)による掲示をしただけで十分な対応がない。 

遠藤委員(自民) 都立大の理解を得られていないというが、努力をして不安をなくすようにしてほしい。

野上委員(公明) 私のところにも大学院生や教員からからファックスやメール、手紙などが厚さにして10センチくらい来ている。学生は情報が少ないので不安を持っている。8月1日に新しい方向が示された。新大学が目指すもの、都が設置する意義、都民への還元、人材育成についてどう考えるか?

改革推進担当参事 新しい大学は使命を「大都市における人間社会の理想像の追求」とし、「都市環境の向上」、「ダイナミックな産業構造を持つ高度な知的社会の構築」、「活力ある長寿社会の実現」の3つをキーワードにして大都市に密着した教育研究を目指していきたい。

野上委員(公明) 次の時代を切り開くものであってほしい。入試偏差値偏重ではない目的意識をもったものを求める。以前、東村議員が聞いたが、新大学の入試は?

改革推進担当参事 一般選考だけではない、ゼミナール入試、AO入試などをいれる。

野上委員(公明) 各学部の構成、教育内容は?

改革推進担当参事 コース制をとり柔軟に学べるようにしたい。単位バンク制をいれる。

コース等の設計については都立の大学の教職員に入ってもらってやっている。

野上委員(公明) 教員定数はどういう考えで決めていくのか。 

改革推進担当参事 各学部の教育研究に必要な教員を配置していくという考えのもとに経営的視点も含めて教員一人あたりの学生数の適正化をもはかっていく。文学系は全学の基礎・教養教育をおこなっているという事情はあるが、教員一人あたりの学生数が他大学などに比べて極端に少ない。そのため、新大学においては経営の観点から見直していく。新大学は国際文化コースに文学系専門科目を置く。

野上委員(公明)  国際文化コースに歴史、哲学、5つの語学を置くのか?

改革推進担当参事 文化・文学その他を置く。アジアの文化を中心としたい。文化を総合的に学ぶものとする。語学の教員はセンターに配置する。

野上委員(公明) 学部に学生が学びたい語学の先生がいるのか? ニーズにこたえられるか?

改革推進担当参事 語学は全学的に措置する。国際文化には文化、文学、哲学などを置く。全部の語学を置くというというわけではない。

野上委員(公明) 大学院との一体性について、検討状況は?

改革推進担当参事 新しい大学院は平成17年に今の構成で設置し、18年に新しい大学院に再編成(ママ)する。そのため、外部の専門家、都立の大学の先生に検討してもらっている。

野上委員(公明) 学生の学習環境はどうなる? 蔵書が処分されるのではないか、教育のための経費がなくなるのではないかなどの不安があるようだ。また院生が勉強するスペースは設けるのか?

改革推進担当参事 教育研究に必要なものは措置する。法人化後の予算措置となる。学習スペースは、新校舎に学生の自由に使えOA機器をいれたスペースを作る。

野上委員(公明) インターネットを使えるようにしてほしい。「大綱」に比べ、新大学構想は理念が明確になっている。今の在学生の教育はどのように保障されるのか? 具体的措置は?

改革推進担当参事 学部や大学院の課程修了まで責任をもつ。平成22年までいられる。来年度入学者も7年(中期計画の期間)いられる。できるだけ早く人材を社会に出す。都立大学だけ、規定年限を超過した学生がいる。学業不振にならないように指導していく。それでもだめなら新大学へ転入させるなど次善の措置を検討し、責任を持っていく。

野上委員(公明) 卒業させることが重要。セーフティネット(新大学への転入など)を準備してほしい。

曽根委員(共産) 人文の教員一人あたりの数字は5.7人というが、授業時間数を基に計算すると人文は9.9人である。法学は11.7人、経済13.9人、理学8.1
人、工学8.6人、平均9.5人だ。授業をもつ数などを基準に割り出すべきだ。

改革推進担当参事 設置基準上の必要数などからすると5.7人となる。上智大学は19.1人。全国的にみて少ない。

曽根委員(共産) この点は次回確認する。前の議会で本部長は「誰が反対しているのかわからない」と述べた。最近、声明、院生の要請、学生の声などがたくさん寄せられている。11月1日に「都民の会」も立ち上がった。自治会のアンケート(新大学時に在学するであろう現在の1・2年次生2315人中1218人回答)によれば、新大学構想には学生の意見が反映されていないという声が86.9%である。学生の声を聞いているというが、何か対処を考えているのか?

改革推進担当参事 それは新聞で見た。都立大においては、大学から学生に情報が十分伝わっていないので当然不安がでるだろうと思った。

曽根委員(共産) 大学の先生は信用できないという。それでは、大学管理本部自身の情報提供はどうなのか?

