大学改革学生説明会に500数十人参加、熱気に満ちた質疑  −「大学改革の現況について」学生説明会傍聴記−

1 日 時 1015日(火)4‘時限(実時間は午後425分〜5時50分)
2 会 場 教養部教室棟120番教室
3 説明会概況
 座席数400の教室が満席で、通路に座り込んでいる人や立ち見者がかなりいました。
 司会者(学生部長)から映像はなく音声だけだが、110番教室に第2会場を設けている旨の紹介がありました。後で聞いた話では、110番教室にも100人以上が参加していたということです。4‘時限という限られた時間内でしたが、学生や総長、学部長の話に拍手(時には、軽いブーイング)が出るなど、熱気に満ちた説明会でした。なお、この傍聴記は、発言を項目ごとに整理しましたので、必ずしも発言順ではありません。また、発言内容についても組合情宣部の責任において、まとめさせていただきました。

 (1)総長による経過説明

最初に総長が、経過として、@730日以前の都大学管理本部と4大学との検討体制と到達点、A81日の状況と「新しい大学の構想」の内容、B812日付の総長見解表明、C829日以降の検討体制の問題、D大学管理本部による9月22日の総長・学長に対する意見聴取と総長意見書掲出、D「同意書」についての9月29日の総長意見書提出、E10月7日の総長声明、等について説明し、「今後の問題として総長声明どおり設立準備体制の再構築と改革についての積極的な提案をしていきたい」と結び、学生の率直な意見を求めました。

(2)学生との質疑応答

   質問・意見表明者は、9名(学部8=人文4・経済2・理1・工1、大学院1=人文)

【学生の身分保障・カリキュラムについて】

経済2年(A類自治会委員長)−現大学のすべての学生が卒業するまで、カリキュラム等の学習環境を保障してほしい。

総長―大学管理本部に問い合わせたその回答を含めて、今の段階でいえるは、在学生については卒業に必要なカリキュラムは保障される(まだ詳細が決まっている訳ではないが、@新大学でも現行大学の授業科目を提供する方法、A現行大学と新大学の相乗り授業の方法(授業科目は現行大学の科目名)、B新大学でとった科目を現行大学の科目に読みかえる方法の併用により)、教職課程については、管理本部も文科省に問い合わせたようだが、文科省の回答はそれは保障されなければならない、ということだった。大学院についても現在在籍する学生の教育課程は保障される、新大学院の内容は検討中であるが、カリキュラムは保障される、ということである。

人文4年−今の学生証・学生身分がそのまま通用するのか、新大学になっても現在の学生は都立大卒となるのか。

総長―私も大変気になって管理本部に問い合わせた。「法人化後の大学の設置について現在、文科省に相談中であり、その中でこの問題についても相談している」ということであった。いま、総長として責任を持っていえるのは、ここまでである。

人文3年 いま学部3年で平成17年に卒業するが、新大学院の発足は平成18年だという。学生の身分保障について管理本部に問い合わせ中ということであるが、なぜ、もっと強く主張できないのか。

総長―管理本部に問い合わせたのは、新大学の組織形態として1法人1大学とかいろいろな形態があるので問い合わせた。結論を管理本部に預けた訳ではない。その答えによって、納得できないことについては意見を言う。

【改革(運動)の進め方について】

経済2年(A類自治会委員長学生)―学生の意見を聞くために学生との協議会を設けてほしい。

総長―現在の状況を私なりに判断すると、こういう説明会や自治会の大会決定事項やその他の方法を最大限使って学生の声を聞いていくのが、有効な方法だと考える。

経済2年(A類自治会委員長)―学生全員にアンケートをとって大学管理本部に学生の声を示していくべきである。2,000枚や3,000枚は集まるはずだ。

総長―私の希望としては、学生が自主的・主体的にアンケート活動をし、それを集約・分析し、発表するというような形をとってほしい、と思っている。

人文博士1年―新大学構想のとおりに人文系の縮小が行われたら、現在の研究レベル、教育レベルが低下する。また、大学全体のレベルも低下する。学生の質問や意見を大学管理本部総務課に届けよう。

1―「都立大理学部1年生44クラスアピール」を出そうと思う。他の学生もアピールや意見を大学や大学管理本部に出してほしい。

経済4年(元B類自治会委員長)81日に今までの合意がことごとく破壊された。B類廃止もそうであった。学生にも事前に情報を公開して、教員、学生、職員の合意で新しい大学を作っていくことが必要と考える。

人文4―新構想が出てくるに際し、大学側に少々油断があったのではないか。

総長7月の動きから変化はあることは予想していたが、これほどドラスチックな新しいプランが出てくるとは思わなかった、というのが正直な感想である。

人文4―3大学は同意書も提出し、学長も新構想に基本的に賛同していて、都立大が孤立しているように見える。このことは新大学発足後、学生の間にもしこりを残すことになりはしないか。これをどうやって3大学と関係を修復するのか。                               

総長―私は3大学と意見を対立させたということはない。私は教員の人たちの意見をできるだけ聞いて、その一致したところで行動してきて、声明に至った。その声明が他の学長と違うということであるが、実際問題として、大学院の問題とか教養教育とかについて、都立大学の中にワーキンググループをつくり数日中にまとめ、教学準備委員会に提案し、

他の大学の学長や管理本部と協議していきたい。私の声明の趣旨は、協議を尽くすべきである、ということである。

人文4―人文と身体運動科学以外の学部はほとんど過員も発生しないようであるが、なぜ人文学部だけけが半分近く減らされるのか。

総長―私から積極的な言い方をすると、新大学で教養教育を充実させる=全国的に教養教育の重要性が叫ばれている=必要がある。教養教育を充実し、発展させるためには、人文系の学問が重要である。卑近な例で言えば、ビジネスマンが自国の文化や出張先の文化について語れることは素養として必要であり、産業界もそれを求めている、等々がある。

4―工学部の有志で総長声明を支持する意見書をつくったので、いま提出したい。(拍手の中、総長に提出)

【同意書問題等について】

経済2年(A類自治会委員長)―同意書の提出は絶対すべきでない。
総長管理本部の同意書提出要求を白紙撤回するようにというのが私の   姿勢である。
経済4年(元B類自治会委員長)―
工学部教授会では同意書を出す動き   がある。同意書は絶対出すべきでない。
人文3年同意書は出すべきでない。

人文
1
―この改革案を見ると唯一工学部だけが学部が分れ、キャンパスが分れる、ということだが、それについて工学部長としてどう思うか。

工学研究科長―科技大は工学部と非常に近い。従来も一緒にやってきた。同意書問題が言われているが、科技大と一緒にやっていかなければならない。皆さんが言われているような同意書は出さない。

人文4年―同意書問題について他の学部の対応を聞きたい。

人文学部長―一同意書は一致して提出しない。

法学部長―明日の教授会で話し合って決める。

経済学部長―明日の教授会で話し合って決める。

理学研究科長―私の信じていることを言う。結果を見てほしい。

都市科学研究科長―都市研としては全学でまとまって行動することを確認したい。

                                      以上