第1号決議 東京都の不当な「新大学構想」準備に抗議し、 東京都は八月一日、「都立の新しい大学の構想」を突然発表した。四大学との協議に基づいて準備されてきたそれまでの改革構想を一方的に破棄するそのやり方や、新大学の教育研究に重大な支障を生じさせる内容を含む「新構想」について、私たち教職員組合は、八月四日、直ちに中央執行委員会声明において、それを強く批判し、撤回を求めた。しかし大学管理本部は、「新構想」は設置者権限による旧大学の廃止と新大学設立であるとして、八月末以降、都立大五学部(研究科)長、科技大・保科大学長らに、新構想に積極的に賛同する個人としての準備体制への参加を迫り、守秘義務を課すなど、密室のもとでの一方的な推進を強行してきた。 こうした八月以降の大学管理本部の「新構想」推進は、四大学とこれから誕生すべき新大学にとって、きわめて重大な事態を生んでいる。 その第一は、四大学が合意し議会などにも報告されてきた従来の構想が、都民にも十分な説明のないまま、「設置者権限」の名の下に行政としての民主主義的手続きと説明責任も果たさぬまま、覆されたことである。 第二に、大学管理本部という行政機関が新大学の構想から学部等の構成やカリキュラムに至るまでを実質的に作成・決定するという進め方を通して、憲法に保障された大学の自治や教育基本法に保障された教育の自由が踏みにじられていることである。 第三に、八月末以降の準備体制が、四大学の教授会・評議会など正規の審議・意志決定機関の機能を大きく疎外することで、民主主義が著しく犯されていることである。 さらに「新構想」に伴っては、教員定数の大幅な削減や、全教員への任期制・年俸制の導入がうたわれ、助手の身分への言及が一切ないなど、私たち教職員の雇用と身分、諸権利にとっても重大な問題が生じている。 私たち教職員組合は、こうした事態に対して、大学管理本部の不当な進め方の一つ一つに強く抗議するとともに、それぞれの大学の中で民主主義を回復させることを訴え、多くの教職員とともに奮闘してきた。 とりわけ九月二五日、大学管理本部が助手を除く全教員に提出を求めた「同意書」にはその不当性とともに、内容や形式からはその提出の有無が法的行政的になんら一人ひとりの教員の将来を拘束するものではないことを指摘してきた。教学準備委員会での大学教員委員の強い抗議、都立大総長の声明など多くの教職員の奮闘の中で、もはや大学管理本部も、「口外しない」などを教職員に求めることは実質的にできない状況がつくられている。このことからも、不当な「同意書」はもはや無効なものとなったことが明らかである。 また私たち教職員組合の解明要求への回答からは、大学管理本部が、大学・議会・都民等には「旧大学の廃止」「新大学の設置」と言いながら、文部科学省には旧大学の「改組・転換」として手続きをおこなおうとしていることも明らかにされた。「廃止・新設」を都民への欺瞞、教職員への恫喝の手段として使う、大学管理本部のこのような二枚舌を許すことは断じてできない。管理本部は真に実体のある新大学作りに向けて、大学との対等な協議・準備体制に早急に復帰すべきである。 よりよい大学改革を進めるためには、密室的で強権的な改革ではなく、あらゆるレベルの民主主義を回復させ、教職員・学生院生や都民らの声を十分に反映させることこそ必要である。私たちは不当で不正常な「新構想」準備の実態を都民・市民や全国の大学人、さらに都議会・国会などにも広く訴えるとともに、それらの人々の声と力に依拠した真の大学改革を目指したい。 私たち教職員組合は、東京都の不当な「新構想」準備に対して、大学の自治と民主主義、教育の自由を守り、また現在四大学に学ぶ学生・院生、将来私たちが迎え入れる学生・院生らの学習・研究を守るため、四大学の教職員・学生・院生、都民・市民、全国の大学人らと連帯し、一層奮闘するものである。 右、決議する。 東京都立大学・短期大学教職員組合 2003年臨時大会 第2号決議 横浜市立大学教員組合の闘いを支援する決議 現在、横浜市立大学では「あり方懇」の答申を受けて大学改革推進本部の主導の下に、強権的かつ強引に改革の準備が進められている。