T 春闘をめぐる情勢

失業率が6%近くになり、特に若者、男子中高年、女性が高くなっています。学生は5人に1人が就職できていません。この原因はどこにあるのでしょうか。それは政府や財界の経済政策にあります。「不良債権処理」を名目として、中小企業を倒産に追い込み、また生産の海外移転を促進させました。また、年金の保険料値上げと給付を削減し、さらに医療費負担の増大や消費税率の上昇を計画し、賃下げなどにより消費を冷え込ませています。その結果、日本の経済は悪循環に陥っています。
 1998年以来労働者の平均賃金は毎年マイナスです。そして、成果主義賃金を導入し、労働者の勝ち組と負け組をつくる競争をあおりたてています。
これに、財界の雇用政策が輪をかけています。すなわち、正社員を減少させアウトソーシング、派遣、パート・アルバイトを拡大させています。それは、公務員にも定員削減とアウトソーシングとしてあらわれています。その結果、労働者の生活を不安定にし、ますます支出を抑制せざるを得ない状況に追い込み、不況に拍車をかけています。
このような労働者の生活の不安定さをさらに増大させる労働法の改悪が計画されています。有期労働契約の上限を1年から3年へ、専門職労働の任期制雇用を3年から5年にし、さらに解雇基準の緩和と金銭賠償方式、裁量労働制制限の解除を計画しています。
東京都では、石原都政がディーゼル車規制のような一定評価できることを行いましたが、東京湾沿岸の大規模開発や超高層ビル開発をさらに進め、そこに重点的に財政を支出し、難病対策や小児病体策の打ち切り、国民保険に対する都の支出金を大幅に減額させるなど福祉の見直し政策が行われています。
国公立大学の大学改革をめぐる状況は、あとで述べられますが、これらは日本の教育改革の一環として行われています。教育を企業原理に巻き込み、エリート養成に力をいれ、同時に国や都道府県による教育の統制を行うとしています。その象徴的な例が、教育基本法の強引な改悪計画です。
ILOは公務委員の争議権保障の勧告を行いました。これに照らせば、今回の当組合本部役員に対する処分がいかに不当であるか明白です。
アメリカによるイラク攻撃の計画に対し国際的な反対運動がもりあがっています。日本政府は、無条件にアメリカのこの計画を承認し、援助しています。これは、国際的な世論と国民の平和への希望と矛盾を深めるでしょう。

