都立大学は、優秀な教員スタッフを擁し、これまで優れた人材を多数輩出し、また、目覚しい研究成果を蓄積してきており、これは、すべての大学関係者の共通認識である。しかるに、東京都はそうした都立大学の到達点を全く無視して、「廃止」「設立」という論理で押し通そうとしている。そして、東京都の新大学構想は、現在ある人文学部や理学研究科のいくつかの学科・専攻を消滅させて大幅な縮小を図るなど、教育が成り立たなくなってしまうような杜撰な計画が多々見受けられる。これは、教育に責任をもつ教員や、教育を受ける権利をもつ学生・院生の意見を聞かずに構想していることが原因である。 このまま東京都によって強引に都立4大学の「廃止」と新大学の「設立」が進められれば、表向き目新しいだけで中身は杜撰極まりない新大学が誕生し、納税者である都民に多大な迷惑をかけることは避けられないし、学生・院生には直接に被害が及ぶ。さらに、都立大学の研究・教育における現在までの蓄積が無に帰してしまい、こうした知的財産の恩恵に浴するすべての人々にとって大きな損害となる。 現在、都立大学の教員・学生・院生、そして都立大学の卒業生、父兄、および良識ある多数の都民から東京都の計画に対して強い抗議が表明されている。目前に国立大学の行政法人化をひかえている状況の中でこのような暴挙を許せば、全国の大学改革に最悪の先例を残すことになる。国公私立を問わず全ての大学の教職員、学生・院生、大学に大きな期待を寄せる全ての国民が、この暴挙を阻止しなければならないと考える。 ここに私たちは、東京都による都立4大学「廃止」・新大学「設立」計画に強く抗議するとともに、その暴挙を阻止するための運動に、全ての大学の教職員、学生・院生、広範な国民の連帯を強く呼びかけるものである。 2003年11月10日 広島大学教職員組合執行委員長 佐藤清隆 |