2346号

  


「雇用契約書」提出期限にあたり、あらためて当局の不当性に抗議し、全教員の団結を訴える
当局はまず要求に回答せよ!
不利益変更を承認してはならない!
  実態としての雇用契約は済んでいる

2005年4月27日  東京都立大学・短期大学教職員組合中央執行委員会

 「雇用契約書」の返送期限とされる4月末は明日に迫っています。
  組合はこれまで繰り返し、雇用条件の不利益変更はやめよ、と旧管理本部と法人理事長に要求し続けてきました。しかしながら、この時点になっても相変わらず何の合理的理由も示されないままです。私たちは、ここであらためて当局の不当な選択強要に抗議を表明し、全教員が屈することなく団結して行動することを訴えます。

 理事長はまず、4月14日提出の教員給与制度に関する4項目要求に応えよ
  組合はすでにこの「雇用契約」に関して4月14日付で緊急要求を理事長に提出しています(04組発第12号、「手から手へ」第2345号)。そこでは、法人の雇用規範である就業規則に何らの記載もない、「昇給のない旧制度」、「評価基準もない任期制」を前提とする「雇用契約」を中止すること、まったく不十分な説明しかないままに採用された新規採用教員の疑問と不満に応じること、これらが解決するまでは法人化前の給与制度を継続すること、を求めています。「雇用契約」書類の配布を行う前に、最低限、法人はこれらの要求に対して回答を行うべきだったのです。しかし、それから2週間になろうとしている現在になっても何の応答もありません。このこと自体、「労働条件は労使対等の立場で協議して決めるもの」という労基法の規定に反するものです。
  法人は過半数代表と組合に対して、とうとう「旧制度教員給与規則」に「昇給なし」を明示できなかったこと、就業規則に「任期付きが基本雇用形態であること」を記載できなかったことを深刻に総括すべきなのです。合理性がなく、とうてい社会的に受け入れられる内容でないことを自ら認めたのです。この「雇用契約」に自信があるなら十分な説明を付して4項目要求に回答すべきです。

 「旧制度」を選択しようとしている教員へ
  不当な制度選択に怒りを覚え、またこれまでの雇用条件を守りたい、と考えておられる教員は「契約」に応じるべきではありません。就業規則にも給与規則にも「昇給なし」とは書かれていない以上、そして労働者代表とも組合とも合意ができていない以上、地方独立法人法からみても以前の労働条件が継承されてなくてはならないのです。しかし、現に「旧制度教員」のうちの4月昇給予定者に対し、当然行われてしかるべき昇給がなされていない現状で、提示された契約に応じることは不利益変更を追認することになってしまう可能性が高いのです。出すならば不利益変更がないことが確認されてから出すべきです。

 「新制度」を選択しようとしている教員へ
  様々な思いがあることを私たちは知っています。自分を誰がどのように評価するのかについて、基準も手続も全く示されなくとも「任期付きが望ましい」と考える教員には組合は何も言うことはありません。
  しかし、若手教員をこのように扱う大学に愛想を尽かし、どうせ出て行くのだからそれまでは高い給料を得た方がよい、あるいは、「講師」より「准教授」の方が移籍について有利だろう、と考えておられる教員もいることでしょう。私たちはその心情を十分理解します。それでもなお、組合は皆さんに心から呼びかけます。もし、すでに年始の「問い合わせ」で「新制度」と回答しているなら、年俸も呼称も変わっているはずで、しかも法的に必要な「任期契約」にはまだ同意していないのです。今、契約に応じなくてもぎりぎり催促されるまで待たせてもいいでしょう。なんと言っても、すでに授業や校務をしているのです。当局が条件として期待している職務を果たしている限り何の恥じるところもありません。当局の方が、本来示すべき評価基準を示していない方が遙かに不当な行為なのです。基準が示されてから契約に応じることの方が当然かつまともな態度です。
  とくに、昇任したために心ならずも「新制度」にされてしまった教員は、労働者としての基本的権利である雇用条件の選択の自由が奪われてしまったのですから、怒りを覚え、抗議して当然です。「昇任したのだから抵抗できない」という当局の心理的トリックにはまらないことです。上がった年俸はこちらが要求したのではなく当局が勝手に決めたのですから。