U 2002年度賃金確定闘争の中間総括

2002年度賃金確定闘争は「公務員制度改革」を背景とした、総人件費抑制攻撃の中でたたかわれました。8月に出された人事院勧告は、史上初めてのマイナス勧告であったばかりか、退職手当削減の閣議決定、全国各地で公務員賃金削減提案が行われるなどの攻撃です。同時に、マスコミなどの「公務員賃金の削減は当たり前」というキャンペーンも展開され、厳しい闘いを余儀無くされました。
こうした中で、都側は、人事委員会勧告前から、「厳しい財政状況鵜」や「都民の目」、「巨額の財源不足」などを持ち出し、新たな「給与削減」を画策する不当な動きを示しました。これに対して都労連は、三たびの労使合意破壊は許さないと厳しく批判しました。また、この間、都労連は「子どもの看護休暇制度の新設」をはじめとする福祉関連要求、労働時間短縮・休暇制度改善要求、人事制度改善要求の実現に向け、要求を提出してきましたが、都側は、都労連要求を解決しようとはせず、もっぱら「人事給与制度の見直し」や、特地・へき地手当の併給調整問題など、自らの提案を何が何でも押し付けようとする態度に終始しました。
10月3日に人事委員会勧告がだされました。その内容は4%の「給与削減措置」が行われ、実質賃金は民間より低いことは認めつつも、国に追随するマイナス勧告となりました。都側は、この勧告を受けて、労使合意を否定する、4%勧告継続にマイナス勧告を上乗せする「ダブル削減」は当然とする動きを加速させました。
このような中で11月1日に年末一時金要求団交が開催されました。都側は、この団交の席上「ベースダウンの実施はもちろん」のこと、「給与削減措置の平成15年8月以降の給与の取扱いについても検討の必要がある」との不当な発言を行いました。都労連は、「労使合意の遵守」を求め、都側発言の撤回を要求しましたが、都側はこれに一切応じず、団交は決裂しました。その後、都労連は、この発言の撤回と整理を求め、交渉再開に向け、常駐役員、各単組委員長・書記長要請などを連日行い、事態打開の取り組みを行いました。
また、全組合員署名を行い、この署名を各単組委員長が総務局長に提出し要請した結果、団交発言は撤回しませんでしたが、「交渉が停止するという混乱を招く状況」をつくり出したことを認め、「遺憾の意」を表明しました。また、副知事発言についても、「都を取り巻く厳しい現状に対する認識を述べたものであり、それ以上のものではありません」と「整理」させ、交渉を11月1日以前の状態に戻しました。
また、「社会経済情勢の動向も踏まえつつ」としながらも、「基本的に3月の労使合意の経緯などを踏まえる」ことと、「都労連の主張も真摯に検討し、交渉に臨んでまいりたい」として、労使交渉を行うという都側の発言について、都労連は単組代表者会議を開いて、都側の発言を確認し、交渉再開を決定しました。
しかし、再開された交渉でも、都側は「人事給与制度の見直し」や、特地・へき地手当の併給調整問題など、自らの提案の具体的協議を求めることに終始し、都労連要求については、具体的回答を示すどころか、協議する姿勢すら見せませんでした。
この間、7回の決起集会と11月15日の29分職場集会、都庁での3回の座り込み行動などを実施し、組合員の要求の強さを都側に示しました。
勧告と給与削減措置の取扱いについて、都労連は「労使合意」からしても、「ダブル削減」や「削減措置の延長はあり得ない」と主張しましたが、都側は「慎重に検討している」とするだけで、交渉は事実上進展しない状況となりました。
こうした中、都労連は19日のヤマ場を前に、要請行動を行いましたが、「人事給与制度」について、修正提案が行われただけで、交渉は「平行線」をたどりました。
このような、膠着状態を打開するために、残された時間を考慮し、都側の踏み込んだ協議と事態打開を求め、常駐役員、各単組委員長・書記長要請などを行いました。この結果、総務局長より「交渉の責任者の副知事とも相談し、早急に対応したい」との態度表明がありました。しかし、給与本体について、都側の態度が明確でなく、単組委員長会議で、ギリギリまで努力することを確認しました。その後、総務局長より「ダブル削減は避けられない」とした態度が明らかとなり、改めて各単組委員長による総務局長要請を行いました。
この取り組みの結果、18日夕刻、福永副知事から「事態打開に向け、都労連委員長と直接会って、自らの考えを述べたい」との会談の申し入れがあり、単組代表者会議の確認を経て会談が行われ、都側の最終回答が出されました。この回答は、「労使合意」を修正する点など、問題を含むものでしたが、都議会情勢や労使による自主解決をはかる上での、現時点でのギリギリの到達点であることを単組代表者会議で確認し、団体交渉にのぞみ、今年度の賃金確定闘争は収束されることとなりました。
その主な到達点は、@現在実施中の4%の給与削減措置については、12月で終了、1月以降は、新たな勧告給料表に基づき、2%の給与削減措置を平成16年3月まで実施、給料表を4月に遡及させず、「減額調整措置」は行わないA業務職給料表は、従来どおりの考え方で実施B調整額は給与改定率に合わせた額の引き下げ、勧告関連手当は、勧告及び従来の考え方で実施C一時金は、勧告通り、0.05月引き下げD人事考課制度については、検討の場(「人事考課制度検討会」)を設置し、協議するE人事給与制度の見直しについては、任用・級格付は、都側の当初提案を修正して、資格基準などの見直しと経過措置の導入、普通昇給は実施時期を1年もしくは2年延期F子どもの看護休暇制度新設の実現と妊娠障害休暇の改善G調整手当と特地・へき地手当の併給調整停止の解除については、平成15年度の早い時期に結論が得られるよう引き続き協議H特別昇給及び職務段階別加算制度の見直しなど人事制度の「見直し提案」は「遅くとも平成15年度の給与改定交渉期に結論が得られるよう引き続き協議」となっています。

V ながら条例問題

6月26日に大学管理本部より、時間内組合活動の見直しについて申し入れがありました。この背景には、平成14年の第1回定例会予算特別委員会において、時間内組合活動規制を求める意見が都議会自民党から出され、早急に「ながら条例」改正等の議員提案を行いたいという趣旨の発言があったからです。
組合は、当局から6月26日に提案された「時間内組合活動の見直しについて(案)」は、今日の実態を無視し、35年以上にわたる労使関係を一方的に踏みにじる暴挙であり、本来到底受け入れられるものではありません。しかし「@この制度が今日まで果たしてきた役割や、労働組合にとって『生命線』といえる重大な問題であることを十分認識していただきたいこと。A協議は『廃止』にこだわらずに行うとともに、現行制度の変更をするときでも、労使合意に基づいて行うこと。B議会に対しても、労使合意を遵守する立場で対応することとし、議会が労使合意を否定したり、議員立法で一方的に決めることのないよう、最大限の努力を行うこと。」という立場で、条件を付して交渉に応じてきました。
最終的には、当局から[資料@]のような提案がありました。この提案に対し組合は、「都庁職に対する提案に比べて、その範囲が著しく小さいものとなっています。組合の規模の違いはありますが、同じ都労連に加盟する単組として、格差があまりにも大きいと言わざるをえません。また、職場における基礎的な単位である支部の機関運営が一切認められなかったことは、全く不当極まりないものであり、絶対に容認できません。組合本部における機関運営が執行委員会の時間をはじめ大幅に制限されたことは、今後の組合活動にとって大きな規制になることは間違いなく、極めて不当な内容です。専門部も大幅に削減され、賃金対策部以外は、一切認められなかったことなど、全く許せない内容となっています。組織介入とも思える削減がなされています。現在でも規制が加えられている組合活動に対し、更にこれらの大幅な時間内組合活動による機関運営の削減攻撃を、到底認められるものではありません。」との見解を付し、「あくまでも労使合意で決着をはかるためには、この提案は非常に不満ではありますが、時間的にも限度にきており、最後のぎりぎりの回答と受けとめざるを得ません。最後に、適法な交渉を不当に狭めたり、規制したりすることなく、是非とも労働組合の本部・支部における交渉や協議に誠意をもって対応することを要請しておきます。以上を前提に、極めて厳しい判断ではありますが、提案に合意したいと思います。我々にとって苦渋の選択であるこの労使合意の遵守に、責任を持って頂くことをお願いしておきます。」と述べ妥結しました。

