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2356号

  


新執行部の抱負と活動について
       2005.7.19  東京都立大学・短期大学教職員組合中央執行委員会

 6月24日の定期大会より活動を開始しました私達10名の中央執行委員は、専門部委員並びに支部委員のご協力を得な がら、公立大学法人首都大学東京の初年度に山積する課題に果敢に取り組みます。ご支援の程、宜しくお願い致します。

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  都立4大学の50年に及ぶ教育研究資産を引き継ぎ今春4月に発足した公立大学法人首都大学東京は、誕生後すでに 3ヶ月が経過していますが、学生と教職員は不安と混乱の中に放置されているといっても過言ではありません。
 例えば、4月の新学期早々から、南大沢キャンパスでは、昼食時に生協食堂に長蛇の列が出来ています。学生たちは 短い休み時間に昼食をとらねばなりませんから深刻な問題です。また、都市教養科目や基礎ゼミなどの新規科目が大幅に 増えたため、都立大在籍学生の授業は夜間や土曜日の時間帯に組まれるものが多くなり、 学生にとっては学習条件の低下 となっていますし、教員にとっては勤務時間の増加となっています。
 法人で働く事務職員についていえば、この間の人員削減により、事務職員は時間外勤務を強いられており、体調不良を 押して勤務を続ける人も少なくありません。さらに東京都所属の職員(派遣職員)の割合が減らされ、法人が新規に 採用される職員(固有職員)の数が相対的に増えることになります。これまでに培ってきた貴重な経験が引継がれるた めには、任期付きで採用されている固有職員が本人の希望に応じて期限の定めのない雇用に移行できる仕組みを導入する 必要があります。もし現在の状態を放置すれば、遅くとも1年後には、大学運営の様々な分野で破綻が生じるとの懸念の声 も上がっています。
 さらに、法人が設置する学生サポートセンターによる学生支援活動が、教員を中心とした教育研究活動との調整すら行われないまま実施されています。このことは、学長のイニシアテイブのもとでの評議会や教授会による大学運営が行われておらず、 学生支援活動を法人当局に任せたままの状態になっていることの表れであります。このような状態は、大学本来の教育研究 活動に対する弊害要因にすらなりかねません。

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 日野キャンパスにおいては次のような問題が起こっています。鮫洲地区に設置が予定されている産業技術大学院に配置 される11名の教員のうち、5名の教員は日野との兼務が予定されており、キャンパス間移動に伴う多大な時間的ロスや時間外勤務の増加が懸念されています。さらに秋葉原に設けられるIT部門についても、関係する分野の教員の教育研究条件に深刻な影響を及ぼすことが懸念されています。また2007年4月に向けて行われる南大沢キャンパスと日野キャンパス間の教員と研究設備の移動については、日野キャンパス内の建物費用のみ予算の手当てが行われたに過ぎない状態であり、 教員の移動に必要な費用の手当てが今のところ無いので、このままでは移動は事実上無理ではないかとの声も出始めてい ます。
 昭島キャンパス、晴海キャンパスについても、2007年4月に向けた南大沢キャンパス移動計画を、早急に明確にするべきであるとの声が上がっています。
 荒川キャンパスにおいては、助産師の資格取得に必要な実習指導が夜間の時間帯に行われており、関係教員の時間外勤務に対する手当支給など正当な措置が法人当局に求められています。

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  私達教職員の就業条件についても、組合は法人との間で3月末に取り交わした覚書をもとに、協議を重ねて来ていま す。勤務時間について法人当局が提案しているのは国立大学で採用されている裁量労働制ですが、この勤務制度によっ て時間外労働が野放しになる恐れも指摘されており、必要に応じて制度の改善を図ることを考えています。勤務制度の あり方如何によっては、新大学における教員の自主的で高度な教育研究を妨げ、教員にとって魅力の無い大学になり、 首都大学東京の地盤低下に拍車をかけることになるでしょう。
 さらに法人当局は「旧制度」を選択した教員は昇給・昇任なしという措置の撤回をしておらず、実際に4月、7月昇給が なされないままになっています。当局は、本法人は地方独立法人法第59条に基づく移行型法人であるが、教員の労働条件 が必ずしも包括的に移行されることはないとして、労働条件の一方的な不利益変更を押し付けています。しかし法人当局 が教職員の労働条件を一方的に決められるなどということは、衆議院委員会での政府答弁でも述べておらず、あくまでも 労使の協議で決定するべきとされているのです。今期執行部の最大の課題として、「新制度」、「旧制度」を問わず、無 法な給与制度を撤回させることがあげられます。
  今後組合は、就業規則のほかに任期制と年俸制、時間外労働にかかわる36協定、など教職員の勤務と密接に関連する 重要事項について、法人当局と交渉することになります。

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  以上の通り、開学まもない首都大学東京には、解決すべき課題が多くあります。また平成2006年度からは、学部に続いて大学院も発足することになりますので、更に新たな問題が生じることが考えられます。
中央執行委員会としては、東京都および法人当局に対して、首都大学東京の今後の発展に欠かせない項目を網羅した200 6年度予算要求を提出することにしています。また中央執行委員会は、首都大学東京の抱える諸問題の解決のため、支部単位での話し合いも含めて、組合員の意見集約を図ることを予定していますので、その機会にはできるだけ多くの組合員のご参加をお願い致します。また集約した声をもとにまとめた要求の実現に向けて奮闘する所存ですので、ご支援の程、かさねてお願い申し上げる次第です。

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  なお、8月1日(月)の午後6時から南大沢キャンパスで、新大学の現状と将来についての意見交換会を企画していま す。新大学の混沌とした状況について、色々な立場の人達から報告していただき、将来の大学の発展に必要な課題を明 らかにしたいと思います。こちらにも是非ご参加ください。