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2499号

 当局は、真剣に人材育成に取り組んできたのか
正規職員への登用選考の合格者は7名
 

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 8月15日に、常勤契約職員の正規職員への登用選考の最終合格者が発表されました。8月下旬には、課長連絡会を通して名簿も公開されています。組合に対しては、8月26日に当局より情報提供がありました。また、法人のホームページには、同時に行った一般公募の正規職員の最終合格者数も発表されています。採用区分のうち、事務・主任級は職務経験が7年以上の経験者採用で、主任級として採用するものです。
  今回の選考で合格された方達に組合は祝意を表すとともに、まだ組合に加入されていない方に対しては、これを機会に組合に加入して頂くよう訴えます。
採用予定者数と最終合格者数の関係は次の通りでした。

 

採用区分

採用予定者数

最終合格者数

一般公募

事務

10名程度

11名

電気

若干名

1名

機械

若干名

なし

建築

若干名

1名

事務・主任級

若干名

5名

内部登用

事務

5名程度

7名


  組合は5月21日付の「手から手へ2488号」で、5名程度とされた内部登用選考の合格予定者数について、「常勤契約職員の頑張りに報い、応える数とは到底いえない」と問題提起を行っていました。また、この中で法人固有の職員の人材育成を行うために、研修を行うよう提言をしてきました。組合がこのような問題提起を行ったのは、今回の選考が法人の採用行為であると同時に、非正規雇用者を正規雇用に改めさせる待遇改善という側面を併せ持っているからです。
  今回、受験する資格を得た常勤契約職員は、「すでに、法人で非常勤職員として、1〜2年の職務経験があり、常勤契約職員として1年以上働いている人たちであり、職場では、周りの職員の信頼も厚く、都派遣職員と遜色のない職務もこなしていますし、法人発足当時の混乱した状況の中でも、頑張ってきた人たち」でした。残念ながら、登用選考では受験者の半分にも満たない合格者に留まりました。
  職員の採用については、当局が責任を持って行うことであり、組合は、個々の合否について意見を述べる立場にはありません。しかし、非正規雇用者を正規雇用に改めさせる待遇改善を要求してきた立場から、いくつかの点について見解を述べます。

「人材育成」の手が打たれてきたのか
  今回の登用選考の合格決定にあたっては、論文試験と面接及び勤務評定に基づくとされています。一方、一般公募では一般教養、適性検査、論文試験、面接を課しています。これは、登用選考の場合はすでに常勤契約職員として勤務している中で、適性や一般的知識については実証済みであることを示しています。論文試験については、受験者全員が合格していることから、合否をわけたのは面接の結果もしくは勤務評定ということになります。組合が受験者から聞いた面接での質問内容の中には、「法人経営」に関するものもあり、主事級の内部登用選考でそこまでの知見を求めることが必要であったかと疑問に思うこともありました。
  法人が今回の合格者に対して、将来の係長や課長候補として、法人業務や大学の事務の中枢を担ってほしいという期待は理解できます。しかし、そうであるならば、問われるのは、法人が常勤契約職員に対して、研修などで人材育成の努力をしてきたのかということではないでしょうか。確かに、宿泊研修などが実施されていますが、大学業務が繁忙とは言えない夏休みの時期に、都派遣職員、正規職員、非常勤職員を含めて、人材育成を主眼においた研修が計画、実施されていないことは誠に残念としかいいようがありません。
  今年3月末で、法人発足時から在職していた非常勤契約職員が3年の任期満了で雇い止めとなりました。十分に仕事をしてきたのに辞めないといけないという事実を目の当たりしました。今回、合格に至らなかった人の中には、雇い止めという不安を現実のものと感じたり、「結局自分たちは使い捨てなんだ」と感じている人もいるかもしれません。当局や所属長には、そうした不安を真摯に受け止めること、これまで以上に人材育成に努めることを求めます。

常勤契約職員制度にも問題が
  常勤契約職員は、3年任期で更新が2回までというもので、非常勤契約職員と同様に非正規雇用職員であり、常に雇用継続に不安を抱きながら仕事をしています。月例給も責任や要求される能力の大きさの割には非正規雇用職員と大きな違いがなく、「精神的には週4日勤務の非正規雇用職員時代の方が楽だ」との声も聞かれます。組合は、将来的には、常勤契約職員制度そのものを見直す必要があると考えます。
2009年度末で、法人発足時から在職している都派遣職員の派遣期間が満了となります。「団塊の世代」の退職や通常の都派遣職員の人事異動もあります。翌年には、中期計画が終了し、任期制教員の再任審査、大学運営を担ってきた「団塊の世代」教員の退職が始まるなど、法人にとって、通常業務にこうした業務が重なる「2010年問題」が訪れます。法人職員の人材育成は喫緊の課題なのです。今回の試験結果は、「2010年問題」を乗り切る準備をするという観点からも極めて残念と言わざるをえません。

  組合は、今後も教職員の勤務条件の改善、非常勤契約職員、常勤契約職員等の非正雇用労働者を正規雇用とすることなどを求めて、取り組みを強めてゆくことを表明します。