W 特勤手当交渉

7月に勤労部より、「先行き不透明な景気動向に加え、完全失業率も5%台の水準にあるなど、非常に厳しい経済状況にある。その中にあって特殊勤務手当に対する都民の目は、ますます厳しいものとなっている。」という理由で、特殊勤務手当の見直し交渉の提案がありました。組合は、今回の交渉が都議会の付帯決議という新たな状況があるとしても、あえて3年ごとの見直しに加えて、今回新たに交渉を行う理由としては目新しいものではなく、これまでの特殊勤務手当交渉は、労使で真摯な協議をし、「都民の目線」から見ても充分な理解が得られる内容で妥結し、議会の審議も経て、条例化されてきたので新たに交渉を行う必要性はないと主張しました。しかし「給与条例主義」を理由として、「議会の権能」をふりかざす、都議会による労使協議事項などに対する介入を許さないためにも、労使協議に当たっては、第1に特殊勤務手当の改定は、労使合意の内容で行うこと、第2に、都議会にたいして、労使で合意した事項の遵守について、労使合意の当事者として、責任を持って対処することの2点の確認を前提に協議する立場は変わらないことを明らかにしておく。さらに、特殊勤務手当が支給されている現場の調査を要求し、その上で協議に入るよう要求しました。そして今回、現行支給内容を見直すというのであれば、都立大・短大教職組は従前の交渉で要求してきた大学院手当の調整額化などを、まず検討すべきであると考えます。

X 大学改革問題

  1 大学改革問題の情勢
 大学改革問題は、国立大学法人法の国会提出が間近にせまっているなど、新しい段階を迎えています。都立の大学も法人の枠組がさらに具体化されています。
(1)「中間のまとめ」以後の都立の大学の法人化論議 
 2002年9月5日に決定された「都立新大学設立準備委員会 平成14年度 検討の中間のまとめ 法人化・大学運営分科会関係」により、法人の枠組が提示されました。
ここでは第1に新大学に勤務する教職員の身分を「非公務員型」とし、第2に大学法人運営の大枠として、経営と教学の分離、ならびに経営の優位を明確にうちだしました。
  その後、法人化・大学運営分科会は11月6日に第8回、11月26日に第9回の会合が行われ、「法人化に伴う新大学のしくみ」をもとに議論が進められたもようです。さらに、12月17日に開催された第4回都立新大学設立準備委員会、同企画調整委員会合同会議では、法人化・大学運営分科会を「組織・人事部会」、「目標・評価部会」、「事務組織・財務会計部会」に分け、次のような役割分担を行うことになりました。まず「組織人事部会」では「大学法人の組織(事務組織を除く)、職の構成及び役割」、「理事、学長の任免に関する仕組み、任期」、「教員の任期制・定年制」、「教員の給与等、業績評価」、「教員の服務、勤務時間及び兼業等」、次に「目標・評価部会」では、「中期目標、中期・年度計画に盛り込むべき内容等」、「評価委員会による評価の基準、単位、手続き、評価の反映」、「自己点検・評価の方法、外部評価の活用方法など」、そして「事務組織・財務会計部会」では、「現行業務フローの分析、改善案」、「事務組織の構成」、「法人化後の会計業務のしくみ」、「会計基準の検討など」が、今後引き続き検討されることになりました(「法人化・大学運営分科会 各部会の検討事項(予定)」)。
  このように、現在、労働条件に関わる問題が具体的に検討されています。法人の枠組は、「中間のまとめ」から大幅な変更がなされているものと思われますが、議論のたたき台になっている「法人化に伴う新大学のしくみ」それ自体公開されていないという、異常な事態が続いています(「『法人化に伴う新大学のしくみ』に対する委員の意見」のみが、本年2月になってようやく公開されました)。
  (2)国立大学の動き 
  国立大学については、2002年3月、国立大学等の独立行政法人化に関する調査検討会議による「新しい『国立大学法人』像について」が、12月25日には「国立大学法人法案の概要(骨子素案)」、それに1月「国立大学法人法案の概要」が発表され国立大学法人のあり方が具体化されてきました。
 「国立大学法人法案の概要」によれば、「国立大学法人法」により国は「国立大学法人」を設置し、そして個々の「国立大学法人」が「国立大学」を設置することになります。すなわち、「国立大学」の設置者は国ではなく、「国立大学法人」となるわけです。そして「国立大学法人」には、「役員」として「学長」(法人の長)、学長が任命する「理事」、そして文部科学大臣が任命する「監事」が置かれ、「学長」、「理事」からなる「役員会」並びに、法人の経営に関する重要事項を審議する「経営協議会」(「新しい『国立大学法人』像について」では「運営協議会」と称されていた)が置かれることになります。この「経営協議会」は、学外から2分の1以上の学外有識者を入れなければならないという規定も注意が必要です。
 他方、この「国立大学法人」が設置する大学の本体である「国立大学」には、教育研究に関する重要事項を審議する「教育研究評議会」(「骨子素案」までは「評議会」と称されていた)が置かれ、これが教学に関する事項を取り扱うことになっています。
  今回の「法案の概要」からうかがえる「国立大学法人」は、「運営協議会」が「経営協議会」、「評議会」が「教育研究評議会」に名称を変えていることにも示されるように、法人における経営の重要性が強調され、かつ「評議会」の役割を「教育研究」に限定しようという志向が強くでています。また国立学校設置法第七条に規定され、大学自治の根幹をなしている「教授会」については、一切言及がありません。以上に基づいて、2月27日、「国立大学法人法案」が文部科学省により発表されました。
 また、国立大学の統合、教員養成系学部の廃止・統合などが計画されており、大学内部のみならず、教員養成学部をもつ大学がある地元の自治体などからも、こうしたリストラ政策に反対する世論が生まれています。