改革推進担当参事 教学準備委員会の方針を伝えている。大きな方針をこちらで出している。都立大の掲示はそっけないし、一部を切り取って貼っている。

曽根委員(共産) やはり管理本部自身は学生に説明する気はないようだ。管理本部の調査では、都立大入学の動機について、学費が安い、志望する学部・学科があるなどの声が多いが、議員に配布された資料は、「学生の面倒見がよくない」などの意見がのせられ恣意的だ。アンケートでは専門を学びたいという声が多いのに、都市教養では広く浅くなってしまうではないか。

改革推進担当参事 一般的に、新しい大学を作るという観点で意見を集約した。現在の大学は残すのである。必ずしも声の大小では判断していない。

曽根委員(共産) 数の問題ではないという。結局都合のいいところを切り取っている。都民の声、受験産業の意見は?

改革推進担当参事 受験産業も、現在は「複雑怪奇」(ママ)な時代なので学際的に学びたい、柔軟に学びたいという声が多いという。

曽根委員(共産) 10月28日の進路指導協議会の大学見学会で、現場の教師から「なぜ全て『都市』という冠がつくのか、これでは大都市に関することしかやらないと思われ、都立大で積み上げられてきた学問の蓄積が曲解されてしまうではないか」などの不安や批判の声が出たことを知っているか?

改革推進担当参事 これには部下が行っているが、不安や不満ではなく、ニュアンスが違う。

曽根委員(共産) このことについては、次回またやるので資料があれば出してもらいたい。新大学構想は学生の声だというが、単に知事の理想ではないか?都立大の社会的評価はどうなっているか?

改革推進担当参事 先ほどの件(10月28日の大学見学会)についてであるが、説明は16年度入試についてであり、私どもの職員は先ほど委員が言ったようなことは聞いていないということである。社会的評価については、受験は難関だが、社会的認知度は低い、また出口では問題があり、卒業後がはっきりしないといわれている。

曽根委員(共産) 『ダイヤモンド』誌では、科研費の伸びがこの5年で200%と第1位であり、少人数教育の方が高く評価されている。また資格取得などの総計も全国で15位だ。『ネーチャー』に掲載された都立大出身者がアメリカに行ってしまった。彼は少人数教育を高く評価しているが、改革で研究時間を割かれてしまうので出て行った。今の都立大のいいところを守るべきだ。

改革推進担当参事 研究者は都立大を評価しているかもしれない。しかし就職が不安という声がある。大学の使命は研究者養成だけではない。社会に出る人材(学部、修士)が重要だ。

曽根委員(共産) 都立大は研究者を目指すよい環境がある。研究者をめざすのも、大学としてのひとつのあり方だ。ビジネス向けもよいが、実学重視では、知的リーダーを失う。最近問題となった中国での留学生の件があるではないか。学生の条件の保障について、平成22年で打ち切りというのは問題で、17年に入ったら7年しかない。留学していたら帰る場所がない。荻上前総長は学生、院生の身分は保障するといっていたというが、それと食い違うではないか。

改革推進担当参事 22年度で打ち切るのは今の大学である。17年度新大学入学生はそのまま22年より先いられる。院生で7年以上いるのは7名。その間指導してもらって、それでもだめなら新大学で受け入れる。荻上総長はB類のことをいっていたはずだ。

曽根委員(共産) 指導教員がいなくなっていくのは、学生、院生にとって決定的。改革のために教員がいなくなっていくのは問題だ。留学生からも、自分の研究を全うできず帰国ということになるのでは、と不安が寄せられている。

改革推進担当参事 新大学のコンセプトに賛同できる教員は全員移行する。指導はできるはず。途中で退職する人はいるだろうが、これはどこでもあり、まわりでフォローするべきだ。

曽根委員(共産) 都立大は半世紀かかってここまでになった。これが知事とそのまわりの数人の人により壊される。新大学が今の知的財産にふさわしいものとなるのか?レールを敷き直して、総長をはじめとして参加させた論議が必要。この前、科技大を見学した。大変立派であり本当に統合が必要なのか疑問をもった。

山口委員(生活者ネット) こうした大きな転換が非民主的になされている。学生などの声明、質問に回答しているのか?

改革推進担当参事 所属の大学を通じて周知してほしいといっている。大学が周知していないのだ。

山口委員(生活者ネット) 管理本部が答えるべきだ。書面回答はしていないのか?

改革推進担当参事 個別に回答はしていない。大学に通知しているものもある。

山口委員(生活者ネット) 「同意書」をとった意図は?

