02賃金確定闘争妥結
   本日のストライキは中止



 @勧告に示されたベースダウンについては2003年1月1日より実施する。
給与削減措置については、2004年3月31日まで延長する。
2003年1月1日以降は削減率は現行の4%から2%とする。
  給料表を4月に遡及させず、「減額調整措置」は行わない。

 A業務職給料表は、従来どおりの考え方で実施する。

 B調整額は給与改定率に合わせた額の引き下げ、勧告関連手当は、勧告及び従来の考え 方で実施する。

 C年末一時金は、2.10月を12月10日に支給する。
期末手当は、勧告通り0.05月引き下げる。

 D人事考課制度については、検討の場(「人事考課制度検討会」)を設置し協議する。

 E人事給与制度の見直しについては、任用・級格付は、都側の当初提案を修正して、資 格基準などの見直しと経過措置の導入、普通昇給は実施時期を1年もしくは2年延期   する。

 F子どもの看護休暇制度新設の実現と妊娠障害休暇の改善。

 G調整手当と特地・へき地手当の併給調整停止の解除については、平成15年度の早い   時期に結論が得られるよう引き続き協議する。

 H特別昇給及び職務段階別加算制度の見直しなど人事制度の「見直し提案」は「遅くと  も平成15年度の給与改定交渉期に結論が得られるよう引き続き協議」する。




              2002年賃金確定闘争の決着にあたって

                    都労連  執行委員会 2002年11月19日

1.都労連は、16日以降、膠着状態を打開すべく、都側の踏み込んだ協議と事態打開を求め、全常駐役員及び各単組書記長による人事部長・勤労部長要請、全常駐役員及び各単組委員長による総務局長要請などを行いました。この結果、最終的に、昨日、総務局長から「交渉責任者である副知事とも相談し、早急に対応したい」という態度表明がありました。しかし、給与本体の取り扱いについては、都側が「労使合意の遵守」を明確にしない状況が続きました。都労連は、単組委員長会議の議論を踏まえ、都労連常駐部で、ギリギリまで努力することとしました。しかし、総務局長は「仮に、労使合意に従って、給与削減措置を15年7月で終了させる場合は、ダブル削減は避けられない」「その場合、職員の生活に相当の負担をかけることとなる。負担緩和のために、緩和策をとるとすれば延長は避けられない」などと「労使合意」が守れないとした態度が明らかにされました。こうした事態や単組委員長会議の議論を踏まえ、都労連常駐部は、給与本体の「労使合意」の遵守に向けた、事態打開のために、副知事要請を申し入れました。しかし、副知事が知事代理となっている点や、総務局長が示した内容は、副知事と相談した上でのものだとして、要請そのものが断られるという事態となりました。こうした中、都労連常駐部は、ギリギリの努力を続けましたが、都側の態度は変わりませんでした。最終的に、都労連委員長と福永副知事との会談を行いましたが、結論は変わらず、都労連としての組織判断が求められました。都労連委員長と福永副知事との会談の結果は別紙のとおりで、給与本体以外の項目についても、都側の最終的なギリギリの考え方として示されました。この内容は「労使合意」が守られなかったことや、そのけじめの不十分さなど、極めて問題のあるものですが、都議会情勢や労使自主解決をする上で、ギリギリの到達点として組織判断し、最終的な団体交渉に臨むことを単組代表者会議で確認しました。

2.この結果、ようやく労使交渉が実質的に再開され、専門委員会・小委員会交渉及び団体交渉がもたれ、具体的な回答が示されました。
その主な到達点は、@現在実施中の4%の給与削減措置については、12月で終了、1月以降は、新たな勧告給料表に基づき、2%の給与削減措置を平成16年3月まで実施、給料表を4月に遡及させず、「減額調整措置」は行わない、A業務職給料表は、従来どおりの考え方で実施、B調整額は給与改定率に合わせた額の引き下げ、勧告関連手当は、勧告及び従来の考え方で実施、C一時金は、勧告通り、0.05月引き下げ、D人事考課制度については、検討の場(「人事考課制度検討会」)を設置し、協議する、E人事給与制度の見直しについては、任用・級格付は、都側の当初提案を修正して、資格基準などの見直しと経過措置の導入、普通昇給は実施時期を1年もしくは2年延期、F子どもの看護休暇制度新設の実現と妊娠障害休暇の改善、G調整手当と特地・へき地手当の併給調整停止の解除については、平成15年度の早い時期に結論が得られるよう引き続き協議、H特別昇給及び職務段階別加算制度の見直しなど人事制度の「見直し提案」は「遅くとも平成15年度の給与改定交渉期に結論が得られるよう引き続き協議」となっています。