 (3)公立大学をめぐる動き

 公立大学をめぐる情勢を次に述べます。
 まず指摘しなければならないのは、公立大学協会の動向です。公立大学協会法人化問題特別委員会は、2002年11月14日の「公立大学法人化への取り組み」によって、法人化の枠組を提示しました。ここで注意しなければならないのは、「学長」と「法人の長」の関係です。公大協は、8月8日の「公立大学法人の目的と意義」においては、国立大学のように「学長が法人の長を兼ねる」ことをうたっていました。これは、東京都大学管理本部が押しつけようとしている「学長」と「法人の長」分離という方針への批判であったと思われます。ところが、「公立大学法人化への取り組み」においては、「学長・法人長一体型(原則型)」、「学長・法人長分離型(特例型)」という二つのあり方が提示され、後者について「選択肢としてあり得てよい」としています(30頁)。これは「公立大学法人の目的と意義」の構想から比べて、大きく後退するものであり、東京都大学管理本部の路線への追従であると評価せざるを得ません。
 「地方独立行政法人」制度についても検討が進んでいます。総務省によれば、国立大学のように大学独自の法律は作らず、医療機関などを含む独立行政法人の骨格を規定する法律を準備しているとのことで、公立大学については、設置者を自治体にするか、独立行政法人が大学の設置者になるのかは、自治体の選択によるものとすることなども明らかになっています。公立大学法人設置のための法整備は、通常国会に提出される可能性が高く、監視を強めていく必要があります。
  さらに全国の個々の公立大学でも、この間大きな変化が生まれています。大阪府では、2002年8月に「大阪府大学改革基本計画」が策定され、府立の大学を統合して教員を25%削減するという乱暴な計画が企てられています。また横浜市においても財政難を理由とした「改革」の動きが見られます。「市立大学の今後のあり方懇談会」座長の橋爪大三郎氏は、横浜市立大学の「廃校」それに「二病院の私大への売却」をしない場合には、他の大学ではまだ実現しないような思い切った大胆な抜本的な改革と、経営合理化が必要だという私案をまとめ、同懇談会に提出しました(『神奈川新聞』2003年1月17日)。このように横浜市でも、「累積赤字1141億円」という財政問題を口実に、大学のリストラが行われようとしているのです。
 この間の横浜市の動向をみても、まず大学経営がいかに赤字か、ということをマスコミに強調させ、当局の意にかなった処方箋を出すであろう「有識者」を動員しながら、行政主導の大学リストラを行おうというシナリオが浮き彫りになっています。都立の大学についても、包括外部監査により大学が大幅な赤字を出していることが強調され、それを『文藝春秋』などのマスコミが利用して大学攻撃をしかけました。
 なお、行政主導の大学「改革」に拍車をかけることとなった包括外部監査それ自体のあり方について、大きな問題が明るみとなりました。新聞は2002年2月20日に発表された東京都の試験機関を対象とした包括外部監査の調査項目が、1990年に実施された都の行政監察室の内部監察で「改善点」として指摘した項目と、ほぼそっくりの内容が含まれていたと報道しています(『朝日』2002年3月16日)。「外部監査」を標榜しながら、12年も前に都の内部監査が指摘した「改善の内容」を、ほとんどそっくり外部監査の「着眼点」として焼き直していたというのです。 
 人々の耳目に入りやすい財政問題を利用した大学や公共機関に対する攻撃のシナリオについて、さらに調査を進め真相を解明していく作業も必要となります。
 (4)都立の大学の法人化に反対する取り組み
  都立の大学の法人化に反対する組合の取り組みとして、2002年10月19日に「都立の大学の法人化問題をめぐる意見交換会」が行われ、大学改革をめぐる情勢の報告と、森正人氏(全経済産業労働組合)による「産総研の独立行政法人化と労働条件、研究条件の変化」と題した講演が行われました。この講演では、独立行政法人化にともなっていかなる問題が私たちの職場に起こりうるか、という点についての理解を深めることができました。
 今、私たちに全貌が明らかにされないまま進んでいる法人化の議論は、すでに教職員の賃金・労働条件にかかわるものにも及んでいます。それらは教職員組合との交渉事項であります。すでに教職員組合は、2002年1月31日、2月12日の2度にわたり、大学管理本部に対して法人化に伴う教職員の身分・労働条件に関する解明要求を行いました。しかし、その内容についての正式な回答はなされないまま、昨年9月に「検討の中間のまとめ」が発表され、教職員の身分、それに新大学の運営の基本にかかわる問題が決定されてしまったのです。私たちは、10月の意見交換会で採択したアピール「法人化後の教職員の賃金、労働条件について、大学管理本部は労使交渉に応じよ」でも強調したとおり、大学管理本部が、まず2回にわたる教職員組合の解明要求の個々の具体的項目に対して文書で回答するとともに、法人化後の教職員の賃金・労働条件にかかわる問題については、教職員の意思を無視した一方的な決定を行わず、教職員組合との交渉のテーブルにつくように、強く働きかけていきます。
 また先にもふれたように、現在、「中間のまとめ」に大きな変更を加えた「法人化に伴う新大学のしくみ」をたたき台として、法人化の議論が進められています。これに対しても全教職員に公開するよう要求していきます。
 他方、11月11日には大阪府立大学とも連携して、「公立大学独立行政法人化に反対する声明」をあげ、公立大学の特色ある教育研究をさらに発展させる立場から、経営効率優先の大学運営を進め、大学の自治と民主的運営を阻害する公立大学の独立行政法人化に反対し、東京都と大阪府が公立大学協会に対して行っている公立大学独立行政法人化推進の働きかけを中止することなどを訴え、他の公立大学にも賛同を呼びかけました。今後も他の公立大学とも連携しながら、公立大学法人法の動向に注意を払いつつ運動を展開していく必要があります。
