公立大学独立行政法人化に反対する声明

東京都立大学・短期大学教職員組合

2002年11月11日      大阪府大学教職員組合

政府は、国立大学の独立行政法人化の動きに合わせて、公立大学を独立行政法人化するための法整備を進めようとしている。東京都はいち早く都立四大学を再編統合した新大学の独立行政法人化計画を策定中であり、大阪府も平成17年度に府立三大学を再編統合し「新生府立大学法人(仮称)」として「一大学一法人」とする方針である。

 東京都の計画によれば、経営部門=法人が教学部門=大学を管理する組織制度とし、大学の教育研究の方針を決定する中期計画は法人が策定し、教員はそれに参加することも意見表明することも認められていない。学長の役割は中期計画の執行と学内の調整役にすぎず、教育研究の自主的な発展と学問の自由にとって不可欠である大学の自治が大きく制限されようとしている。また、大阪府の大学基本計画(案)では、法人の長が学長と明記されておらず、設置者である大阪府の意向が強く反映される管理運営が盛り込まれている。

 公立大学を独立行政法人化し、教職員を非公務員化することは、教職員の身分を経営効率化のもとで不安定化させ、憲法と教育基本法に述べられた国民のための高等教育と学術研究に果たすべき大学の普遍的役割を変質させ、教育公務員特例法が保障する学問研究の自主的な発展を制限するねらいを持つことが明らかである。

 公立大学は低い授業料と質の高い少人数教育、基礎から応用まで幅広い分野における高度の学術研究、人材の養成や中小企業・地場産業支援など地域の要求に応えてきた。基礎的な学問研究の軽視、授業料の値上げや教育の質の低下をもたらす経営優先の独立行政法人化をめざすのではなく、自治体と住民の財産としての公立大学を守り発展させることが必要である。

 われわれは公立大学の特色ある教育研究をさらに発展させる立場から、経営効率優先の大学運営を押し進め大学の自治と民主的運営を阻害する公立大学の独立行政法人化に反対する。また、東京都及び大阪府が公立大学協会に対して行っている公立大学独立行政法人化推進の働きかけを直ちに中止し、大学の自主的な改革を尊重することを要求する。全国公立大学設置団体協議会も公立大学の自主的な改革を尊重することを要求する。