管理本部による教授会の教学権のたび重なる侵害に
厳重に抗議する!!

──管理本部の提案した「新大学の大学院設置時期および現大学の取り扱い、経過措置等について」案の白紙撤回を求める──

 管理本部は10月31日付けで、「新大学の大学院設置時期および現大学の取り扱い、経過措置等について」を学生、院生にむけて発表した。 

まず第一に糾弾しなければならないのは、都立大学、科学技術大学および保健科学大学の現学生の身分や修学上の基本問題に対して、学校教育法、大学設置基準などあらゆる法規や各大学の学則に照らして、一切権限を持たない管理本部が各大学や大学院の存続期間や学生の身分を教授会や評議会に諮ることもなく勝手に決め、なおかつそれを「お知らせ」と称して垂れ流してきた無法ぶりである。これはまさしく8月1日の新構想の知事発表にもまさる教育と大学への攻撃であり違法行為である。
 これまで再三、述べてきたように、学生や院生の身分に関すること、又教員の処遇については現4大学で決定すべきことで、百歩譲って、言葉の真の意味で新大学が新設であるとしても、旧大学と新大学の学生の身分の継承や移動は両大学教授会の協議で決めるべきことで、たび重なる管理本部の一方的かつ違法な発表に教職員組合は強く抗議するものである。

 内容的にも学生、院生、教員の取り扱いについて多くの問題点を含んでいる。管理本部によれば
1)現大学の扱い(1法人5大学)
・新大学の設置に伴い、現大学は廃止し16年度を最後に学部・大学院ともに学生の募集を停止する。
・平成16年度以前に現大学に入学した学生が在学する一定期間、都が設立する公立大学法人の設置する大学として存続させる。
・すなわち、現大学に入学した学生は原則として、現大学で卒業する。となっている。
 問題点は、現大学に16年に入学する学生やそれ以前に入学した学生の身分は最高、平成22年度までしか現大学でありえないことである。つまり16年入学の学生の在学期間は最高7年である。種々の事情により休学や留年を繰り返し、それ以上在学しようとする学生の身分については新大学への編入などと述べてあるが、編入により学生の意向を無視することが生じることもあり得る。又、すでに述べたように、このような学生の身分に関することは本来、新大学教授会・評議会の議により学則や定款上明確にすべきことであり、管理本部が一方的に決めることではない。まさに大学の自治の侵害である。
 「大学院」に関して管理本部は以下のように述べている。
2)大学院設置に関する基本方針

・都立新大学の新たなコンセプトに基づく大学院を平成18年度に開設する。
・新大学における大学院教育・研究のあり方(分野の設定、カリキュラムの組立方、教員組織等)を今後十分に検討した上で、詳細な制度設計・再編成を行う。
・17年度においては暫定的に現都立3大学の大学院構成を新大学の大学院として設置し、学生を募集する。
となっている。
 大学院も学部以上に大きな問題点を含んでいる。学部と同じように16年度およびそれ以前に入学した院生の在学期間は平成22年度までとなっており、特に大学院の場合、研究の特殊性から在学年数が伸びることが頻繁にあるがその保障が平成22年までであり、問題である。さらに問題なのは、平成17年のみ暫定大学院生を設置し、院生を受け入れることである。その組織は現都立3大学の研究科のままでありながら「新大学の大学院」となっている。旧大学院、暫定大学院、新大学院の院生間の身分が複雑になり、なぜこのような混乱を引き起こすような軽率な案を提示するのか理解に苦しむ。さらに暫定大学院の在学期間は平成22年までの6年間であり短すぎて問題が多すぎる。又、工学研究科は都立大学にも科学技術大学にも同じ名前であり混乱を生じる。はたして将来の修学研究条件が不透明な暫定大学院のような所を希望するような学生がいるのであろうか?また、16年度以前の修士課程の院生や17年度暫定大学院に入学した院生は博士課程に進学しようとすると、新大学院になり、希望する分野や指導教員がいない可能性もあり、数多くの重大な問題点を含んでいる。

 
 さらに管理本部は「教員審査と17年度の所属」に関して以下のように述べている。
・18年度の設置申請に当たっては、「大学の設置等の認可の申請手続き等に関する規則」に定められる教員審査を受けることを前提にする。
・17年度においては大学院を暫定的に設置することから、原則として、教員は学部所属とし、18年度の大学院の設置申請において大学院を担当する教員を大学院所属とする。
 なお、大学法人の運営に関する組織単位については別途、検討する。
となっている。 
 教員の身分に関しては17年度、法人化され「移行措置」により新大学学部所属となるようであるが、18年度の大学院新設の際に学問体系を無視した「設置者権限」と称する恣意的な差別選別が行われる可能性がある。新大学院の構成内容によっては、現に院生を抱えていながら新大学院生の指導ができない教員が多数出てくる可能性があり、首切りの口実にされる可能性がある。

 教職員組合は、手続き的に違法、内容的にも以上のような場当たり的で混乱を生じるような、今回の管理本部の案に対して白紙撤回することを要求する。