2002年度賃金確定闘争等を理由とする中央執行委員に対する不当処分に厳重に抗議し、その撤回を要求する

               2003年2月4日 東京都立大学・短期大学教職員組合中央執行委員会

1 都当局、2002年度賃金確定闘争等を理由に309名を処分

 都当局は2月3日、2002年度に行なわれた賃金確定闘争などを理由として、都労連と各組合の役員等309名に対して、停職18日を最高とする大量の不当処分を強行しました。
 私たちの組合に関しては、29分職場集会(1回)と都庁舎内での座込み行動(3回)についての都労連と組合の機関責任を理由として、青木財政部長(元都労連非常駐執行委員)が停職4日、小林書記長(都労連非常駐執行委員)が停職3日、後藤執行委員、田口執行委員、三浦執行委員が停職1日の処分が強行されました。

2 2002年度賃金確定闘争での行動は、給与削減措置終了の労使合意の履行などを求める正当な行為で、処分は不当

 2002年度都労連賃金確定闘争は、人事委員会勧告史上初めてのマイナス勧告が出される中、また、都当局の二度にわたる労使合意の蹂躙の結果としての2002年8月からの4%給与カットの再開という状況で闘われました。都側は、マイナス勧告と給与削減措置の「ダブル削減」は当然としたうえで、労使合意を踏みにじり「削減措置の延長」を強要しようとする不当な態度を取り続けました。また、都議会決議や「都民の目」を理由としてあげながら、「内部努力」の一環としての人事制度の改悪提案を行いました。
 これに対して都労連は、都側の「労使合意」を踏みにじろうとする態度や都側提案の一方的押しつけを厳しく批判し、問題解決に向けて、粘り強く、且つ誠実に労使交渉を重ねてきました。そして、都側の不当な攻撃と全面的に対峙し、組合員の切実な要求を獲得するために、様々な行動を展開してきました。不当な攻撃に対して、反対の立場を表明し、理不尽な提案に対して撤回を求めて闘うことは、労働組合として極めて当然で、正当な行為です。
 今回の闘争では、数次にわたる決起集会や都庁早朝宣伝、座込み、全戸ビラ入れ、知事への要請はがき、全都議への要請等、多様な取り組みを行ってきました。都当局の、組合との約束=労使合意を守らず、マイナス勧告と給与削減措置の「ダブル削減」の不当な攻撃に対して、まさにやむにやまれぬ行動でした。にもかかわらず、都当局は理不尽にも不当な処分と言う暴挙に出ました。
 石原都政となってから、1999年度の賃金確定で、都労連は「給与削減の時限的措置」について、当局提案の期間や削減率を縮減させたとはいえ、2000年度・2001年度の2年間の削減を受け入れざるを得ないという「苦渋の選択」をしました。この受入れに当って、石原知事は都労連に対して、「この措置を講じてもなお生じる財源不足については、別の対応を検討していくこととする」と発言していました。2001年賃金確定闘争では、石原知事から、1999年の労使合意に反し、「給与削減措置(給料4%カット)の延長」がたびたび発言されました。しかし、都労連に結集する組合員の強い要求と運動を背景にした11月19日の都労連矢沢委員長と石原知事とのトップ会談で、「労使合意のとおり、4%カットは2年間で打ち切る」ことで一旦は合意し、決着しました。
 ところが、石原知事は、給料の4%カット終了の労使合意を行っておきながら、また、それに基づく条例を12月都議会に提案しておきながら、「4%カット打ち切りは本意でなかった」などと、「行政の長=使用者」としての「自覚」も「責任」もない発言を行いました。12月の定例都議会で、都議会自民党と公明党は「職員の給与の特例に関する条例の一部を改正する条例」などの継続審議と、「都職員給与の一部削減措置の継続を求める決議」を、民主党、日本共産党、生活者ネットワークなどの反対を押し切り、多数決で強行しました。
 しかも都議会自民党と公明党は、2月20日に始まった2002第1回定例都議会で、一般職員の給与削減措置を継続する特例条例案を議員提案で行いました。「労使合意」を踏みにじり、都議会の会派が「労使合意」に介入する極めて異例の事態でした。
 こうした事態の中、3月6日に行われた都労連中央委員会で矢沢委員長(当時)は、「都労連委員長として、辞表を出しました。自らの責任をとるとともに、これによって労使交渉の再開をお願いします。」と述べ、給与削減の時限的措置の再交渉を行い、職員の給与問題を労使交渉で解決することを明らかにしました。再交渉の中身は、都議会自民党と公明党による条例提案「2年間・給料4%カット」に対して、労使合意によって、実施時期とカット率を決めるという判断です。3月22日に行われた団体交渉の結果、2002年8月から2003年7月まで、4%給与カットを行うことで労使合意が成立し、都議会の介入という最悪の事態を回避することができました。
 前述のような、度重なる労使合意の不履行、賃金条件改悪の理不尽な攻撃に終始する都側に対して、労使合意の履行と賃金条件改悪反対を求めて行動することは、労働組合として極めて当然であり、正当な行為です。特に、「労働基本権制約の代償措置である人事委員会勧告に基づいて、民間給与との格差是正を目的に決定され実施されてきた給与」を削減する措置が、労使合意のとおり終了されず、継続のおそれが現実にあるときに、つまり、都当局が労使合意遵守の義務を履行しないため、権利侵害を受けるおそれがあるときに、その権利を守るために一定の行動を行うことは、労働組合として極めて正当な行為です。その行動も、29分職場集会という、短時間かつピケを張ってのストとは異なる任意参加の職場集会であり、業務への支障は皆無と言ってよく、その目的や態様からいって、なんら処分されるいわれはないものです。また、都庁舎での座り込み行動は、「給与削減措置の終了」の労使合意を守らず、その延長や一時金への成績率導入などの攻撃に対して、それをもっぱら主張している総務局人事部・勤労部、財務局主計部前等で、労使合意の履行等を求めたものです。座り込みは、極めて静穏に行われ、業務や都民生活に対して、なんら支障を与えませんでした。この座り込み行動を理由として、都当局は、処分の「加重」を行っていますが、その目的や態様からいって、これもまた、なんら処分されるいわれはないものです。
 さらに、昨年11月に出された、ILO結社の自由委員会の中間報告では公務員の争議行為に対して「この権利は労働者および労働者組織の基本的権利であること。(中略)労働者および組合幹部は正当なストライキを実施したことにより処罰されるべきでない。(中略)したがって、委員会は(日本)政府に対し、これらの原則に合致するよう法律を改正するよう要請する」との判断を下しています。今回の不当処分は、世界の常識からも逸脱したものです

3 処断されるべきは、労使合意を守ろうとしなかった都当局
  都当局は不当な処分を撤回せよ!

 処断されるべきは、スト権剥奪をはじめとした労働基本権制約の代償措置である人事委員会勧告制度に基づいて実施されている給与の、その削減措置を2年間で終了させるという労使合意を守ろうとしなかった都当局です。
 中央執行委員会は、都当局による今回の処分に厳重に抗議し、その撤回を要求するものです。
 同時に、組合は都当局の不当な処分攻撃にひるまず、2003年春闘・確定闘争等の賃金闘争、人員・予算要求闘争、大学改革問題等を、都労連に結集し、都庁職等他の労働組合や広範な都民と連携し、組織の総力をあげて闘って行くことをはじめとして、諸要求の実現に向け奮闘するものです。