2315号
 
大学自治を侵し教育研究の自律性を損なう新法人定款の議決に抗議し、
あくまでもその是正を求める
―与党からさえ多数あった問題点指摘にもかかわらず無修正で可決―

                    2004年12月21日   東京都立大学・短期大学教職員組合中央執行委員会

 教職員組合と多くの大学教職員・院生・学生らの再三の問題点指摘にもかかわらず、東京都議会は去る12月16日、新大学法人定款について都の提案に修正を加えることなく可決しました。
 定款および法人の仕組みについては、すでに再三にわたり指摘してきたように、大学の自治と教育研究の自律性の保障という点で、重大な問題をもつものです。その問題性については、12月13日の都議会文教委員会でも、与党を含む多数の議員から指摘がありました。
 その最大の問題は、経営と教学の分離をいいながら、法人が大学運営に全面的に直接介入する仕組みです。文教委員会では、「理事長を別におくのはなぜか」との委員の質問に、都(大学管理本部)は「経営面での努力が必要なため」と法人の持つ経営的側面の強化を上げる一方で、法人と大学との一体性を強調し、「法人が教学面に口出ししてはならないとは考えていない」とまで答弁しています。さらに経営審議会の権限が教育研究審議会に比べ強すぎるのではないかとの指摘にたいしても、「予算を伴うものはすべて経営審議会が扱う」などそれを肯定する答弁をしました。まさに新大学が経営の優位・支配のもとに置かれるものであることが、あらためて表明されたといえます。こうした仕組みについては、複数の与党委員からさえ、大学自治を侵さないかとの懸念が表明されました。
 また、理事会がおかれないことで合議制の意思決定が十分に保障されるか、選任手続きも明示されぬままの知事指名である理事長の権限が強すぎる、事務局長が人事委員会を主宰するなど、事務局長権限が肥大すぎるなどの指摘も再三にわたりました。
 与党を含めこれほど多くの問題点と疑念が指摘・表明されたにもかかわらず、この定款を都議会が賛成多数で可決したことは、重大な問題です。行政の逸脱を監視しチェックすることは、議会の本来的役割です。それにもかかわらず、東京都が憲法をはじめとする諸法規とその主旨にも反するこのような定款とそれに基づく法人設立という暴挙に対し、十分なチェックを行うことなくこれを可決した都議会、とりわけこれに賛成した会派に、教職員組合は厳重に抗議するものです。
 教職員組合は、今後とも、大学の自主性自律性の保障という観点から、この定款の修正を求めるとともに、法人の仕組みも具体化にあたって、このことが十分に尊重されるよう強く求めるものです。さらに、法人と大学とを混同する東京都の法規理解をただすことを求め、必要に応じて是正措置を国に求めるなど、現4大学と新大学の教育研究の自主性自律性を守るため、今後ともねばり強く奮闘することを表明します。