  2 大学改革にともなう諸問題の噴出
  大学改革に伴う、いくつかの課題について以下述べます。
  (1)教員の配属をめぐって
  教員の配属についてはいまだはっきした像が示されていません。短期大学の教員がどの研究科・専攻に所属していくのか、科学技術大学の教員がどの研究科・専攻に所属するのかということも正式には提示されていません。
  また統合、新大学設置に伴う教員審査のあり方も問題になっています。第4回都立新大学設立準備委員会・第8回企画調整委員会合同会議(2002年12月17日)に提出された「教員審査の考え方」(以下、「考え方」とする)は、教員の審査の仕組み、対象、検討体制などを定めた文書であり、1月現在、この文書に基づいて審査が行われる運びとなっています。
 しかし、この「考え方」には大きな問題があります。まず第1に、「教員審査委員会」において大学管理本部管理部長が、「審査方針」、「審査基準」、「審査方法等の策定」及び「教員審査の決定」に関与するとされており、管理本部が「教員審査の決定」にかかわることで、実質的に「個別の審査」の結果への介入を行うことへの疑念です。また第2に、「教育課程及び授業科目担当者の検討について」の部分には、教員審査の結果によっては仮配置による各研究科の教員名簿から「氏名を削除することもあり得る」という文言がありますが、この文書からは「氏名を削除」された教員の処遇がまったく不鮮明なのです。組合は2002年1月8日の「短期大学教員の身分を保障する新大学構想の具体化をめぐる声明」のなかで、「4大学統合においては、短期大学教員の身分保障が確かなものとなる形での新大学構想の具体化をおこなうこと、すなわち、教員の意思を尊重し、新大学においてこれまでの教育研究上の蓄積を継承できる担当分野・科目を確実に保障することを要求します」とうたっており、この方針をあらためて確認していく必要があります。
 (2)助手問題
  助手については、その定数、位置づけも含めて検討するとされていますが、いまだそれらのいずれも明らかになっていません。
  12月に17日、第4回都立新大学設立準備委員会、第8回同企画調整委員会合同会議で提示された「今後の助手のあり方の検討について(案)」では、新大学における助手の配置数等が決定されるまでの過渡的な措置として、「事実上の任期制」による助手の採用が認められています。しかし、現在任期制をとっていない研究科、学部にこのような制度を導入することは、(a)任期付助手と任期なしの助手という新たな階層を生み出すこと、(b)現在の助手に任期制が波及する危険性があることなどが懸念されています。組合は、現在の人事制度にそくしたすみやかな欠員の補充を要求します。
 また、新たに導入が検討されている「事実上の任期制」による助手の任期は3?5年とされていますが、再任の可否についてふれられていません。組合は、最低限これらの助手に再任を認めることを要求します。
 これまで、助手が担ってきた教育研究上の役割を継承していく運動をさらに進めていきます。
 (3)キャンパス問題
  4大学統合後のキャンパスについては、南大沢キャンパス(基礎・教養教育をはじめとする教育研究の拠点)、日野キャンパス(社会貢献の拠点)、荒川キャンパス(保健・医療・福祉に関する教育研究の拠点)、都心キャンパス(高度専門職業人養成の拠点、都心部における生涯学習の拠点)の4つが予定されています(「新大学におけるキャンパス配置について」)。学部一年次における基礎・教養教育、学部教育は原則として南大沢キャンパスで行うことになっています(保健科学部の2年次以上は荒川)。これに伴って、南大沢キャンパスに総合教育センター棟、理工教室棟、先端科学棟などを建設する費用が、平成15年度予算に計上されました。
 しかしこの統合案は施設設備の面ひとつとってみても、教育研究に大きな問題をもたらすものと考えられます。教育面においては、あわせて行われる学生数の増加にともなう、南大沢キャンパスの収容容量の問題、福利厚生環境の悪化の可能性、保健科学部学生の通学の問題などがあります。研究面でも、科学技術大学や短期大学のこれまで行われてきた研究が継承できるのかが問題となります。特に科技大の大型施設である風洞やジェットエンジン設備などの移設が可能なのか、など重大な問題を積み残しています。
  3 大学の主体性を回復しよう
 これまで行政主導の大学「改革」が続きました。そのことを、この年末の事態はあらためて示しました。東京都は12月に「重点施策及び平成15年重点事業」を発表しましたが、そのなかには「産業技術の大学院」、「東京未来塾」というプランが含まれています。
「産業技術の大学院」は、「ものづくり現場における企業と大学の一体的な推進のため」大田・品川地区に産業技術関係の大学院を設置するというものです。また、「東京未来塾」は、都立高校3学年から50人程度の生徒を募集し、「日本の将来を担う『改革型リーダー』の育成を図る」ことを目的に、年間約100日間の「問題解決学習」、「特別講義」、「ゼミナール」、「体験学習」などを行い、その学習成果に基づき新大学への推薦入学を行うというものであります。
  これらの施策の効果はどうあれ、特に後者のような、大学のこれまでの改革論議からは直接導き出されないプランが、突如上から降ってくるということが、今でもまかりとおるということには驚きます。そのことは、これまで大学の主体性が問われる局面において、しばしば大学としての主体性を発揮できなかったことが、決定的に大きな問題であったことを示しています。この点、大学人として反省すべき点もあるものと思われます。大学管理本部改革推進担当部長は、今でも公の場で「大学自らが、時代の変革に対応するような教育研究活動の戦略性、計画性を持ち得ない、ひいては自己改革ができない」、「学部専攻あって大学なし」などと発言しています(『文部科学教育通信No.66 2002年12月23日)。このような、財政問題と並んで人々の耳目に入りやすい言葉を使いながら、今後も行政主導の大学リストラが企てられることに警戒しなければなりません。