改革推進担当参事 教学準備委員については構想への賛同を求めた。教員全員に対してカリキュラム設計への参加をつのった。新大学構想すべてに賛成を求めたのではない。口外禁止は、自由闊達な議論を保障するためで、社会人として当然のマナーである。

山口委員(生活者ネット) 設置者としての説明責任を果たすべき。

改革推進担当参事 教学準備委員会では教員に情報の共有化をはかっている。説明責任は果たしている。

山口委員(生活者ネット) 教学準備委員会の議事録は公開するのか?経営準備室の位置は?

改革推進担当参事 自由闊達な議論を保障するため議事録はとっていない。経営準備室は法人について検討している。

山口委員(生活者ネット) 今後も議事録は作らないのか?

改革推進担当参事 決まったら教員にフィードバックしていく。

山口委員(生活者ネット) 新大学設置のスケジュールはどうなっているのか?

改革推進担当参事 入試概要を含む大学概要を11月中に公表する。4月に設置申請をする。16年中に4大学の廃止条例を議会に提出する。

山口委員(生活者ネット) 在学生への周知は?

改革推進担当参事 平成22年度まで責任を持って保障する。受験生には近々概要を説明する。

山口委員(生活者ネット) 文科省事前相談の状況は?

改革推進担当参事 現在準備を進めている。

山口委員(生活者ネット) 経済効果を第一としないでほしい。ジェンダーバランスに配慮する必要。そのため託児所などが必要だと思うが?

改革推進担当参事 カリキュラム内容は教員全員が参加している。身体の不自由な人も可能な人は受け入れる。単位バンク制でさまざまなライフスタイルに対応していく。

山口委員(生活者ネット) 子育て中の者は大学に来なくて良いというニュアンスを感じる。大学改革のプロセスの透明性、情報公開を求める。非民主的なやり方を改め民主的な検討を要望する。

福士委員(自治市民) 平成22年までで旧大学を廃止することは学則で決めることだ。管理本部がなぜ決めるのか?

調整担当参事 設置者の意図として決めた。この方針に従って学則の変更を依頼した。在学年限も都立大、保科大は8年だが、科技大は6年。

福士委員(自治市民) ルールをはっきりすべきだ。大学の責任でやることだ。先の件は、確定したから発表したのか?

改革推進担当参事 設置者としての方針を示したのだ。

福士委員(自治市民) 確定したのか?

改革推進担当参事 確定していない。しかしスケジュールは決まっている。

福士委員(自治市民) 新大学では人文の教員が減少する。既存の学生への学習権の保障は?

改革推進担当参事 現在の教員のうち、新大学の構想に賛同する教員は移行する。しばらく定数より多く存在する。旧大学の教育も兼務することとなる。

福士委員(自治市民) 学生アンケートの取り方について。

改革推進担当参事 都立大ではアンケートをとった。他大学では学生に集まってもらったりした。

福士委員(自治市民) その解析と反映の仕方は?

改革推進担当参事 楽しく学ぶ、就職面での不満、研究中心ではなく教育もという声がある。

福士委員(自治市民) 新大学は「廃止・新設」なのか、「移行」なのか?  国に対しては「移行」だといっているとのことだが。

改革推進担当参事 国に対しても「移行」とはいっていない。「廃止・新設」だといっている。法人法では「移行型独立行政法人」だ。文科省への事前相談の準備をしている。

福士委員(自治市民) 3ヶ月で認可を受けるというのは、「移行」ではないか?

改革推進担当参事 設置申請において「移行」という用語はない。申請上使っていない。すでに設備・教員があるので、教員審査は省く形になるということだ。

福士委員(自治市民) 受験科目は?

改革推進担当参事 教学準備委員会で検討中だ。AO入試などもやる。

福士委員(自治市民) 入試科目は早く決めてほしい。情報開示をしてほしい。都心へのキャンパス展開について。臨海などを考えているのか?

改革推進担当参事 ビジネススクール、ロースクールなど都心への展開を考えている。

福士委員(自治市民) 臨海カジノなどと抱き合わせで行うのはやめてほしい。8月1日の転換については突然であり非民主的であるがどうか?

改革推進担当参事 突然の変更ではない。「基本方針」をふまえたものであり、「大綱」をベースに西澤先生、専門家で協議した。6月の定例議会でもいっている。趣旨に賛同している人とは協議している。都立大総長は賛意を示していない。検討の中身は自由闊達にやった。内容を途中で発表はしていない。迷惑メール、電話が専門委員のところに寄せられている。

福士委員(自治市民) おおかたの者が妥当と思うものにすべき。賛同する人だけがかたまってやるのは問題だ。 

改革推進担当参事 教学準備委員会では自由闊達にやっている。自分の大学の陣取りは避けるべきだと思う。

福士委員(自治市民) 華やかではないが、人文は高い評価を得ている。否定するだけではないようにしてほしい。10月7日都立大総長声明のあとの9日の3大学声明は、なぜ管理本部発表なのか?

