緊急声明
  −東京都による非民主的な都立4大学「改革」に抗議する−

 現在、東京都は新大学設立の準備を進めている。しかし、とくに以下の3点に見られるように、今日に至るその手法は、非民主的で、健全な市民的常識、「改革」の社会的な通念からかけ離れており、到底容認できるものではない。
 
  1.都が事前に何の説明もなく、都立新大学設立準備委員会の廃止、同委員会が作成していた計画の破棄を、一方的に行ったこと。また、これにかわる新たな基本構想が、研究教育の当事者である大学をはじめ、都議会にも知らされないまま作成されたこと。

  2.その後の準備委員会に参加する大学教員に対して、新しい構想への積極的賛成を前提とし、検討事項の守秘義務を課すという、都の意向に対する反論を一切封じる体制をとったこと。

  3.同じく新しい構想への賛同と詳細設計の守秘を誓う「同意書」なるものの提出を教員に求め、設置者である都自らが、大学教員が本来果たすべき社会的使命や責任を、放棄するよう迫ったこと。

 このままでは、これまで都立大学が時間をかけて築き上げ、蓄積してきた研究、教育の財産は新大学に継承されるどころか、全く無に帰することになる。そうなれば、これは 都立大学が築き上げた知的財産の恩恵に浴するすべての人々にとっての損失であり、東京都だけの問題ではない。さらに、このような手法が今後の大学改革の悪しき前例となれば、日本の大学教育そのものが危機に瀕することになる。
 ここに私たちは、これまでの都の手法に抗議するとともに、教育に責任を持つ教員、教育を受ける権利を持つ学生・院生の意見を広く聴き、議論を公開しながら、大学改革を進めるよう、東京都に対して強く求めるものである。

2003年10月21日
            

                    神戸大学教職員組合中央執行委員会