2003年賃金確定闘争の決着にあたって

                        都労連執行委員会
                      2003年11月18日

1.秋季年末闘争は、小泉「構造改革」路線の「骨太方針V」に基づく、「総人件費削減攻撃」が全国的に展開され、マスコミ等を使った意図的な公務員給与バッシングが行われる中で闘われました。しかも、10 7日、都人事委員会は、平均△3,542(0.80%)、一時金削減0.25月のマイナス勧告を行いましたが、5年連続、過去最大の削減額(16.9万円)で、私たちの生活を直撃するだけでなく、「2%給与削減措置」を実施している現実や、春闘相場も無視した「政治的勧告」で、極めて問題のあるものでした。これに加え、「第二次財政再建推進プラン」で、「内部努力」の柱の一つとして、「給与関係費の見直し」が取り上げられ、確保すべき財源目標が500億円と具体的に明示されただけでなく、これに加え、「臨時的・時限的な財源対策を講じる必要」があるとして給与及び退職金の削減に集中的に攻撃がかけられましたこうした中、秋季年末闘争では、都労連要求を実現し、組合員の生活防衛と労働条件改善を求めると共に、給与削減措置を終了させ、新たな給与削減の阻止、退職手当削減反対などの課題が最大の焦点として闘われました。 

2.都労連は、1020日、中央委員会を開催し、「ダブル削減」など新たな給与削減は論外であり、「退職手当」の削減を許さず、人事考課制度改善など都労連要求の実現に向けて、全組合員参加の大衆的な闘いを展開する「秋季年末闘争方針」を決定しました。都労連は、4年間、厳しい給与削減に耐えてきた職員にとって、これ以上理不尽な給与や退職手当の削減は認められないという生活防衛の闘いとしてだけでなく、公務員賃金の削減は、「マイナススパイラル」を加速させるものとして、庁内外世論作りも含め、都労連6単組が団結し、秋季闘争を全力で進めてきました。そして、都労連は、1031日の代表者会議で、秋季年末闘争の「山場」について、18日(火)とし、2時間ストライキを構え、労使交渉で自主解決に向け、全力で取り組むことを決定しました。

3.秋季年末闘争方針における労使交渉は、10月7日の勧告を受けて、14日の小委員会交渉で、協議項目の整理を行いましたが、殆どの課題で、労使の主張は、厳しく対立・乖離したものとなりました。こうした中で、都当局は、給与本体について、「給与削減措置は内部努力の問題、勧告は給与水準の問題で別次元」「勧告の取り扱いに止まることなく、あらゆる内部努力の方策を検討していく必要がある」との姿勢を明らかにし、新たな給与削減も視野に入れた主張を展開しました。これに加え、「マイナス勧告の実施」と「給与削減措置」のいわゆる「ダブル削減」は「別次元のもの」との主張を繰り返し、「所要の調整」についても、「当然とする」主張を繰り返していました。また、退職手当についても、国の制度改正に伴う支給率だけでなく、給料表構造や昇給・昇格制度の仕組み、算定基礎、過去の職責、業績・貢献度、役職間の格差など、手当の性格まで変質させる「退職手当制度のあり方」を検討する必要があると主張しました。そして、11 7日には、退職手当の具体的削減提案を行い、支給率の引き下げ、支給率カーブの「中ぶくれ」見直し、最高支給率到達年数の引き上げ、名誉昇給の廃止と見直しという全面的改悪を押し付けようとしてきました。これは、都労連の厳しい批判もあり、「退職手当制度のあり方」まで変えることは断念していますが、内容的には、最高支給月数が国を下回るなど、不当極まりないもので、「老後の生活設計」を破壊する「削減ありき」としたものでした。しかも、都側は、これら「内部努力の方策」の具体化の押し付けに固執するだけで、人事考課や人事給与制度、時短・休暇制度、島嶼職員、福祉関連要求など都労連要求には全く応えようとせず、不当な交渉態度を取ってきました。

4.都労連は、11 4日に、団体交渉を持ち、年末一時金要求(3.0月分を1210日支給)を提出しました。これに加え、給与のダブル削減や「所要の調整」は認められないとした上で、2%給与削減措置について、「労使合意の遵守」を明言するよう申し入れました。しかし、副知事は、それに一切回答せず、社会経済情勢や都財政の状況は依然として厳しいなどとして、「更なる内部努力について、早期に皆さんにお示ししたい」と新たな給与削減を視野に入れた不当な姿勢が表明され、団体交渉は物別れのまま終了しました。都労連は、都側が「約束通り給与削減措置の終了」を明確にならないもとでは、「労使交渉は先に進めない」として、労使交渉の促進を求め、都労連委員長と副知事の会談を11日に持ちました。都労連委員長が「給与削減について昨年の労使合意の遵守」を求めた結果、副知事は「労使合意を守っていく立場にある」として、都側の姿勢を再確認させました。

