アピール 
  法人化後の教職員の賃金・労働条件について、
              大学管理本部は労使交渉に応じよ!
               
           2002年10月19日    東京都立大学・短期大学教職員組合
 
 大学改革問題は、教職員の身分そして賃金・労働条件にまでふみこんで論議されるという段階に入った。まず2002年9月5日、「都立新大学設立準備委員会」が「検討の中間のまとめ」を発表し、教職員の身分を「非公務員型」にすること、経営と教学を分離して経営の権限を非常に強いものとすることなどを明確に打ち出した。これに対して教職員組合は断固反対する旨、見解を発表したところである。さらに10月2日に行われた「第5回都立新大学企画調整委員会」が決定した「法人化に関する検討体制について」によれば、「法人化・大学運営分科会」のもとに、1.組織・人事部会、2.目標・評価部会、3.事務組織・財務会計部会が設けられ引き続き検討を行い、次回の「企画調整委員会」において「法人の全体像」の素案が提出される運びとなった。
 今回、設けられることになった3つの部会の委員構成は、1、2が「各大学教員又は事務局、管理部」、3が「管理部、各大学事務局」となっている。そして、検討される内容として、教員人事等については(1)教員人事の方針、基準及び任免手続き、人件費管理の仕組み等、(2)教員の任期制・定年制、(3)教員の給与等、業績評価、(4)教員の服務、勤務時間、休暇、兼業及び兼業報酬等、(5)新たに必要な職種とその任用方法、勤務時間、処遇等、(6)人材交流の確保、(7)交付金で措置する人件費の範囲と過員解消計画があげられている。そして職員人事等については、(1)職員の採用、昇任、育成、退職、再任用等、(2)身分の切換手続、移行職員の処遇(特例の有無等)・復帰、(3)職員給与、業績評価等、(4)服務、勤務時間、休暇、福利厚生等があげられている。さらに業務にかかわるもののなかにも、「人事給与システムの構築、試行」、「規程類、就業規則等」の整備などがあげられている。
 ここでわれわれは、第1に、今回設けられることになった部会の構成が教員を排除する可能性を持っていること、そして第2に、この部会が検討の対象とする事項が労使関係に大きくふみこんだものとなっていることに対して批判の目を向けざるをえない。
 まず、「法人化・大学運営分科会」のもとに設けられる部会、なかでも教員人事の方針などに関する検討を行う部会でさえ、「各大学教員又は事務局、管理部」というかたちで、教員を排除する可能性のあるメンバー構成が示されているという点は、非常に問題である。これまでわれわれは、都立の大学改革の意思決定プロセスが、教職員の意思を十分に反映したものになっていないことを再三批判してきたが、今度は教員をまったく排除する可能性のある部会さえ設けられようとしていることに、毎度のこととはいえ驚きと怒りを禁じえないのである。
 また、上にあげた各部会の検討事項のなかには、教職員の賃金・労働条件にかかわるものが多く含まれているが、それらは教職員組合との当然の交渉事項である。すでに教職員組合は、本年1月31日、2月12日の2度にわたり、大学管理本部に対して法人化に伴う教職員の身分・労働条件に関する解明要求を行った。しかし、その内容についての回答がなされないまま、「検討の中間のまとめ」が発表され、教職員の身分や労働条件、それに新大学の運営の基本にかかわる問題が決定されてしまったのである。このように、賃金・労働条件という労使交渉事項が、大学管理本部の一方的な提示のみに終始していることは、非常に問題である。
 われわれは、大学管理本部が、まず2回にわたる教職員組合の解明要求の個々の具体的項目に対して文書で回答するとともに、法人化後の教職員の賃金・労働条件にかかわる問題については、教職員の意思を無視した一方的な決定を行わず、教職員組合との交渉のテーブルにつくように要求する。