各大学評議会・教授会は
「新大学構想」に反対声明を上げよ!!

      ・・・今こそ大学人の良識を示そう・・・

                    中央執行委員長  山下正廣                         
 8月1日、石原知事は「都立の新しい大学の構想について」を発表した。手続き上の問題とその最低・最悪な内容の改革案に対して憤りさえ感じる。
 手続き上の問題として、1)改革の内容に関して都立の大学関係者に一言の相談も通知もなかった、2)これまで問題はありつつも4大学と大学管理本部で準備されてきた新大学構想が一瞬にして潰された(どこに問題があるのかさえ指摘されていない)、3)「地方独立行政法人法」の付帯事項に「公立大学法人の設立に関しては・・・・憲法が保障する学問の自由と大学の自治を侵すことがないように、大学の自主性・自律性を最大限発揮しうるための必要な措置を講ずること」とあるが、今回の石原知事のやり方は「大学の自治」と「学問の自由」を完全に侵している、4)「地方独立行政法人への移行の際には、雇用問題、労働条件について配慮し、関係労働組合と充分な意志疎通が行われるように・・・」とあるが、一方的に年俸制や任期制を押しつけてきている、など問題点を数え上げたらきりがない。
 「改革案の内容」はお粗末そのものである。研究の観点が全くない。以下に問題点を列挙すると、1)「都市」と「教養」と「長寿社会」をキーワードにして、「観光・ツーリズム」、「メデイア・アート」、「産業系デザイン」等、各種専門学校でできる内容である、2)研究活動について全く言及していない、3)大学院制度が白紙である、4)「都心方面へのキャンパス展開」はたこ足化になり不便である、5)「選択と評価による新しい教育システムの導入」は既に多くのものが実施されており新鮮みがない、6)「教員組織の簡素化」は教授会自治の形骸化につながる、など問題点を上げたらきりがない。

今こそ大学人の良識を示し、各大学評議会・教授会は反対声明を上げよう!!

【投稿】
 
「都立の新しい大学の構想について」に、全学をあげて反対の声を!
                      都立大学 長谷川 宏
「都立の新しい大学の構想について」と題する文書が大学管理本部から発表されました。
(http://www.metro.tokyo.jpの都政トピックス「都立の新しい大学の構想」参照。)
 1ヶ月やそこらで、「まったく新しい大学」の構想をゼロから作り上げることができるなどと考えること自体、不見識をおのずと明らかにしていたわけですが、予想に違わない低レベルの「出まかせアイデア」のオンパレードです。
 「観光・ツーリズム」だとか、「メディア・アート」だとか、「産業系デザイン」だとか、いったい何のつもりでしょうか?専門学校でやっていることを横取りするのが、「まったく新しい大学」なのでしょうか?
 そして「都市教養学部」とはいったい何でしょうか?「都市の文化、経済、技術など、それらが集積する東京でしか学べない『都市の文明』を中心とした教養教育等」という説明を読んでもどんな内容やらまったくわかりません。要するに、「東京にあるから『都市』」というのと、新大学に関する検討にかかわっている「有識者」の中に「旧制高校的『教養』」を重視する方がいる、という2つの要素をくっつけただけのお粗末なアイデアです。
 大学人・都民を軽視したこのような構想に対し、私たちは当然のことながら「ああそうですか」とおとなしく受け入れるわけにはいきません。それは私たち自身の研究・教育にかかわる問題だから、というだけではありません。私たちの対応いかんによっては、これまでの都立大の学問の歴史・伝統の息の根を止めるのを許すことになりかねないからです。また、今後新大学に関わっていくことになるこれからの若い人たち(研究者・学生たち)に対しても、私たちは今重大な責任を負っています。 さらに、新都立大学が、どのような経緯を経て、どのような姿になっていくかということが、他の公立大学の改革・法人化に与える影響も甚大です。(これは他の公立大学の方々が口々に懸念を表明している点です。)新都立大学が悪しき先例となり、奇をてらったお粗末な改革案が「お上」から降ってきて、それをずるずるとなすすべもなく受け入れる、という形で全国の公立大学でも改革・法人化がなだれを打って進んでいく、という事態は何としても避けなければなりません。
 私たちは「ファシズム的トップダウン」にすっかり慣らされてしまい、何を言われても薄笑いを浮かべて黙っている(か、内輪だけでぶつぶつ文句を言っている)癖がついてしまいました。しかしことここに至っては、「どうせ言っても無駄」などと「無力感」に浸っているときではありません。大学人として最低限の見識があるならば、「首都東京の大学として、こんな貧困な発想の大学では恥ずかしい」という声を、皆でいっせいにあげなければならないと思います。
 私たちは何も一切の改革を拒んでいるわけではありません。ただ、「世界の物笑い」になるような大学を首都東京に作ることは、都民にとってもプラスにはならないということを、はっきりと言うべきです。(だいたい「都市教養学部」は英語で何と言うのでしょう?意味不明の日本語は英語にならないので、国際的にも通用しません。)
 私たちの大学の学問・研究・教育が危機に瀕している今、私たちは都立大の伝統を築いた人たち、そしてこれから新都立大に関わっていく人たちに恥じないですむ言動をとりたいものです。ことここに及んで「あきらめの薄笑いを浮かべている」あるいは「仲間内だけでぶつぶつ文句を言っている」という態度では、私たちが学生諸君に偉そうに講釈をたれる資格など今後一切なくなるでしょう。
 全学が一丸となって反対の声をあげれば、都当局としてもそれを完全に無視してことを進めることは不可能です。知事は記者会見で、「いやならおやめになったらいい」などと放言しました。このような恫喝に尻尾を巻いて屈するような、恥ずかしくもみじめな姿を、学生たちにさらすのだけは絶対にやめるべきです。