5.都労連は、新たな給与削減に歯止めをかけた後、12日から15日まで集中的に交渉を進めてきました。都労連は、この中で、業務職給料表の要求に沿った提示、通勤手当制度の改善、福祉関連要求、教育職の1級賃金改善、人事考課制度の改善、定期昇給延伸問題や昇任・昇格など人事給与制度改善、島嶼職員の賃金・労働条件改善などについて、具体的協議を求めてきました。しかし、都側の姿勢は、給与のダブル削減や「所要の調整」、退職手当削減などの改悪提案に固執する一方で、都労連要求には、具体的に応えないという姿勢を変えませんでした。こうした中、都労連は、都労連要求に踏み込んだ議論や対応を求めましたが、都側の交渉態度や基本姿勢は、「全力をあげて検討している。時間を貸して欲しい」とするのみで、一歩も変わらず、この結果、15日の小委員会交渉を最後に、労使交渉は中断しました。

6.都労連は、事態打開を求め、18日の2時間ストライキを背景に、15日から16日まで、土・日も含め、都労連常駐部による人事・勤労部長、各単組書記長による人事・勤労部長申し入れなどを行い、「都労連の要求について、メリハリ付けて要請行動も行ってきた。交渉促進の為には、それに具体的考え方や回答を示すべきだ」「このままでは回答などを検討する時間もない。18日までに解決は困難になる」など都側の交渉態度や基本姿勢を改めるよう求めました。また、17日には、各単組委員長及び都労連常駐部による総務局長申し入れを行い、改めて、交渉促進のため、都労連要求に対して踏み込んだ決断求め、その結果、「副知事とも相談して、判断したい」「専門委員会・小委員会交渉の持ち方も含め検討する」こととなりました。その後、都側から、専門委員会を開催して、都労連要求の一部について、回答したいとして、17日午後5時30分から専門委員会交渉が持たれました。しかし、都側は、要求の一部しか回答をせず、こうした交渉姿勢では、解決は出来ないとして、残された課題への決断を求めて、交渉態度の再考を求めました。その結果、福永副知事から都労連委員長へ、最終回答を出すにあたって会談の申し入れがありました。 

7.都労連委員長と福永副知事との会談にあたって、都労連は代表者会議を開催し、給与本体や退職手当の扱い、都労連要求への対応など、会談にあたっての基本的態度を確認し、会談に臨むこととしました。給与本体や退職手当の扱い、併せて、人事考課制度、定昇延伸問題など都労連要求に踏み込んで検討した結果について、都側の最終的なギリギリの考え方として示されました。この内容は、給与削減措置の終了など「労使合意の遵守」が明確にされましたが、ダブル削減、「所要の調整」の扱いや、退職手当の削減に踏み込むものとなっており、極めて不満なものも含まれています。しかし、全国的に、総務省準則に基づき、1月1日実施の締め付けが強まり、9月の都議会本会議でも、自民党の代表質問で「職員給料の削減や退職金の見直しなど、引き続き内部努力をすることは避けられない」とした見直しを求める動きが強まっています。こうしたことから、労使合意ができない場合、2年前と同じように、「議会の権能」などを口実に、一方的に、今回の提案以上の「内部努力の方策」が押し付けられる可能性も否定できず、厳しい判断と選択が求められました。都労連は、こうした情勢も踏まえ、都議会の動向、他団体や総務省の動向などから、労使の力関係を踏まえ、自主解決をする上で、ギリギリの到達点として判断し、最終的な団体交渉に臨むことを単組代表者会議で確認しました。

8.この結果、ようやく労使交渉が実質的に再開され、専門委員会・小委員会交渉及び団体交渉がもたれ、具体的な回答が示されました。その主な到達点は、@現在実施中の2%給与削減措置については、昨年の労使合意どおり、平成16年3月31日で終了、Aマイナスの勧告給料表については、平成16年1月1日から実施、「所要の調整」については、例月分は実施せず、夏季・年末の特別給分についてのみ、来年3月期の期末手当で調整、B業務職給料表は、従来どおりの考え方で提示、C調整額、扶養手当、初任給調整手当は、勧告及び従来の考え方で実施、D一時金は、勧告通り、3月期の期末手当で0.25月引き下げ、E退職手当については、最高支給月数は提案どおり59.2月、実施時期は今年度内の適用は見送りと平成16年度は経過措置、支給カーブは勤続年数25年から34年について、当初提案から0.4月〜1.5月改善、F特別昇給制度については、永年勤続表彰時特別昇給は引き続き協議、名誉昇給は提案どおり実施、F通勤手当の「6箇月定期券価額」化と支給限度額及び交通用具利用者の手当の改善、G人事考課制度は、16年度に改めて人事考課制度検討会を設置、定期昇給延伸される場合、本人開示に近い告知など十分な説明やフォローアップを適切に実施、H介護・育児に携わる職員の「深夜業」「超過勤務」の規制、再雇用職員の介護欠勤改善、I教育職の一級賃金について、級歴、年齢の資格基準の1年前倒しなどとなっています。

