2345号
  


ちょっと待て 雇用契約書の提出
4月14日に「給与制度に関する要求」を提出
「昇給のない旧制度」にノーを!
「評価基準のない任期制」にノーを!
「条件を隠した採用」に異議申し立てを!  

      
 法人が全教員に対して「労働契約書」の締結を行おうとしているのは既報(「手から手へ」第2343号)の通りですが、当初4月15日までに教員に配布するとしていたのが、なぜか遅れています。しかし、いずれ数日中には各教員の手元に『雇用契約書』と『労働条件通知書』が届くと思われますので、再度、労働契約に関する組合中央執行委員会の見解をお伝えし、不当な労働条件の変更に応じないよう訴えます。

 「不利益変更は認めない」立場を堅持しよう
 労働契約締結をしたいという法人側の意向に対して、組合は去る4月14日、橋宏理事長に対して別掲のような要求書を提出しました。この内容は、法人化以前に再三にわたって大学管理本部、経営準備室等に提出したものと内容は変わりませんが、正式に発足した法人の代表者である理事長に、あらためて誠実な交渉を求めたのです。
 要求の1は、一方的な任期制を拒否し、従来の給与制度の継続を求めている「旧制度教員」と称されている教員にたいして、社会常識的にみて当然の定期昇給機会の保障を求めるものです。この要求の根拠となっている事項に対して、従来の大学管理本部等は一貫してまともに見解を出していません。
要求の2は、任期・年俸制の絶対不可欠の前提である評価基準が正式に決まるまでは、あたかも任期付きが決まったかのごとく扱うことをやめよ、というものです。これは「昇任」によって否応なしに「新制度教員」とされてしまった教員にとっては、とりわけ死活的に重要な問題です。
 要求の3は、諸手当の扱いをはじめ、給与の仕組みの十分な説明もなく「新制度教員」として採用された教員の不安・不満を解消するために、不可欠な要求です。
 本来、就業規則の必須記載事項であるこれらの労働条件が未確定なまま法人化がなされたこと自体がきわめて異常であり、許されないことです。しかし、同時に確認しておかなければならないのは、この1年以上にわたる闘いの結果、現在進められようとしている給与制度のいずれもが誰の目から見ても「不利益変更」であることが明らかとなっており、そのために法人は堂々と就業規則に記載できない、ということです。

 実質的には労働契約は済んでいる
 文書による「労働契約」がなされていないと、身分が保障されていない、と感じるのは自然でしょう。だから、送られてくる「雇用契約書」に署名、捺印しようと考える教員もいるのも理解できます。しかしながら、その判断がのちに不利益な結果をもたらすことをあえて指摘しておきます。
 すでに大学の業務は始まっており、教員は授業や様々な校務にあわただしい日々を過ごしています。つまり実態としては雇用されてしまっているのです。したがって、労働契約がないからと言って解雇できることなど法的には正当化されません。
つぎに、法人の業務を与えられた職務に応じて行っているすべての教員は、就業規則に書かれた範囲(定年が63歳で、一部の教員は従来の給与表に基づき、別の一部の教員は新しい給与表にしたがって賃金が約束されること、任期は「付けることができる」としか書かれていないこと、「旧制度教員」の昇給がないなどとは書かれていないこと)の条件で、雇用されているのです。したがって、なんの規則もなしに雇用されているのではなく、すでに労働基準監督署に提出された「就業規則」にのっとって雇用されているのです。ちなみに昨年、国立大学法人ではことさら「労働契約」など新たな任期制教員以外は結んではいないのです。
 ましてや、「雇用契約書」に、就業規則にも書かれていない不利益な条項が含まれていたら不当であると拒否して当然です。
団体交渉の中では、「定めた『期限』内に応答しなくても、解雇はしない。くり返し、提出をお願いする」と、当局は回答しています。

 署名、捺印は不利益変更を容認、固定するだけ
 「旧制度教員」にくるであろう「労働条件通知書」には「昇給なし」とは書かれていないでしょう(書けば就業規則違反です)。ところが、もしあなたが従来は4月1日昇給であったなら、すでに不利益変更がなされているのです。本来なされるはずの昇給が理由の説明もなしになされていないのですから、法的にはこの状態で署名、捺印すればそれを容認したことになりかねません。同様に、7月昇給予定の教員は昇給を確認してから署名しても遅くはありません。すなわち、確かに従来と同じ扱いになっている、不利益変更になっていないと確信できるまで署名に応じるべきではありません。
 また「新制度教員」も、評価基準などなくても『雇用契約書』に記載された任期付きが望ましいと考える人以外は、来年1月に予定されている基準の決定までは応じるべきではありません。また、任期を付すためには、本人同意が不可欠ですが、労働契約書にサインすることは、任期付雇用に同意することを意味します。すでに明らかにしているように、組合の詳細な検討では、一見増額になったように見える「新制度賃金」は少なくとも3年に1度は上位号給に上がる「評価」を受けなければ現行より不利なのです。
 両制度とも根本的な改善がなされる確証が得られるまでは契約に値しないものです。

 新規採用教員も泣き寝入りせず異議申し立てをしよう
採用時に東京都は、提示されている条件は「現段階での都の方針であり、各教員との雇用契約は、公立大学法人が定める規程に基づいて、締結されることとなります」とだけ知らせ、諸手当の詳細や職務や業績の評価などが一切未定であることなどに口を閉ざしていました。おかしいと怒って当然なのです。組合は雇用条件を正確に知らせずに採用を進める当時の管理本部に何度も抗議しましたが、聞く耳を持っていなかったのです。
  当然の権利として疑問、不満、要求を出しましょう。重要な条件を隠したままでの採用に異議を申し立て、改善させましょう。組合に声を寄せていただければ代弁します。今のままで署名してしまっては、誰もが納得のゆかない労働条件を押しつけられてしまうことになるのです。