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2513号
 
   秘密裏に進められた「学長選考」に怒りをもって抗議する
                           2008.12.5 公立大学法人首都大学東京労働組合 中央執行委員会

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 驚き、かつ憂慮すべき事態である。
  12月4日付で「首都大学東京 次期学長予定者の選考結果について」という文書が、「首都大学学長選考会議」名で発表された。それによれば、11月10日を第1回として17日、27日そして翌28日のわずか4回の会議、たった18日間で次期学長予定者が決まったそうである。
 この間、我が組合は、2008年11月26日付の中央執行委員会声明「次期学長選考に関する組合からの要望」で明らかにしてきた通り、選考手続きの策定と公開、複数の候補の選定と公表、学内の教職員、学生の意向聴取の機会の設定を要望してきた。また、それに先だって、都市教学部代議員会からも、選考手続きの公開の要望も出されていた。
 それらに一切応えることなく、しかも、最初の会議で、「公正かつ慎重を期すため、学長予定者を決定するまでの間、選考会議での経過や決定事項等の情報については委員限りとしたい」との信じがたい決定がなされていたのである。なぜ、「選考会議での経過や決定事項等」を公開すると公正が保てないのだろうか。私たちは教職員、学生の多くの当然の希望、要望に応えなかったことと、上記のような密室主義に強い怒りをもって抗議する。

 候補者自体をおとしめてしまう選考過程
 私たちは「予定者」となった原島文雄氏自体の適不適を問題にしているのではない。
いったい選考会議は、こんな経過で学長に選ばれた氏が学内の信頼と共感を得られると考えているのだろうか。あるいは原島氏を候補のひとりとして事前に公表した場合に、学内の賛同が得られないと決めてかかったのだろうか。
 もし、そうであるならば原島氏を非常におとしめていることに気がつかない選考会議の資質、見識こそが疑われる。
 しかも、泥縄としか思えないような決められ方をした「運営内規」第7条によれば、学長候補者を推薦できるのは「選考会議議長ただひとり」なのである。他の委員はただたんに示された候補者にたいする意見を述べるだけの存在なのである。今回は学外の清成委員が就任した議長が推薦できるほどに知らない人は、この大学の学長には決してなれない仕組みになってしまったのである。
 多くの困難な課題を全学一致して取り組まなければならない現在の本学のリーダーをこのような乱暴、不見識な手続きで「決定」したこと自体が全学の相互協力を難しくするのではないだろうか。

 学内世論に背を向けた選考過程
 私たちは「要望」において、他の国公立大学と同等の選考手続きを、衆知を集めて策定するべきことを訴えた。それは、新学長が教職員、学生の支持をバックとして腕をふるうために不可欠だからである。
しかるに、今回の選考にはいくつものとうてい納得できない経過が存在している。
「議長しか候補を推薦できない」ということはすでに挙げたが、そのほかにも、11月10日の会議では、「議長から、任命権者である高橋宏理事長と西沢潤一学長から次期学長として望ましい人物像を伺い、次回にこの場で紹介するとの発言があり、承認された」そうである。退任する学長と任命権者である理事長に次期の学長の「望ましい人物像」を語らせ、しかも推薦の専権者である議長だけがそれを聴取するという手続きの異常さが認識できないのだろうか。
 しかも、それを「伺った」清成議長が「候補者として適任ではないかと考えられる人物として」挙げたのが、西沢学長当人と原島氏のふたりなのだそうである。どう考えても、ごくごく僅かな人たちの間での舞台回しの感がしてならない。
また、第4回の会議は「公表方法」についてのみが議題である。それほど公表が難しいのだろうか。こんなことにたいする神経過敏さを見ると、2003年9月25日の、「同意し、口外しない」という『同意書』と同質の意識を感じてしまう。いやしくも都民の税金をもって運営されている大学が「公表」をはばかるような学長の決め方をしてよいのだろうか。

 選考会議運営内規第7条の撤廃および任命前に学内の意向聴取を再度要望する
私たちは「要望」の中で「すでに完成年度を過ぎて、自立した大学として飛躍せねばならない本学が、万が一でも、密室での審議、あるいは学外からの圧力によって次期学長候補が決められるようなことになれば、教職員や学生のあいだに四年前以上の失望と大学への不信感が広がり、再建の途についたばかりの本学に、計り知れない損失となる。」ことを指摘してきた。繰り返しになるが、私たちは「選考された」候補者の資質や見識を問題としているのではない。どんなに優れた人物であっても、この、たった4回の密室ともいえる会議で決まったのでは、手腕を発揮することが難しいと危惧しているのである。それとも、学内世論の大多数が背を向けていても、強引にリーダーシップを発揮させようと考えているのだろうか。私たちは法人化過程での混乱と対立を繰り返すことは望まない。今回の選考手続きは、新大学移行過程で起った軋轢や不信感、これに伴う負の遺産に学ぶことのない愚行と言わざるを得ない。
 新しい学長を期待を持って迎えるために、私たち組合は、@非常識な運営内規第7条の撤廃と、A最終的な任命手続きの前に、多くの教職員と学生が納得できる形で学内の意向を聴取する機会を設けることを再度、要望する。