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2370号

  
 1.組合を取り巻く情勢
  平成17年4月から、都立4大学は一つの公立大学法人・首都大学東京に移行した。
組合は、法人への移行に伴う労使間の新しい諸制度について、平成17年3月までは大学管理本部と、4月以降は法人当局と交渉を続けて来ている。
  3月初めに提示された就業規則案については、組合は過半数代表者と共に精力的に交渉を続け、法人原案については多くの問題点があることを指摘した。法人は3月末日の日付の覚書きで「法人は、就業規則については、今後も誠意をもって組合と過半数代表者との見直し交渉に応じる」との態度を表明した上で労働基準監督署に就業規則を提出した。
  また4月初めに発足した法人に所属する管理職のうち、組合との交渉にかかわる主要メンバーの総務部長、庶務課長、人事課長は7月の人事異動でわずか3ヶ月で他部署へ転出するという無責任な体制になった。
  この結果、4月に発足した公立大学法人は、教職員の安定した労働条件を確定しないまま、また法人と大学側との調整作業も行われないままに、都立4大学の在籍学生と法人の大学への新入生とが共存する、複雑な状況の中で、運営上の様々な問題を起こしている。
  また教員については、所属を以前のままとする旧制度選択者、新制度を選択する者に分かれた。一方、平成17年度の教員の人事給与制度についての交渉では、旧制度選択者には昇給も昇格もみとめない不利益な条件の提案、新制度選択者には任期制も年俸制も詳細設計のないままの提案、などがあった。 そのため、法人が各教員に配布した雇用契約書は大半が未提出のままになっている。
更に職員については、東京都に所属する派遣職員、法人が単年度契約で雇用する固有職員、人材会社からの派遣社員、に分かれた。その結果、経験、身分、意欲、などの点で大きな違いを生んだ結果、事務作業の停滞と混乱が生じている。
  公立大学法人の発足に伴うこれらの混乱の主原因は、準備の段階で都立4大学側の協力を求めずに、大学管理本部が一方的にトップダウンで決めたため運用の段階で矛盾点が多く発生したこと、理事長および学長が本来の役割を果たしていないこと、法人の事務当局担当者が短期間に移動すること、などが挙げられる。

 法人が発足して既に半年が経過した今日、組合は、一刻も早く本来の大学機能と運営に立ち戻る様に、法人当局に人事給与制度について早期の交渉再開を働きかけると共に、不当な労働条件のしわ寄せについては、法的訴えをできる体制も準備しつつある。また学生の学習環境と学習権の確保についても必要に応じて支援する方針でいる。 さらに11月の大学祭期間に組合が中心になり、学生自治会および都民の会と共催で「新大学を考える集会」を開催し、6ヶ月経過した法人大学における組合の役割の認識と支援を求めると共に、都民の大学として発展するための多面的な議論を行うことにしている。