【投稿】
     
「都立の新しい大学の構想」は、上意下達で時代錯誤
                            科技大教員
 8/1に「都立の新しい大学の構想について」が、知事から発表され、同日または翌日の新聞に発表されましたが、4大学の学長へは同時にされたプレス発表と同じ資料が配られ、大学当事者には事前の相談がまったくなしに提出されました。
 これまでの改革の基本であるとされてきた「東京都大学改革大綱」(座長、西澤潤一氏など外部委員よりなる大学運営諮問会議の意見を反映して、都立の4大学の統廃合と法人化の内容をまとめ、大学管理本部が01年11月決定し、石原知事の署名入りで発表)を取りやめ、新たな都立の新大学構想が、知事から提出されました。学部構成、キャンパス配置、カリキュラム、単位認定等も全面的に変更するという構想であり、大学院構成も含めて今後の詳しいことは、知事が任命する学長と理事長(予定者)とで内容を詰めていく。それらの人を中心に設立実施本部は新たに作るとのことです。しかし、当事者である4大学の構成員の声を聞くことなく大学「改革」をこのような上意下達のやり方でやることには、次のような点から多くの教員の間で驚きの声が出ているだけでなく、当事者である大学側の意向や職員団体との協議を尊重するという国会で可決された「国立大学法人法」の付帯決議の第1、2、21項や「地方独立行政法人法」の付帯決議の第5項(注参照)の趣旨に反することです。
 まず第一に、これまでの長い時間と多くの労力とをかけて検討してきた結果を無視することは、新大学のための各種委員会におけるこれまでの努力(4年間で数十万時間の労力)や専門家集団としての英知・協力を無視するものであり、学術の府として、ふさわしくないものです。これらは、法人化後の大学の姿を予見させるものです。
 また、有識者会議なるものの構成員が、座長(西澤潤一氏)以外は、非公開であるということは、非常に非民主的なやり方です。人数・会議の回数・日程・議事録など、すべてが秘密で、全くの覆面であるということは、よほど自信がないことの現れであり、単に知事の望む方向に応えるための私的な集団に過ぎない(政府の諮問委員会の名簿は必ず公開されている)とも疑われます。
 さらに、今後の新しい検討体制に関しても、これまでの検討体制では何が問題で、どう改善する必要があったのかも示されていません。さらに、今後誰がどのように検討するかをまったく大学人に対して示さないということは、異常としか考えられません。当事者の協力を得つつ改革をするという態度でないことを表明していることにもなります。
 そして、新構想の内容に関しても、従来の大綱や各委員会の検討結果の内容にどんな問題点があり、どう直すのかといった考え方・フィロソフィーを示さずに、ただ結論だけを示すことは、まったく学問を行う大学にふさわしくないやり方です。たとえば、上記の問題や学部構成の変更、人事制度変更、教授会や大学院の制度変更など、不明な点に関する質問に対して、各大学の最高責任者である学長がまったく答えられない状態から考えて、設置者である大学管理本部側が、説明会を開き、適切な説明を大学の構成員に対して行うべきです(もしも、「今後の詳しいことは有識者会議に任せる」と知事が言っているのであるならば、西澤潤一氏か有識者会議の委員に説明会を開いていただくのが適当かも知れません)。
 従来、教授会の審議事項であった教員の採用等の任免などの人事は、人事委員会に奪われ、予算策定や組織編制など経営に係わることは、経営審議機関にゆだねられることが、これまでに管理本部から提案されてきましたが、「新構想」ではさらに、教学の重要な部分である単位・カリキュラムに関することも単位認定委員会、カリキュラム評価委員会、外部有識者経営者等を含んだ評価委員会にゆだねられることが示されています。このように教授会の機能を全面的に奪う新たな仕組みも組み入れられている点も指摘する必要があります。
 最も重大な問題は、「任期制・年俸制の導入や業績主義の徹底」を組合との話し合いもなしに、突然に提案しています。独立行政法人化された国立研究所ですら、任期制・業績主義の導入は、非常に部分的なものですし、大部分の私立大学でも実施しておりません。また、実施した民間企業、例えば富士通でも、国際競争力・開発能力が落ち失敗であったと指摘されており、時代遅れの手法であるとして、再検討がされていると聞いています。
(注) 付帯決議のURL
http://www.ne.jp/asahi/tousyoku/hp/web030709saninfutaiketugi.html   http://www.fusyokuro.gr.jp/tomo/030611/tomo_5.htm

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