  来年度にかけて、法人の枠組がさらに具体化し、新大学の学長をはじめ、役員の人選が始まります。特に学長には、東京都からの天下りや行政サイドによる一方的な選任を許さず、学問研究・大学教育に十分な識見をもった人物をすえなければなりません。そのため、新大学学長選出もそのプロセスについての問題提起をするなど、大学としての主体性をもって取り組んでいく必要があります。また今後、就業規則策定などの具体的な労働条件が議論されていきますが、そのためにも組合員の拡大と、なおいっそうの力量の強化が求められるものといえましょう。
助手制度については、平成14年12月17日の「第4回都立新大学設立準備委員会、第8回同企画調整委員会合同会議」において、大学管理本部から「今後の助手のあり方の検討について(案)」という資料が公表されました。
この中で、新大学における助手の配置数等が決定されるまでの過渡的な措置として、”事実上の任期制による助手”の採用を認めています。
しかし、このような制度に対しては、(a)任期付助手と任期なしの助手という新たな階層を生み出すこと、(b)現在の助手に任期制が波及する危険性があることなどが懸念されています。
組合は、制度上の混乱を招く”事実上の任期制による助手”の新たな導入ではなく、現在の助手制度によるすみやかな欠員の補充を要求します。
また、”事実上の任期制による助手”の任期は3?5年とされていますが、再任の可否についてふれられていません。組合は、最低限これらの助手に再任を認めることを要求します。
Y 運動のすすめ方
1.職場を基礎に他の労働組合、民主団体、広範な国民と連携し、要求の実現をめざします。
2.学習・宣伝活動を強化します。
情勢・課題・展望などについて、学習・宣伝を行い、確信を広げていくように努めます。
3.賃金要求や職場要求実現の課題と合わせて組合員拡大の課題に取り組みます。
4.都労連、東京地評、2003年春闘共闘会議、東京公務共闘、八王子労連、全大教、都大教等に結集し、運動を進めます。
Z 2003年春闘の要求課題と取り組み
1 大幅賃上げ、労働時間短縮など賃金・労働条件改善の取り組み
  @別掲の「2003年度賃金・労働条件改善要求(案)」の実現をめざします。特に、2%給与カット(給与削減の時限的措置)を2003年度限りで終了させるという労使合意に対する議会の介入に反対し、労使合意の完全な履行を要求し、都労連に結集し、運動を進めます。
  A各種集会、宣伝行動、学習会の成功のために取り組みます。
  B要求についての理論的・実態的裏付けの作業に取り組みます。
2 定数問題の取り組み
  @2003年度定数査定で削減対象とされた職場の業務遂行と職員の労働条件について、当局に責任をもって解決さ せるよう取り組みます。
  A定数削減に反対し、定数条例改定案を審議する都議会に対する働きかけを追求します。
  B「行革」路線による定数削減方針の打破をめざし、都庁職等他の労働組合や広範な都民と連携し運動をすすめます。
  Cこれ以上教職員を減らさせず、必要な人員増を実現するために、定数削減反対・保留定数の解除・定数増等を要求し、運動をすすめます。
3 2003年度都予算問題に対する取り組み
  @福祉・教育・医療などの都予算の大幅引下げに反対し、運動をすすめます。
  A学生教育費単価、講座研究費、施設管理費等大学予算の引下げに反対し、学生教育費単価・講座研究費については少なくとも1997年度水準に戻すよう要求し、運動をすすめます。
4 民主的大学運営を守り、教育・研究の民主的発展をめざして
  @国立大学の独立行政法人化に反対し、運動をすすめます。
A研究予算の民主的配分を要求し、取り組んでいきます。
  B「日の丸」「君が代」の強制に反対し、運動をすすめます。
5 大学改革問題に対する取り組み
  @「東京都大学改革大綱」に反対し、運動をすすめます。
  *教員定数の大幅削減に反対します。
  *法人化について問題点を解明し、教育・研究条件の改悪や教職員の労働条件の改悪に反対し、改善を要求していきます。
A「大学改革」について、大学管理本部主導でなく教授会・評議会など学内機関で十分検討することを含め、全構成員の要求・意見を反映した民主的な検討と運営を求めます。
大学改革問題に関する全学説明会の開催など、大学改革を民主的にすすめるよう要求し、取り組んでいきます。    また、組合としても4大学の教職員の意見交換会などを適宜開催し、意思疎通を図っていきます。
B大学改革問題専門委員会など、改革問題に取り組んでいく組合の組織体制の強化をめざします。
6 職場要求実現の取り組み
  人事異動、超過勤務縮減、休時間問題、施設・職場環境改善など職場要求の実現をめざし、取り組みます。
7 学内の民主主義と人権を守り職場の安全を確保するために
  @不法な集団の活動を許さないよう、大学当局がさらに毅然とした対応をすることを求めます。
  A学生自治会、院生自治会、生活協同組合など学内諸団体との連携を強めながら、不法な行為を許さない学内世論を喚起します。
  B教職員と教職員組合に対する不当な攻撃に対しては、断固として反撃していきます。
8 労働基本権確立の取り組み
  @ストライキ権など労働基本権の確立を要求し、取り組みます。
  A労働組合運動に対する処分や時間内組合活動に対する規制に反対し、これらに対する取り組みをすすめていきます。
  B労働法制の改悪に反対し、労働基準法の抜本改正を要求し、運動に取り組みます。
  C超過勤務の縮減につながる36協定の更新締結をめざし、取り組みます。
9 国民的要求実現の取り組み
  医療費の引き上げ反対、年金の改悪反対、大企業本位で浪費的な公共事業の廃止、軍事費の大幅削減と福祉・教育など国民生活予算の拡充、勤労者への大幅減税の実施と消費税の引き下げ、教育基本法の改悪反対、新ガイドライン関連法の発動反対、有事立法反対等の運動に取り組みます。