改革推進担当参事 3大学長が作って窓口は管理本部がなった。これは当然である。都立大総長の声明は直接文科省記者クラブに流れた。ノーマルなのは管理本部だ。

福士委員(自治市民) 3大学名声明も自分たちで発表すべきだった。「やらせ」にみえる。世間の誤解を招くようなことを管理本部はやるべきでない。知の活用、自立して自己責任を果たすという精神が3大学長に必要(?)。

改革推進担当参事 窓口はあくまで管理本部になる。新大学では福士議員のいうとおりの教育をやるつもり。

松原委員(自民)法科大学院について。現在の法学部をめぐる状況はどう変わるか?

調整担当参事 法科大学院を持たない法学部は法学教養のみを教えることになって人気が下がる。

松原委員(自民) 司法試験合格者は法科大学院卒業者の5割という。

調整担当参事 合格者の少ない法科大学院は淘汰される。

松原委員(自民) 第三者評価について。

調整担当参事 定期的に適格認定を受ける。最悪の場合、設置認可取り消しもありうる。

松原委員(自民) 金融関係や知的財産の保護、高齢者の財産をめぐる法律問題等が今の重要課題。都立大の法科大学院の特徴は?

調整担当参事 「大都市における様々な分野での法律的課題に対応できる高度な能力を備え、国際的な企業活動などでも活躍できる首都東京にふさわしいもの」としたい。幸い法科大学院には前田雅英教授もいる。

松原委員(自民) 前田教授のような目玉が必要だ。教員を充実してほしい。授業料の設定は?

調整担当参事 国立は78万の−10%〜+5%で、私立は108万。都立は国を参考に、−10%を考慮して決める。

松原委員(自民) 育英会、ローンなど学生への経済的救済措置がほしい。大学と企業との連携をもっとやるべき。

調整担当参事 連携センターをつくり、かつ非公務員化のメリットを生かしたい。

松原委員(自民) 知的財産の管理は?

調整担当参事 検討を始めた。

松原委員(自民) 科目等履修生について、社会が求める人材育成を。

調整担当参事 産業大学院。ITセンター(秋葉原)との連携を考えている。

松原委員(自民) 魅力ある法科大学院を作って優秀な学生を出して実績をあげてほしい。先に都立大のランキングは15位という話があったが、10位以内をめざしてほしい。

石川委員(公明) 都立大総長が理解していないというが、管理本部が学生を安心させてほしい。在学生の学ぶ機会を保障してほしい。新大学の概要、学長、入試情報の発表時期と内容は?

改革推進担当参事 高2生の進路のこともあり、近日中に学科コース名、定員、入試科目、大学院のコンセプトについて発表したい。

石川委員(公明) 都民の入学機会を保障することからも、入学定員は今を下ることはできない。どの程度か?

改革推進担当参事 平成17年で1500名である。18年度は新分野ができるので、学生定員も増える。

石川委員(公明) 新大学概要のPR方法は?

改革推進担当参事 11月中に説明会を行う。

石川委員(公明) 大学名はいつ決まるのか?

管理部長 都民の提案を公募した。応募のあった名称を参考に専門委員の意見を踏まえながら最終的には知事が決定する。3302通・4047件の応募があった。そこには「東京」「首都」「都市」というキーワードを使った名称が多く含まれていた。これについては、専門員の意見を添えて知事にあげており、決定次第できるだけ早く発表したい。

5.コメント

*傍聴希望者は、学部学生、大学院生、教職員、記者等50名を超え、40名の定員のため中に入れず、廊下で待っている人も出ました。

*委員の質疑では、管理本部の非民主的な進め方を批判し、民主的な検討により、都立の大学という都民・国民の知的財産を継承・発展させてほしいという立場からのものが目立ちました。

*これに対して管理本部の答弁は、“都立大学の総長、教員が学生に十分説明していないから学生が不安になっている”に象徴される、「事態をあべこべに描く手法」や「4大学の分断を図る手法」が目立ちました。

*管理本部の答弁で、法人の形態は「移行型独立行政法人」であることが改めて確認されました。また、文科省への新大学の設置申請では、教員審査は省略されることが確認されました。このことから、大学管理本部がことさらに「廃止・新設」を叫び立て、「設置者権限」を振りかざす論拠はなくなりました。

*この傍聴記において、各委員・大学管理本部の発言は、組合の責任においてまとめさせていただきました。