9.この到達点は、約束通り給与削減措置の終了」をさせ、「労使合意の遵守」させたもので、4年に渡って実施されてきた時限的措置に「けじめ」をつけさせ、業務職給料表も従来どおりの考え方で提示させたものです。同時に、都労連が、「ダブル削減」と「所要の調整」は、断じて認められないとして闘った結果として、ダブル削減」は、1月から3月まで、「所要の調整」は、夏季及び年末一時金に限定させ、職務段階別加算制度の改悪を断念させるなど、職員の「生活防衛」の点から、一定の歯止めをかけたものとなっています。また、退職手当削減については、実施時期を延期させ、支給カーブも勤続年数25年から34年について、当初提案から0.4月〜1.5月改善を改善させ、一定の押し返しをしました。しかし、最高支給月数やそれへの到達年数、定年退職者の名誉昇給除外などの提案内容は変わっておらず、職員の期待、とりわけ退職を間近に控えた職員から見て、極めて不満な結果となっています。また、一時金も、勧告どおり、マイナス0.25月の減という5年連続の削減となり、人事給与制度についても、残念ながら、「みなし主任」や特別昇格制度の特例措置、給料表の足延ばしなど制度本体の改善は実現しませんでした。しかし、人事考課制度に関わって、16年度に、引き続き、「人事考課制度検討会」を設置すると共に、定期昇給延伸対象者については、本人開示に近い告知など十分な説明やフォローアップを適切に実施することになっています。更に、福祉関連要求については、休暇制度や勤務時間の「制度総体の水準」などの不当な口実をはね返し、介護・育児に携わる職員の「深夜業」「超過勤務」の規制、再雇用職員の介護欠勤の改善を決断させたものとなっています。併せて、教育系の一級賃金の改善についても、要請行動などを背景とした取り組みの結果、一定の前進を実現しました。

10.以上の主な到達点を踏まえ、この最終回答の判断が求められています。到達点は、最大の課題であった「退職手当削減」について、一定押し戻したものの、厳しい削減に踏み込まざるを得なかったことや、ダブル削減や「所要の調整」を限定的ではあるが実施すること、島嶼職員の賃金・労働条件改善要求について、「引き続き協議」を前提に持ち帰えざるを得ない事態など、不満や問題の残る内容も含まれるものです。しかし、「労使合意の遵守」をさせ、約束どおり3月で給与削減措置の終了を明確にさせ、約束どおり、来年4月から4年ぶりに給与削減措置が無くなること、介護・育児に携わる職員の「深夜業」「超過勤務」の規制、人事考課制度では、16年度に、引き続き、「人事考課制度検討会」の設置、定昇延伸対象者の本人開示に近い告知など十分な説明やフォローアップを適切に実施など、要求の前進があることも事実です。こうした中、今日の公務員労働者の置かれている状況、とりわけ、全国の自治体で、引き続き、「給与削減措置」が提案されているばかりでなく、退職手当も、全国的に、総務省準則に基づき、1月1日実施が条例化や提案がされている厳しい状況、「第2次財政再建推進プラン」を背景にした「給与関係費削減」攻撃が強まっていること、都議会の動向など、都労連を取り巻く状況や力関係を含めて判断した場合、「労使自主解決」を図るとすれば、これで収拾を図らざるを得ないと判断するものです。この最終回答については、厳しい到達点も含まれていますが、全単組が一致団結して闘ってきたギリギリの結果として受け止め、一時金回答も含め、各単組の批准を求めるものです。

11.石原都政のもと、賃金・労働条件や能力・業績主義の推進、「ながら条例」改正など労働組合活動規制の攻撃がより一層強まるなど、労使関係や「労使合意」が、常に攻撃の対象となっています。2年前の教訓を踏まえれば、条例改正を含め、引き続き、石原知事の姿勢や都議会での審議の推移も注視しながら、「労使合意」の尊重とその具体化に向け、闘いの体制を継続して行くものです。また、今回の給与改定交渉では、給与削減措置に関わる「労使合意の遵守」について、11日の段階で整理をしたところですが、通勤手当の詳細提案もギリギリまで提示されず、都労連は、各単組との関係も含め、厳しい対応を余儀なくされています。厳しい情勢であればあるほど、「労使の信頼関係」を前提とした協議は、都側は、トップダウンによる「結論ありき」ではなく、各単組や職場の意見も踏まえ、十分検討できる可変性のある協議をすべきです。今回、都側がギリギリの段階で回答した、島嶼職員の賃金・労働条件改善要求についても、「引き続き協議」を前提に持ち帰えざるを得ない事態となっており、最後に「これ以外ない」というやり方について、都労連は、今後、改善を強く求めていきます。

なお、本日の2時間ストライキについては、こうした到達点を踏まえ、単組代表者会議で、中止を決定し、各単組の実情を踏まえ、職場報告集会を実施し、全力を挙げて闘った経過を報告することとします。