ホーム > 手から手へ

2361号

  


赴任旅費は支払われていますか?
就業規則を改正して、距離要件を満たせば、前職を問わず、支給すべきである

 法人化後に採用された教員から、赴任旅費の支給基準についての問い合わせが何件かありましたので、組合の考え等を説明いたします。
 なお組合では、赴任旅費の支給については、一定の距離要件を満たせば、本学に赴任された教員全員が対象になるように、要求書を法人に提出する準備を進めています。

 4月からの法人の就業規則による旅費規則は、3月までの都条例で定めていた基準とは、いくつかの点で異なっています。
就業規則の旅費規則では、赴任について、以下のように定義しています。
//////////////////////////////////////////////////////////////////////
 (法人の就業規則の旅費規則では)
 第2条 この規則において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
(4) 赴任 法人の要請に基づいて国若しくは他の地方公共団体等を退職し、引き続いて採用された教職員、若しくは採用に伴う移転のため住所若しくは居所から就業の場所に旅行し、転任を命ぜられた教職員が、その転任に伴う移転のため旧就業場所から新就業場所に旅行し、又は住所若しくは居所を移転する者が、移転のため旅行することをいう。
///////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////

 これに対して3月までの都条例と旅費支給規程では、次のように定められていました。
//////////////////////////////////////////////////////////////////////
 (3月までの都条例と旅費支給規程では)
 第二条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
五 赴任 都の要請に基づいて国若しくは他の地方公共団体等を退職し、引き続いて採用された職員若しくは任命権者があらかじめ人事委員会と協議して指定した職に充てるため採用された職員が、その採用に伴う移転のため住所若しくは居所から在勤庁に旅行し、転任を命ぜられた職員が、その転任に伴う移転のため旧在勤庁から新在勤庁に旅行し、又は住所若しくは居所を移転する者で任命権者が人事委員会と協議して特別の事情があると認められたものが、移転のため旅行することをいう。
 また、人事委員会と協議して指定した職には(職員の旅費支給規程 第2条の2)都立の大学(短期大学を含む)の総長、学長、教授、助教授及び講師の職、ただし、助教授及び講師の職については、他の大学の講師以上の職にあった者が引き続いて都に採用された場合に限る。
//////////////////////////////////////////////////////////////////////

 具体的に説明しますと、都立の大学時代(都条例が適用されていた時)は総長、学長、教授であれば、前職を問わず赴任旅費を支給していました。
助教授と講師については、前職が大学の(従って私立大学であっても)助教授及び講師であれば支給していました。
それ以外の助教授と講師、助手については、支給していませんでした。
私立大学の退職者には、支給せず。

 ところが、
 法人の就業規則では、都条例にあった「人事委員会と協議して指定した職」に類する定めがありませんので、就業規則の字義上は、採用される教員の職層は問わないが、法人の要請に基づいて国若しくは他の地方公共団体等を退職することが旅費支給の必要要件になります。
したがって、就業規則の字義上は、教授であっても、前職が私立大学であれば支給されませんが、研究員であっても、前職が国若しくは他の地方公共団体等の職員であれば、支給されるということになります。
  これらをまとめると赴任旅費の支給対象者は表の通りになります。

    赴任旅費の支給対象者の比較
赴任後の身分    法人の就業規則                 都条例             
 
  教授     前職が国若しくは地方公共団体職員      前職を問わず      
準教授     前職が国若しくは地方公共団体職員        ―
助教授        ―                        前職が大学の講師以上
講師          ―                        前職が大学の講師以上
研究員     前職が国若しくは地方公共団体職         ― 
助手          ―                        支給無し

 

 他の大学では
 東京大学や茨城大学、横浜市立大学の法人の旅費規程には、首都大学東京の旅費規程のような、「法人の要請に基づいて国若しくは他の地方公共団体等を退職し」といった文言は一切ありません。横浜市立大学は100Km未満は支給しないと定めており、東京大学や茨城大学は50Km未満でも、住居を移転すれば、赴任旅費が支払われています。
東京大学http://www.ne.jp/asahi/tousyoku/hp/
茨城大学http://park16.wakwak.com/~ibakyo/kisoku/pdf/ryohi.pdf
横浜市立大学http://homepage3.nifty.com/ycukumiai/

 そこで、組合は次のとおり要求します。
就業規則を定める過程を振り返ってみますと、当初の提案は、都の条例をコピーしたものがそのままに近い形で、提案されました。しかし、都条例の時代にはあった、「人事委員会と協議して指定した職」に類する定めがないまま、就業規則が作られてしまいました。
組合は、他大学の例から比べても、法人の旅費規程は内容が劣っており、不備もあることから、以下のような理由で赴任旅費を支給するよう要求します。
(1)大学教員は、全国から公募して採用するため
(2)人材確保の観点から、新任の助手(研究員)も含め
(3)一定の距離要件を満たせば
(4)前職を問わず、
(5)赴任旅費を支給する

固有職員の労働条件改善を実現させよう!
年休を時間単位で取得できるように!
月16日及び月13日勤務者にも慶弔休暇を!
専門職員(非常勤技術員、司書、看護師、等)にも一時金(賞与)の支給を!