 新規採用の教員へ
  各種手当てがないこと、職務や業績の評価基準が全くないことに驚いた人はたくさんおられるはずです。要するに採用時の条件提示が不十分なのです。組合の交渉で、当局もそれを認めており、必要な説明、対応を誠実に行うと表明しています。当然の権利として疑問、要求をぶつけましょう。そして、納得がいかなければ「任期付き」に応じる必要はないのです。ここでも重要なことは、すでに働いており、実質的な(任期の就いていない)雇用契約は済んでいる、ということです。少なくとも、あらためての条件の改善、訂正は行わせるべきで、組合は喜んで支援します。

 4月末が本当に提出期限なのか
  当局は「4月末は単なるめど」と言明し、期限内に提出しなかったからといって直ちに解雇したり給与支払いを停止するなどの措置をとることがないこと、提出しなかった教員に対しては繰り替えし提出をお願いすることを表明しています。また、ある学部では、誤った雇用契約書が配付されました。当局は、その回収がすべて終わっていないことを26日時点で認めています。提出期限とされている4月末までに、契約書が送られてこない教員が存在する可能性もあるのです。このような状況で、4月末までに全教員と契約を取り交わすことを当局は本気で考えているとは思えません。あわてて提出する必要はないのです。組合と当局の交渉を見守り、不利益変更に反対している組合の闘いを支援してください。

 忘れてはならないこと
  確かに、私たちの大学は前代未聞の(知事に言わせれば「こんな大学世界にない!」)大学に変質させられてしまいました。このことから目を逸らすことはできません。それでも、私たち組合は大学再生のために、あらゆる問題をとらえて闘います。その一つの大きなポイントが「新旧制度」をやめさせることです。就業規則にも書けない恥ずべき「旧制度」を従前に戻し、「任期」を付けるならそれにふさわしいポストに、ふさわしい条件を用意させることが不可欠です。そのためにこそ、今の「雇用契約書」の提出に反対するべきなのです。
  当局は「すでに教員としての職務を行っているから、この契約書の不提出をもって解雇などは行えない」と認めています。が、それでも不提出は今後何らかの不利益(研究費で差別される、評価で不当な扱いを受ける、など)を受ける可能性は否定できません。それでもなお、私たちはまず、多くの教員が不提出を決断することを呼びかけます。それは、不提出自体が当局を窮地に追い込むことになるからだし、「最悪の労働条件の大学」を変える力になるからです。再度繰り返しますが、私たちはすでに働いており、その証拠に4月分の給料を貰っているのです。つまり実態としての雇用は行われているのです。条件整備はこれからの闘い次第です。
もし、契約書を提出するにしても、異議、疑問、要求を明示して出すべきです。納得していないことを当局に知らせましょう。
もう一つ重要なことは、「新制度」「旧制度」の区別、差別は当局の狙いだということへの自覚です。どちらにしても喜んで選択した人はいないはずです。この区別、差別をできるだけ早くなくすことをめざしましょう。当局のごり押しによって余儀ない事情からどちらかの制度を選択(あるいは押しつけられた)教員同士が協力してその差別をなくしていく取り組みこそが大学再生の原動力になります。

 「出さないと不安」な教員へ
  納得のいかないことをするのは気が滅入ることです。が、まわりを見れば同じ思いの人が沢山いるのです。組合には多数の怒りや疑問の声が寄せられています。ひとりだけで思い悩むのはやめましょう。教員を孤立化させることも当局の狙いです。例え提出するにしても、そのことで妙な敗北感を抱かないこと、不安や思いを声に出すこと、そして皆と一緒に行動することが今後の新しい展開の原動力となります。

  組合は、「旧制度」を従前に戻すこと、任期制は教育研究組織で慎重に検討した上で、限られたポストに、それに見合うインセンティブを伴ったものとせよ、という要求を掲げ、闘い抜くことをあらためて表明し、全教員が団結することを心から訴えます。