2415号
  

 各部局での自主的で公正な昇任審査を!
教員選考委員会での審査終了前には「任期制適用に係る同意書」は出す必要はありません!  

 現在各部局でこの2年間一部の例外を除いて凍結されていた昇任人事が進行しています。
組合は昨年来、当局との交渉で速やかな再開を要求し続けてきましたが、6月27日の団体交渉での合意に基づいてようやく実現に至ったところです。
 交渉の過程での組合の主張は、部局ごとの自主的人事計画に基づいて行われるべきであること、数的には凍結以前と同等規模であること、そして、審査内容はあくまでも能力と業績に基づいて行われるべきで、該当者が任期制を選択しているかどうかでいかなる差別も設けないこと、の諸点でした。
 これらについて法人当局も了解し、募集および審査が開始されたのです。
 もちろん、組合の基本的主張は、昇任および採用と「任期制」を切り離すべきで、昇任ないし採用が決定した段階で「本人の自由意志で」選択すべきである、というものです。この点では「全員任期制」に固執する法人と対立が継続しています。
 しかしながら、長引いた凍結で各部局の人事計画が危機に瀕しており、とくに今後の本学の教育と研究をになう助教授、助手層の活躍の場を広げるために、組合としては根本的な対立点は今後の協議、交渉にゆだね、今回の昇任人事を促進する立場をとりました。
 ただし、当局および一部管理職教員の説明不足、認識不足によるものか、いくつかの誤解や正しくない提示があるようなので、公正な昇任人事が行われるよう、重要な点を指摘しておきます。

 「任期付き教員でなければ昇任できない」という認識は誤り
 まず、審査を受ける資格に、現在とっている雇用制度(任期の有無)はまったく関係ありません。この点で、紛らわしいことに昇任申請の必要書類中に「任期制適用に係る同意書」が入っていますが、これは注意書きにもあるように、部局の教員選考委員会の審査が終わった後に、人事委員会に対して提出する書類です。
 したがって、「任期付き教員でなければ昇任できない」ということはないし、審査終了後に本人がじっくりと考慮した上で提出、非提出を決めればよいのです。
 もし、部局の教員選考委員会の審査が終わる以前に提出の要求、ないし強要があったとすれば、それは合意違反であり、不公正な審査です。そのような事実があったときは組合に一報をお願いします。

 この「同意書」は有効性に疑義あり
 また、「現在期限の定めのない」雇用をされている教員は、大学教員任期法の定め(本学の任期制はこれに基づいています)から、「本人同意」がなければ任期を付すことはできません。法人は、昇任は「新たな任用」という立場をとっていますが、給与や退職金計算のしかたから見て、他の面では明らかに継続雇用の形態を取っており、この見解は法的には大きな疑義があります。組合は当該教員の意思を尊重しますが、昇任審査をパスした教員もこの同意書の提出を拒否する権利があり、だれも強要はできないと考えています。
 組合は、昇任に任期選択を義務づけるのはもともと誤りと考えています。現に、本法人の就業規則第10条には、「(昇任)教職員の昇任(上位の職位に就けることをいう。)は、業績及び職務遂行能力の総合的な評価により行う。」とあり、制度選択等については触れられてはいません。「任期付きである」ことが、「職務遂行能力」の中に入るとでもいうのでしょうか。そうであれば、今現在職務遂行能力のない教員が多数、管理職も含めて教育研究をになっていることになってしまいます。

 昇任審査の対象となった教員諸氏は審査にパスしてから十分考慮して、あくまでも自由な意志で勤務制度を選択しましょう。また、審査をになう教員選考委員会メンバーならびに管理職教員は、公正かつ透明な審査を行ってくださるよう、お願いいたします。