2343号
  


「旧制度」から「昇給なし」を削除
「雇用契約書」「労働条件通知書」をめぐって交渉

  教職員組合は、昨日(4月12日)、「雇用契約書」等の問題で法人当局との間に団体交渉を行い、「旧制度」の「労働条件通知書」(案)にあった「昇給なし」の削除等を確認しました。また「労働条件通知書」を4月13日より各教員に送付し、4月末日までに「雇用契約書」への署名・捺印を求めることに関し、未確定事項が多いことなど、依然直ちに契約書に署名・捺印することを躊躇する教員も多く予想されることから、期限までに提出できない者についても、契約書の提出がないことをもって身分・雇用が直ちに脅かされないことを確認しました。

                                           
 当局が「昇給なし」を提示 組合は直ちに撤回を要求
  4月11日に行われた、新法人となって実質的に1回目となる交渉で当局側は、「雇用契約書」「労働条件通知書」の案を組合に提示し、給与支払日(15日)以前の13日にこれを全教員に送付したいとしました。その場で示された案では、「旧制度」の労働条件として「昇給なし」と記載されていました。組合は、就業規則・給与規則にも明記されていない「昇給なし」をどのような根拠に基づいて記載したのかを問いただし、撤回を強く要求しました。そしてこれは、3月末時点での管理本部との合意事項・覚書等にたいする背信行為でありこのままでは交渉の継続は困難であることを表明し、再検討を求めました。

 「昇給なし」は削除、「旧制度」の昇給・昇任は引き続き協議、を確認
  これを受けて翌12日、急遽行われた団体交渉で当局側は「旧制度」の「労働条件通知書」から「昇給なし」の記載を削除すると回答しました。
併せて当局側は、新法人では「新制度」が基本制度であり、「旧制度」のままでの昇給・昇任は認めないという方針については東京都(管理本部)の考え方を引き継いでいるとしました。これに対し組合は、「昇給・昇任なし」は地独法及び国会付帯決議にもある雇用の自動継承という原則からして認められないことをあらためて表明しました。
また、「新制度」も任期付雇用という点で、不利益変更であることも主張しました。
  その上で、この問題については、引き続き協議を行っていくことを双方で確認しました。

 直ちに雇用契約を結ぶことは困難
 組合:条件が未確定、新任教員の格付けの不合理などを指摘
 当局:「契約書未提出をもって解雇ということはない」

  さらに組合は、@「旧制度」教員については昇給・昇任問題が協議中である以上、それらが未確定なままでは契約書に署名することを躊躇する者が当然生まれること、A4月昇任者についても「旧制度」の問題が未決着な時点で早々に「新制度」契約に署名することを躊躇する者がいること、B「新制度」選択を1月時点で表明した中にも職務給設定や業績評価などの方法・基準などが全く未確定なままでこの労働条件に署名することは躊躇する者が当然いること、C新任教員についても年俸の格付け根拠などが十分に説明されておらず納得できない者がいること、などを指摘し、4月末の契約書提出期限について、これを守らなかったことで雇用・身分を脅かすことがないことを要求しました。@ABについては当然ですが、とくにCについては、「同年令の本学昇任者に比べて年俸額で100万円低く格付けされていることについて納得できない」との訴えが組合にあったこと、組合で調べたところ、管理本部が組合に3月に示していた新任教員の年齢別基準額をも下回っているケースが実際に存在することを指摘し、あわせてこうした疑問や不服について受け付ける窓口を設けることを求め、当局も基本的に受け入れました。
  提出期限の扱いについて当局は、期限までに提出しなかった方には引き続き提出を求めていく、実際にすでに授業等を担当して働いている以上、実質的な雇用契約はすでに成立していると考えられるので契約書の未提出をもって解雇などを行うことはない、と表明しました。