3.この到達点は、「ダブル削減」を事実上阻止したものの、「給与削減措置」について、8ヵ月の延長をするものになっており、「労使合意」や職員の期待・信頼から見て、極めて不当な結果となっています。しかし、その一方で、都労連が、「ダブル削減」と「給与削減措置の延長」は、断じて認められないとして闘った結果として、都側や都議会の一部も当然としてきた「ダブル削減」を阻止し、給与削減措置そのものを一定見直させ、国が行おうとしている「減額調整措置」も断念させるなど、職員の「生活防衛」の点から、一定の歯止めをかけたものとなっています。また、都側に「申し訳なく思っています」と遺憾の意を表明させ、臨時的措置である給与削減については「解消を図るよう努めてまいります」との考え方を明らかにさせましたが、3度にわたる「労使合意」を踏みにじった「けじめ」としては不満なものと言えます。
また、人事制度について、都側の見直し提案を全てはね返すことはできませんでした。任用制度・級格付については、資格基準・年齢の前倒しと経過措置の導入など見直しを行わせましたが、都労連が最も重視していた「級格付」については、50歳以降しか認めないとしてきた、当初提案を変えさせ、年齢基準の引き下げが行われたものの、制度改悪の不満な内容となっています。
しかし、人事給与制度見直しの前提として、最大の課題としてきた、「人事考課制度」について、検討委員会の設置という形ではありますが、都側を「協議の場」に引き出したことは一定の成果として確認できるものです。
また、福祉関連要求については、「制度総体の水準」などの不当な口実をはね返し、懸案の「子どもの看護休暇制度の新設」について、国を上回る水準で実現させると共に、妊娠障害休暇の改善を決断させたものとなっています。併せて、給料表の足延ばしや教育系の一級賃金の改善についても、要請行動などを背景とした取り組みの結果、解決することはできなかったものの、引き続き協議すべき課題として明確にさせることができました。
しかし、調整手当と特地・へき地手当の併給調整停止の解除については、都側の厳しい対応や他県のこの問題を巡る攻撃などの状況も踏まえ、早期に、島嶼職場の実態調査なども行い、併給問題について解決を図らざるを得ないと判断したところです。これは、引き続き、人材確保策や特地・へき地手当のあり方など、処遇確保の闘いと交渉は継続されるものの、厳しい到達点となっています。

4.以上の主な到達点を踏まえ、この最終回答の判断が求められています。到達点は、最大の課題であった「給与削減措置」が延長され、「労使合意」が守られなかった点や、「人事考課制度」の労使協議を事実上引き出した一方で、「人事給与制度の見直し」に踏み込まざるを得ないなど、不満や問題の残る内容も含まれるものです。しかし、「給与削減措置」を圧縮し、ダブル削減を阻止したことや、「減額調整措置」の見送り、子どもの看護休暇制度の実現など、歯止めや要求の前進があることも事実です。こうした中、今日の公務員労働者の置かれている状況、とりわけ、幾つかの政令指定都市で給与削減措置が提案されているばかりでなく、他の道府県も競い合うように削減措置を打ち出すなどの厳しい状況、「公務員制度改革」を背景にした「総人件費抑制路線」の動向や都議会情勢など、都労連を取り巻く状況や力関係を含めて判断した場合、「労使自主解決」を図るとすれば、これをもって収拾を図らざるを得ないと判断するものです。この最終回答については、「労使合意」が守られず見直されるという、厳しい到達点も含まれていますが、全単組が一致団結して闘ってきたギリギリの結果として受け止め、一時金回答も含め、各単組の批准を求めるものです。併せて、「労使合意」が守られなかったことや、都労連として守れなかった責任などについては、今後、都労連内部でキチンと総括していきます。

5.今回、3度に渡る「労使合意」が守られず、都議会の一部からの攻撃も益々強まっており、石原都政のもと、賃金・労働条件や能力・業績主義の推進、「ながら条例」改正など労働組合活動規制の攻撃がより一層強まるなど、労使関係や「労使合意」が、常に、「見直し」攻撃の対象となっています。今回の「労使合意」についても、都側は、臨時的措置である給与削減については「解消を図るよう努めてまいります」としていますが、これまでの経緯を踏まえれば、闘いなくして守れないのが現実となっており、引き続き、石原知事の姿勢や都議会での審議の推移も注視しながら、「労使合意」の尊重とその具体化に向け、闘いの体制を継続して行くものです。これらの攻撃と闘う上で、都労連の6単組の統一と団結が、最も重要であり、そのことが厳しい情勢を打開しうる唯一の方向であることを改めて確認するものです。
なお、本日の2時間ストライキについては、こうした到達点を踏まえ、単組代表者会議で、中止を決定し、各単組の実情を踏まえ、職場報告集会を実施し、全力を挙げて闘った経過を報告することとします。