 固有職員に4月に配付した組合への加入の訴えの文書には、当面する問題として、次の2つの要求を示しました。
 当面する問題(1) 年次有給休暇の取得単位
固有職員は、昨年度東京都の専務的非常勤職員として雇用されていた職員を除いて、年次有給休暇の取得単位を1日とされています。都派遣の職員には、1時間単位の取得が認められています。組合との法人との交渉で、当局は「取得単位1日は、法の趣旨」と主張しました。その根拠として、厚生労働省の通達を挙げています。
確かに、厚生労働省は年次有給休暇について、1日単位でまとめ取りをして、できれば休日を含めて7日以上の連続休暇を奨励していることは事実ですし、あながち悪いことだとはいえません。しかし、職場や家庭生活実態からすると、「PTAの会議があるので、午後から休暇を取得したい」「午前中に、市役所に証明書を取りに行って、速達で家族に送りたい」といったことは、よくあることです。実際に組合には、こうした声が寄せられています。仕事と家庭生活を両立させるためにも、こうしたケースでは、時間単位で年次有給休暇を取得したいという要求は当然です。ましてや、職場の中で、取得単位の異なる職員が存在するのは職場運営上も好ましくありません。
組合は、固有職員にも、年次有給休暇を時間単位で取得できるよう要求しています。

 当面する問題(2) 月16日勤務職員・月13日勤務職員にも、慶弔休暇を
月16日勤務・月13日勤務の固有職員については、慶弔休暇が付与されていません。(注)現在、配偶者や父母の死亡の場合は、引続く7日の慶弔休暇が、都派遣職員や週5日勤務の法人契約職員には付与されています。都派遣職員には週32時間勤務の再任用職員にも月16日勤務・月13日勤務の再雇用職員にも、慶弔休暇が付与されています。
 少子高齢化社会を迎えている現在、家族の死に際して、祭祀を主催する立場にあたるケースは確実に増えています。家族の葬儀を経験した人には、よく判ることですが、葬儀が終わって後も、社会保険事務所へ年金の停止の届けの提出などは、休日には行えません。月16日勤務の固有職員の年次有給休暇は、1年目が7日です。あってほしくないことですが、人の命は永遠ではありません。
 組合は「これでは、祭祀を主催できない」「人の倫(みち)に反する」と、月16日勤務・月13日勤務の固有職員にも慶弔休暇を与えるよう主張してきましたが、このことを改めて要求するものです。
 (注) 公立大学法人首都大学東京非常勤教職員の勤務時間、休日、休暇等に関する規則(平成17年法人規則第37号)では、第35条で所定の勤務日数が1週につき5日に満たない非常勤教職員については、第22条(妊娠障害休暇)、第23条(早期流産休暇)及び第29条(慶弔休暇)の規定は適用しない、とされています。

 これらに加えて、次のことを法人に対して要求します。
 一時金について
昨年11月に大学管理本部からもらった「任期付職員の労働条件について」を改めて見てみると、「賞与」が支給されるのは任期付一般職員だけで、技術を含めた専門職員には支給されるとはなっていません。
 当局に問い合わせたところ、一般事務職員の給与が再任用職員や再雇用職員と比較して、相対的に低いこと、技術を含めた(司書、看護師)専門職員は、世間相場と遜色がないこと等の理由で、賞与を支給しないとの返答が返ってきました。
 しかし、現在、再任用職員(週32時間勤務)には、一時金が支払われています。月16日勤務の固有職員の所定労働時間は、再任用職員(週32時間勤務)とほぼ同程度です。夜勤のローテーションの入っている職員(司書職や看護師)もいます。原則として、超過勤務はないとした、労働条件も守られておらず、再任用職員と同様、超過勤務も多くの職場で生じています。従って、週5日勤務者及び月16日勤務者については、一時金を支給することを、要求します。

 契約更新について
多くの固有職員から、来年度も引き続き働き続けることができるのか?という声が組合に寄せられています。組合では、こうした固有職員の不安を取り除くために、遅くとも12月中旬までには、法人として契約更新の意思を明らかにするよう要求します。