 「雇用契約書」への署名・捺印は軽率にするべきではない
 組合は「旧制度教員」の昇任・昇給と昇任者・新任者にも任期なし雇用を要求する

  組合は法人当局が各教員にこのような「雇用契約書」「労働条件通知書」を送付し、4月末に契約書の提出を求めることについて、これを妨げるものではありません。しかし重要部分が未確定なままの労働条件を示し、その条件に合意する署名・捺印を求めるということは、きわめて重大な問題です。まず、「旧制度」の昇給・昇任が引き続き協議事項となっていることや、「新制度」の職務・業績評価が全く未確定であることなど、制度としての条件が未確定です。さらに新任者の年俸についても曖昧で不公正な部分が存在する以上、個々の条件についても問題があります。
  こうした問題を孕んだまま、当局が契約を求めるということは、法的な部分を含め、重大な問題を今後に残すものであることを、組合は指摘しておきます。
  重要な条件の多くが未確定であったり不明瞭である以上、契約書への署名・捺印には十分な熟慮が必要であると考えます。当局の設定した期限にとらわれることなく、教員相互で意見交換、情報交換を行い、また、今後の組合の交渉に注目して慎重に判断されることを訴えます。
  組合は、あくまでも「旧制度」の昇給・昇任をこれまで通り行うよう要求するとともに、4月昇任者についても降任なしで任期なしの制度に戻れること、新任者にも任期なしの制度の選択を認めることなどを要求していきます。
強引な「新制度」の導入は、任期により退職を迫られる不安定な雇用条件である以上、明らかな不利益変更です。また、「新制度」「旧制度」の2つの制度の教員の混在は、教育活動を協力・共同して行うことが求められる教員集団にとって、明らかに障害です。

 20日に給料についての説明会を開催
組合執行委員会は、当面、当局との間で週2回の交渉を継続しながら、弁護団などとも協議し、早急に「労働契約書」への具体的対応を全教員に提案します。
また、20日午後6時から、南大沢キャンパス本部棟大会議室で、給料に関する説明会を行います。新任・昇任で年俸とされた教員、任期付雇用の固有職員の方には、給料明細の説明をします。また、これまでの交渉経過、特に年俸制の制度設計上の問題点なども説明します。
また、新年度になって、職場で起っている問題についても、みんなで考える会にもする予定です。
  不当な雇用制度の押しつけを押し返すため団結して力を合わせましょう。

固有職員にも、時間単位の年休を認めよ
本人の希望を基本に、期限の定めのない雇用へ

 法人が雇用する固有職員
法人が独自に雇用する固有職員が約100名採用されました。週5日勤務で、1日の労働時間が7時間30分の職員は、主に事務室で働いています。更新は2回までとされています。工学部(都市環境学部)には、月に16日勤務の専門職員(技術職)も採用されました。直営の時に、専務的非常勤と呼ばれていた、図書館の司書、工作施設の職員に加えて、医務室の看護師も法人の固有職員となりました。固有職員のほとんどが、1年任期で、更新の回数に制限があります。

 固有職員を期限の定めのない雇用に
法人化をめぐる大学管理本部と組合の交渉の過程では、当局は「固有職員は、一部を除いて、1年任期の2回更新までの任期付採用をする。」「任期付職員だけで運営している大学もある」などと、主張していました。当局が、その例として挙げていた、立命館アジア太平洋大学(APU・大分県)の職員の雇用形態について、法人のある京都の立命館大学に組合が調査に行ったところ、立命館大学から派遣されている職員はもちろん、APUが独自に雇用する職員のかなりの部分は、期限の定めのない職員であることがわかりました。
やはり、大学の中心的な職員は、短期雇用だけでは無理なのです。組合は、固有職員が短期雇用ばかりでは、大学運営に支障をきたすと考えています。固有職員を本人の希望を基本にして、期限の定めのない雇用に転換するよう、法人に要求します。

 年次有給休暇の問題
  今年採用された固有職員は、年次有給休暇の取得単位が1日とされています。しかし、都派遣職員や昨年まで専務的非常勤職員として雇用されて引き続き働く職員(今年度から、法人が雇用する固有職員となりました)については、これまで通り、1時間単位(8時間をもって、1日と換算する)の取得が認められています。これは、どう考えても不合理です。同じ職場にいて、このような差別は許されません。週5日勤務の固有職員の最初に付与される年次有給休暇は、10日です。もっとも休暇の少ない職員が一番取得条件が厳しいというのは、問題です。
  組合は、7日に法人の労務担当との顔合わせの席上、この問題を取り上げ、今年採用された固有職員についても、時間単位で取得できるよう要求しました。当局は、14日予定されている交渉で、回答をする予定ですが、職場からも声をあげて、こうした差別をなくしていきましょう。