2404号
  

管理職教員の人事は任期制選択とは切り離すべきである
 
2006年4月3日 東京都立大学・短期大学教職員組合

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 2005年4月1日に発足した首都大学東京は、都立4大学と並存する中で、教職員の懸命の協働により、混乱の中にも1年目を乗り越えることが出来た。
2年目になると、学部学生数の増加、大学院の並存、など更に新しい課題が山積する。この様な状況のなかでの大学運営において、教員間の強い信頼関係を元に、諸課題の処理に当る必要がある。
  この点からとくに重要なのは大学運営と教員評価に直接関わる管理職教員の選び方である。組合は、大学の再生、発展を願う立場から、この管理職教員の選ばれ方に強い関心をもっている。

 実際の大学運営の中核となる学部運営においては、学部長の役割は極めて重要である。当然、構成員である教員集団から信任された学部長の下で、強い信頼関係に支えられた学部および大学運営が行われるべきである。
 首都大学東京では、残念ながら、発足時の諸事情で設置者により任命された教員が選挙を経ずに学部長の職についている場合が少なくない。したがって、現在の学部長については形式上の「任命」とは別に、出来る限り早い時期に、構成員による信任投票による承認を受けるべきである。また、各部局等に補佐の立場の教員を必要とするのであれば、自ら信任された後、その職責にふさわしい能力や見識を有する候補者を推薦して、構成員から公正かつ民主的な方法で了解を得るのでなければ課題が山積する現在の大学運営を行えないであろう。

 ところが、新年度を前にして、管理職の一部には、部局長等の補佐役には任期を選択した教員であるべきとする、驚くべき条件を示す者がいるとの風評が囁かれている。
 この驚くべき条件を大学運営職務の必要要件として提示することは、自らの偏狭な考えでしか同僚教員を理解できないことを示しており、多様な意見と自由な発想のもとに教育研究を進める教員集団の代表者たる教員管理職を務める見識の無いことを露呈するものである。しかも平成18年度から試行される評価制度の一次評価の責任者としての立場に立つものとして、構成員からの深い信頼を得る姿勢では決して有り得ない。

 なお、組合は、理事長と組合委員長との会談を経て、昨年11月30日と本年1月17日の深夜に及ぶ労使の交渉の結果、新たな人事給与制度の任期の選択は、様々な個人的事情や将来計画を持つ教員個人の自由な判断に委ねることを確認している。組合は個々の教員管理職の選任について発言する立場にはない。しかし我々は、4月からの新人事制度の原則は、任期の有無にかかわらず、教員間に職務上の一切の差別がないことであると了解しており、そのことは管理職の選任においても例外ではないと理解している。したがって個々の教員が任期を選ぶ選ばないことと、大学運営における役割分担とは別個のものである。
 もし、風評通りに、大学運営の中核にいる一部の管理職が、大学運営・学部運営を補佐する教員に任期を選ぶことを求めるならば、それは職務遂行能力より特定の価値観を優先する側近政治を求めることの現われである。また、その学部運営は、自由な議論も発想も尊重されない、大学とは無縁な組織に変質することの予兆である。

 組合はこのような人事方針がとられないことを信じてはいるが、もし風評どおりの事態を確認した場合には断固として抗議し、責任を追及することを表明する。
また、もし法人がそれを容認または推奨するなら、この1年間の人事給与制度をめぐる交渉で得られた基本合意を覆し、労使関係を不正常にする暴挙として、これまでの労使合意並びに、今後の労使交渉について、見直しをせざるを得ないと認識している。