2003年度賃金・労働条件改善に関する要求(案)

                        東京都立大学・短期大学教職員組合

T.賃金改善について
1.賃金水準の引上げについて
  基本賃金を21,000円以上引き上げること。
2.公民比較方式等の改善について
 (1)比較の企業規模を1,000人以上に引上げ、春闘の追加格差算出の改善等公民比較方式を抜本的に改善すること。
 (2)現行の標準生計費算出方法を改め、大都市東京の生活実態と公務の実態を反映したものとすること。
 (3)大学教員の公民比較にあたっては、私立大学との格差を正確に把握し、勧告に反映させること。
3.賃金体系の改善について
 (1)初任給の格付基準を大幅に改善すること。
(2)賃金引上げの配分にあたっては、生活保障を重視し、世帯形成時、中年層を重点に改善すること。
 (3)現業系職員の賃金・任用制度を組合の要求に基づき改善すること。
 (4)大学教員の初任給について、大学院博士修了者の初任給が国より1号下位となっていることの是正を含めて、改善すること。
    それに伴う在職者調整を行うこと。
 (5)医療職(三)表を改善すること。
 (6)人事・任用制度に関する次の要求を実現すること。
    @助手、職員の特別昇格枠を拡大すること。
    A主任選考(主任A・主任B)の合格者数を大幅に増やすこと。
    B主任選考(主任B)は、局別選考に戻すこと。
    C主任(主任B)・係長(長期)昇任時異動をやめること。
    D係長選考(短期・長期)、課長補佐選考の合格者数を大幅に増やすこと。
E自己申告について、記入・提出の自由を保障すること。推薦書の本人開示を実施すること。
   F業績評価について、本人開示を実施すること。
    G人事制度の運用・実施にあたっては、従来の経緯・慣行を尊重し、職員の処遇改善の立場にたって民主的に行うこと。
    H定期昇給・特別昇給制度の欠格基準を改善すること。
    I特別昇給の実施にあたっては、従来の経緯・慣行を踏まえて、民主的に行うこと。
    J表彰時特別昇給(「永年勤続感謝特別昇給」)を12月短縮とし、在職者調整を行うこと。
 (7)高齢者・中途採用者の賃金について改善すること。
    @経験年数換算率の改善を図ること。
        A他大学から昇任した教員の最高号級の見直しを行うとともに、初任給決定にあたっては、他の教員との較差をなくすこと。
4.諸手当の改善について
 (1)調整手当改善・大都市手当要求について
    @調整手当の地域指定を廃止し、本給への繰入れを行うこと。
    A大都市の実態に見合った「大都市手当」を公民格差の枠外で新設すること。
 (2)扶養手当の支給額を引き上げるとともに、それに要する財源は、人勧「原資」の拡大や別枠で措置すること。 (3)住居手当を大幅に引き上げるとともに、その財源は人勧「原資」の拡大や別枠で措置すること。
 (4)通勤手当は全額実費支給とし、交通用具使用者に対する支給を改善すること。あわせて、全額非課税とすること。
 (5)単身赴任手当の支給基準を見直し、私立大学からの採用者にも支給すること。
 (6)退職手当の算定基礎に調整手当を加えること。
 (7)特別給(一時金)について
   @「職務段階別加算」を廃止し、一律6カ月以上とすること。

