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2473号

人事委員会 年度評価本格実施を決定!
年度後半の今ごろの決定は許されない!
「業績給に反映させる」に値する検証が行われていない!

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 人事委員会は昨12月11日、今年度の年度評価を本格実施に切り替え、来年夏の業績給にその結果を反映させることを決定しました。委員会では反対意見も表明されましたが、委員長である事務局長の裁決により決定されたと伝えられます。組合はこれまで、年度評価を業績給に反映させるという仕組みそのものに反対するとともに、昨年度の試行が十分に総括されておらず、公正な評価という点から見ても、様ざまな問題点が未解決であることを指摘してきました。法人事務局は12月6日、組合のこうした指摘と「質問事項」に対する回答を行いました(「手から手へ」2472号)が、そこでも未だ多くの問題が未解決であることが明らかになりました。組合はそうした点から、本格実施に踏み切らないことを再度強く申し入れていました。今回の本格実施決定は以下の点できわめて不当なものです。



1 年度後半の実施切り替えはアンフェア
 今年度の当初申告が行われた7月時点においては、本年度を本格実施とするか試行継続かはまったく未定でした。それは単に法人当局が決断できなかったからということだけではなく、いくつかの重要な前提がまったく整っていないからでした。まず、昨年度の試行では様ざまな問題点が浮かび上がりましたが、その検証や対策を人事制度等検討委員会と各部局が検討する時間的余裕もないままに、ほとんど昨年度と同じ本年度の評価枠組みが提示され、各教員に年度当初申告が求められました。さらに、年度評価結果は、任期制教員の再任評価に反映されることが示されていましたが、任期評価と再任判定の基準等の具体化は未検討のままで、その仕組みがまったく不明のままでした。このような状況のなかで多くの教員が、本年度の本格実施を想定しないで年度当初申告を行いました。したがって、年度途中、それもすでに年度の4分の3が過ぎようとしているいまになって本格実施に切り替えるということは、制度運用の公正さという点から重大な問題といえます。

2 国立大の多くは給与反映に否定的
 法人は国立大学でもすでに実施していることを理由の一つに挙げていますが、実際にはごく一部で、しかも実施幅も極わずかです。むしろ多くの国立大学が、給与に差をつけることのマイナス影響や、本学の試行でも実感したように、実務の煩雑さに見合う効果ができない、などを理由に、教員評価の給与反映の導入に否定的なのが実態です。

3 試行で浮かび出た問題の解決こそ必要
 昨年度施行時には多くの問題点が浮かび上がりました。例えばおもに学外で行われている「社会貢献」について客観的公正に評価することができるのか、評価領域・項目の妥当性、「重み付け」の妥当性など、多くの疑問がでました。さらに、部局・大学院等の所属の仕方によって、一部に大きな超過負担を強いられている教員が存在するなど、全学規模で公正な評価を行う前提そのものが整えられていないなどの問題も浮かび上がりました。これらの問題については、法人事務局の「回答」でも、「部局が判断する」「今後、対応を検討していく必要がある」など、未だに十分な準備が整ったとはとうていいえない状況です。

4 任期評価との関係を明確にせよ
 そして何よりも任期評価との関係です。年度評価結果を任期評価に反映させることは、一昨年に示された「新人事制度」においても提起されていましたし、今年10月に人事制度等検討委員会で取りまとめられた「再任判定と任期評価の考え方について」においても年度評価を「活用することも可能」とされています。人事制度等検討委員会においては、この「考え方について」とりまとめの際の議論では、年度評価においてC評価がなかった教員は取り立てた任期評価手続を取ることなしに再任可とする、というような案も検討されたと伝えられます。そういう意味では、各部局の年度評価総合評価が、どの評点を標準として行われるのかは、各教員の再任判定に重大な影響を及ぼすものです。それにも拘わらず昨年度の試行結果では、Bを標準値とした部局とAを標準値とした部局のふたつのタイプがあったといいます。再任判定が全学的な枠組みで行われるにも拘わらず、こうした年度評価総合評価の基準値の部局間の差について、未だに十分な説明がありません。法人事務局回答がいう「人事制度等検討委員会で再度確認」するという点が、どのように行われるのかを注視することが必要です。

 組合は、今回の本格実施決定に強く抗議するとともに、「業績給上乗せ」を名目として現行人件費を一部削減する等の動きを厳重に監視し、教員が安心して教育・研究の責務を果たせる十分な条件を保障することをあらためて強く要求すします。