「改革の目玉」と呼ばれているのは、@プラクテイカルなリベラルアーツ、教育に重点、A3学部を統合、B学府―院構想、C公募制、任期制、年俸制、D学長と理事長の分離、であると言われている。しかしながら、以下のような問題点を含んでおり、「改革」と呼べるものではない。 1)まず手続き上の問題点である。各学部教授会の反対決議や意見だけではなく学生・院生から反対意見が多くあるのに、ほとんど無視されている。 2)次に改革の中身の問題点である。@プラクテイカルなリベラルアーツ、教育に重点、A3学部を統合、B学府―院構想、のいずれも学問的に裏打ちされたものではなく、机上の計画に過ぎない。さらに横浜市大が永年培ってきた研究面がほとんど言及されていない。 3)次に一律任期制、年俸制が検討されていますが、「任期制法」にもあるように、任期制は特殊な場合に限定されたもので、一律任期制は法の精神にも反する。 4)また学長と理事長の分離と、理事長を学長の上に置く案は、理事長の独裁をまねく可能性があり、大変危険である。 このままでは、これまで横浜市立大学が永年時間をかけて築きあげ、蓄積してきた研究と教育の財産は新大学に継承されるどころか、全く無に帰することになりかねない。そうなれば、これは横浜市立大学が築き上げた知的財産の恩恵に浴するすべての人々にとっての損失であり、横浜市だけの問題ではない。さらに、このような手法が今後の大学改革の悪しき前例となれば、日本の大学教育そのものが危機に瀕する可能性がある。 とくに注目しなければならないのは,横浜市立大学に仕掛けられている攻撃が都立四大学への攻撃ときわめて酷似しており、明らかに同じ根を持った大学と教育研究への抑圧だということである。 したがって、我々はこれまでの横浜市および横浜市立大学当局の手法に抗議すると共に、横浜市立大学教員組合の闘いに全面的に支援し、ともに闘うことを決意する。 右、決議する。 2003年10月25日 東京都立大学・短期大学教職員組合 2003臨時大会
第3号決議 大会宣言 4月の都知事選挙で再選された石原知事やその周辺は、都政運営を「より過激にやる」など強気の姿勢を強めている。8月1日の大学改革に関する記者会見にみられるように、強権的に、それまでの積み上げられた検討内容そのものまで、最終局面で一方的にひっくり返そうとするなど、力を背景に、乱暴なやり方で結論を強要する姿勢が一層強くなっている。 ニューパブリックマネジメント(新しい行政経営)と総称される「改革」が、現場教職員の声、都民や学生・生徒・保護者・利用者らの切実な声を無視しながら、教育・医療・福祉など、都政のあらゆる分野に押しつけられようとしている。 都における大学の独立行政法人化は、学長と理事長とを分離し経営を教学の上に置く、国と異なる形態で、新構想では教員への任期制や年俸制の導入、一部の部門を将来、独立採算制のもとに置くことすら示されている。 「貰ってもいない給料と比較したマイナス勧告と、給与削減措置とのダブル削減は、絶対に認められない。」「4年も続いた給与削減の時限的な措置は、もういい加減にやめてほしい。」「労使合意は、守ってほしい。」都に働く教職員の切実な叫び声である。 第2次財政再建プランは、内部努力として、4000人もの職員の削減や「民間企業は、自己都合退職と定年退職の退職金に差がない」などと主張して、「会社都合退職」のない、私たち公務員の退職手当の削減を画策している。「余った職員を警察に派遣する」という石原知事の発言は、残業しなければ仕事が終わらない職員の大きな怒りをかっている。 大学の自治と民主主義、都立4大学の教職員と学生が50年以上にわたって築き上げてきた有形無形の財産、私たちの生活と雇用や権利を守り抜くため、東京都立大学・短期大学教職員組合は、全国の仲間と連帯して闘うことを宣言する。 右、決議する。 2003年10月25日 |