    A「職務段階別加算」廃止までの間、当面、行(一)4級相当級全員に5%適用を拡大すること。     B勤勉手当を廃止し、期末手当に一本化するとともに、成績率を導入しないこと。
    C基準日勤務の支給条件を改め、支給期間内に勤務実績(みなしを含む)がある場合は支給すること。
(8)特殊勤務手当について、次の手当を新設あるいは改善すること。
   @夜間勤務手当を新設すること。
   A入試手当を新設すること。

   B都立短大について、専攻科手当を新設すること。

   C大学院研究科担当手当を増額し、調整額とすること。

   (現在の額は国の70%程度である。)

   D夜間授業手当を増額し、八時間条項を廃止すること。

   E交替制勤務者等業務手当を抜本的に改善すること。

   F不規則勤務者業務手当の支給要件のうち、「4週間に土曜日勤務1回以上」を改正し、図書館職員にも支給できるようにすること。

 (9)超過勤務手当の割増率を150/100、200/100に引き上げるとともに、休日給・夜勤手当の改善を行うこと。
5.再雇用職員の賃金・労働条件の改善について
 (1)賃金を正規職員と同様に引き上げるとともに、諸手当を改善・新設すること。
 (2)一時金を支給すること。
 (3)休暇・福利厚生などの改善を積極的に図ること。
U.労働時間の改善について
1.時間外労働の上限規制と割増賃金率の引上げ、年次有給休暇増、労働時間弾力化規定の縮小・撤廃などを内容とする労働基準法の抜本的 改正を行うこと。
2.都立大学の学校5日制について早期に検討し、必要な条件整備を行うこと。
3.時間外労働について、実効ある超過勤務規制を行うこと。
  また、それを担保するのに必要な人員増を行うこと。
4.公務職場への変形労働時間制導入など労働時間の弾力化を行わないこと。
5.夏季休暇の日数増を行うこと。
6.リフレッシュ休暇の日数増や運用の改善を行うこと。
7.教員のサバティカル制度を創設すること。
V.福祉関連要求、福利厚生事業について
1.全職種・男女労働者対象、有給、現職復帰、正規代替職員配置、本人選択制を踏まえて育児休業制度の改善を行うこと。当面、取得者全員に育児休業給を支給すること。
2.安心して介護に専念できるよう、期間の拡大、有給保障など介護休暇制度を改善すること。
3.都当局は、使用者責任に基づく福利関連要求を積極的に実現すること。また、共済組合に対する支出を増額し、福利厚生事業に関する都 労連要求を実現すること。同時に、大学・短期大学の福利厚生事業団「支部」の活動を強化すること。
4.年金の統合一元化に反対し、基礎年金の改善、労・使の負担割合の改善について政府に働きかけること。
5.職員住宅の大量建設、住宅資金貸付制度の改善など、職員の住宅難解消に努力すること。
W.労働基本権の確立について
1.ストライキ権など労働基本権の確立に努力し、関係法規の改正などを政府に働きかけること。
2.教職員の賃金・労働条件の決定・変更については、「労使対等決定」の原則に基づいて組合と誠意をもって交渉すること。
3.「大学改革」を口実とした、賃金・労働条件の改悪を一方的に行わないこと。
4.労働運動を理由とする行政処分を一切行わないこと。また、過去の処分を速やかに撤回し、実損回復の措置を行うこと。
X.都における最低賃金について
  都に雇用される労働者の賃金水準を最低都職員高卒初任給基準以上 とすること。
  だれでも、時給1,000円、日給7,400円、月150,000円以上の最低賃金制度を実施すること。