東京都大学管理本部長 山口一久様 東京都立大学人文科学研究科院生会 去る8月1日、東京都大学管理本部によって発表された「都立の新しい大学の構想について」には大学院の設置について示されておらず、私たち東京都立大学大学院人文科学研究科の大学院生に大きな不安を与えました。 1.現大学院に在籍する大学院生の在籍期間の保障について 「お知らせ」では、平成22年度まで現大学を存続させるとされています。私たち大学院生には、博士課程は最長9年、修士課程は7年在籍する権利があることは、東京都立大学大学院学則の第二章(「研究科の組織、修業年限及び在籍期間」)と第五章(「入学、退学、除籍、転学、留学及び休学」)に定められています。よって、平成15年度に入学した現博士課程1年生は平成23年度まで在籍することができますが、「お知らせ」にある方針では、1年間もの貴重な在籍年限が損なわれてしまうことになります。私たちにとってたいへん不利益を被る「平成22年」という年限は、何を根拠に決定されたものなのでしょうか。 2.現大学院に在籍する人文科学研究科大学院生の研究環境の保障について 年限には納得できないながらも、「お知らせ」には平成22年まで現行大学および大学院を存続させるとあります。そこで以下の研究環境の保障についてうかがいます。 1、指導教員について 私たち院生が研究を進める上で、必要不可欠な存在としての教員に関しては、平成22年度に至る間も過員解消計画によって人事が凍結されると聞いております。そうなると、もし担当教員が辞職したならば、院生の専門分野を理解し指導する後任の教員は補充されないこととなります。どこの大学院を受験するか考える時、自分の専門性を理解し指導してくれる教員がいることが大きな判断材料です。たとえ入学時に在職していた教官が退官しても、専門領域が近い教員が後任に入ることを見越して、私たちは都立大の大学院を受験したのです。平成22年度までの間、教員数が減少することは、今後私たち院生の研究環境が確実に悪化の一途をたどることを意味します。この点をどのように保障していただけるのでしょうか。 2、予算について 研究環境の保障のためには当然予算が必要です。特に書籍の購入は最新の学術情報の入手という点からも非常に重要です。研究費は平成22年度まで確実に計上されるのでしょうか。 3、空間配置について 現在とはまったく異なる学部構成の新大学が並存した場合、研究室や書庫などの施設は、どのような空間配置をもって構成されるのでしょうか。現段階でもすでに利用可能なスペースは限界に近いところに、新大学が設立されるとしたら、新しい構成に基づく研究室は一体どこにどう配置されて現大学と並存するのでしょうか。 4、書籍について 新大学の学部構成にしたがって組織された場合、私たち大学院生の命ともいえる書籍・史料を散逸させないということは、果たして可能なのでしょうか。また、書籍・資料を管理する体制は十分整備されるのでしょうか。 3.大学院生からの意見聴取について 私たちからの質問・要望に対して、現在に至るまで大学管理本部からは一度もご回答が無く、またこの度の「お知らせ」も、上記の1.と2.の点について事前に何も説明が無いままに出されました。 以上のように現時点でも解決されていない疑問点は依然多く、私たちは研究環境が保障されるのかどうか、たいへん不安でおります。 以上3つの点について、11月26日までに、下記宛に文書にてご回答くださいますようお願い申し上げます。なお、この質問状を提出したことと、その内容について、マスコミ各社をはじめとして広く公開させていただくことを申し添えます。文科省や国立・公立・私立の各大学協会にもお送りします。 宛先 〒192−0297 東京都八王子市南大沢1−1 |