 2.2005年人事委員会勧告
  賃金をめぐる情勢
  8月15日に出された国の人事院勧告は本俸はマイナス勧告・一時金は微増で、年収減となる勧告でした。さらに、「給与構造の見直し」の名のもとに、来年度から俸給引き下げ(新俸給表適用)、地域給や査定昇給の導入などが勧告され、50年ぶりの制度見直し攻撃の嵐が吹き荒れています。月例給マイナス1389円(0.36%)で俸給月額と配偶者に係わる扶養手当500円を引き下げる一方、一時金は0.05月増で、年収では、4000円(0.1%)マイナスとなり、12月の一時金で、所要の調整を行うとしています。
この勧告を受けて、総務省は全国総務部長および人事委員会事務局長会議を開催し、給与水準の引き下げと人事院勧告追従を求めました。同時に、人事院勧告の対する組合の方針や姿勢を紹介しながら、「職員の争議行為の未然防止」「服務規律の確保」を求めるとともに、争議行為や違法行為が認められる時には、「速やかに懲戒処分等の事後措置をとる」などの正当な闘いを弾圧する姿勢を明らかにしています。国は9月28日、勧告通りの引き下げを行うことを閣議決定しています。あわせて、総務省は全国の都道府県、政令指定都市に対して、「給与構造の見直し」「給与水準の見直し」「能力・業績主義に基づく評価制度の導入」などの人件費削減と差別支給拡大を押し進めるよう通達をだしました。
  組合は8月22日と9月5日に東京都人事委員会に対して、総務省の指導に追随することなく、「公民比較は、厳正に行うこと」「公民比較方法の抜本的改善を行うこと」「給与構造見直しや地域給導入は行わないこと」「調整手当の本給繰入を行うこと」「特別給については、民間の動向、とりわけ東京都における民間の支給水準を反映させること」などを中心に要請を行いました。また、都労連が提唱した全組合員署名や決議にも、取り組みました。
10月14日に出された、人事委員会勧告は、民間と比べて、0.85%、3681円の較差があり、これを引き下げるため、昨年に続いて、給料表と配偶者に係わる扶養手当を引き下げること、特別給は0.05月引き上げること、などを内容とした勧告を行いました。組合や都労連の要請にも関わらず、また、民間の春闘の結果や厚生労働省も認める都のおける官民較差を反映しないばかりか、引き下げ幅が国を上回るという、都の実態に合わない勧告でした。また、「所要の調整」についても、国に追随する内容となっています。また、引き下げ配分を若年層に薄く(0.1%)、高齢層に厚く(1.9%)することで、昇給カーブをフラット化し、「給与構造の見直し」行っています。
勧告は、「給与構造見直し」中で、本給と地域手当(調整手当)の配分のあり方について、引続き検討として、総務省が指導した、国基準の給与水準の引き下げは行いませんでした。都労連が要求した調整手当の本給繰入は実現しなかったものの、本給と地域手当(調整手当)の配分は従来通りとさせたことの背景には、のべ14回にも及ぶ、都労連の人事委員会に対する要請行動があったことを見落としてはなりません。
  しかし、来年4月から実施する「給与構造・制度の改革」については、国に追従しています。具体的には、「1、2級を統合して9級制に」「号級の昇給幅の4分割」「普通昇給と特別昇給を見直し、年1回4月の査定昇給」「枠外昇給と55才昇給停止の廃止・号級増設」「昇任時特昇の廃止・定額加算方式」「級格付け制度の廃止」などにも言及しています。
  勧告当日に行われた団体交渉で、都側は今年の勧告は、「例月給が国を上回るベースダウンになったことに加えて、高齢層の引き下げを強めて昇給カーブのフラット化を図るなど、国に先がけて、年功多岐に上昇する給与構造を見直したものになっている」と評価し「年功的な給与上昇を抑制するとともに、仕事ぶりを適切に評価した上で処遇に反映させる人事制度の構築が必要」と発言しました。また、「巨額の隠れ借金を抱え、7年連続の実質収支の赤字が続くなど、厳しい構造改革が求められている」と、給与構造の見直しや人事制度の改悪を示唆しました。これに対して、都労連は、「勧告は、都における民間賃金の実態を反映しておらず、問題が多い。」「給与制度の変更は、労使交渉で行うべき」と反論しました。
  給与削減問題
月例給引き下げなどの政治的勧告の押し付けに反対し、「所要の調整」や特別給の勤勉手当の割合拡大に反対します。国準拠の給与表勧告を阻止できましたが、知事サイドや議会からの国準拠を求める巻き返しの動きが全くないとは言えません。10月13日に法人が示した「新たな教員人事制度の全体像(案)」は、国準拠の教員給料表導入を示唆しており、こうした動きを封じるためにも、この秋の都労連闘争は、重要な闘いとなります。
  退職手当問題
国は、給与水準の引き下げ、昇給カーブのフラット化や貢献度などが持ち込まれた「改革」が強行されています。都は、厳しい見直しを実施したばかりで、経過措置の実施中であり、再見直し=退職金削減は許さない闘いが重要です。
  人事考課制度
18年度の人事制度改革の中で、「制度の透明性の確保」、「全員にたいする本人開示の実現」をはかるとともに、「苦情処理のありかた」について、これまでの労使間の共通認識を実効あるものにするため、今次、確定闘争の中で、「人事・任用制度改善要求」を突き付け、本人開示や苦情処理についての具体化を迫ってゆきます。
福祉関連要求
すでに提出している2005年都労連福祉関連要求の実現にむけて、交渉をおこないます。今年は、すでに国において、行われている子どもの看護休暇の取得単位の変更などを重点要求とし、その実現を都当局に迫ります。福祉関連要求は、この間、毎年なんらかの要求を実現しています。

 3.大学改革問題 
  国立大学法人化から1年半以上、都立の大学を含む公立大学の法人化が始まって半年が経過しました。国立大では運営費交付金に対する効率化係数のため財政的に不安定な状況があり、早くも授業料値上げにより学生に負担をしわよせする事態となっています。また経営の観点から様々な意味での競争に駆り立てられ、大学間の格差がいっそう広がっていくおそれがあります。
  地方独立行政法人法のもと、公立大学法人として発足した横浜市立大では、当局による全員任期制導入のもくろみは実現しませんでしたが、「プラクティカルな教養教育」というスローガンのもとで、上からカリキュラムの改編が行われ、特に語学教育などの現場で混乱が起きています。都立の大学に関しても、4月の法人と大学の発足以来すでに半年が経過しました。準備不足のまま開学した首都大においても、新しい制度のもとでの大学運営のあり方も、またそこで働く教職員の勤務条件も、解決すべき大きな問題点を抱えています。

 @大学運営の問題点 
経営と教学の分離をうたう大学運営により、予算配分権などは完全に経営(経営企画室など)に握られています。また法定機関である経営審議会については、現在のところ開催状況すら公開されていません。例えば研究費配分について新大学に就任しなかった教員への差別的待遇を行ったり、「実験系」、「非実験系」という区分を機械的に行うことで学生教育などにも支障をきたす学科、専攻を生むなどの問題がでていますが、これも経営側の一方的なやり方のもたらした弊害です。また近頃、オープン・ユニバーシティでも、来年度講座数などの基本計画案作成において法人側の方針が一方的に提示され、教員と事務室に大きな混乱が生まれています。
  4月以後、教授会の人事権は剥奪され、「人事委員会」なる組織が人事に関する最高権限を持っています。学部教授会は、学部が大括りのため実際には開かれることなく代議員会によって機能が代替されています。いくつかの学系で教授会が開かれ、教学関係の審議が行われていますが、教授会の位置は3月以前に比べて大幅に低下しています。
  また教育研究審議会は、従来の評議会が果たしていた大学の全般的な運営を担うものとして機能していません。また、図書情報センター、オープンユニバーシティなどいくつかの機関の長を兼務する学長は、学内の諸問題に目配りをすることはほとんどない状態が続いています。大学管理本部などは、トップダウンによって大学での意思決定が迅速になり、大学運営がスムーズになると豪語していましたが、4月以後、法人発足前に比べ大学運営は大幅に停滞しているのです。また教授会の機能の剥奪や、各種委員会の位置づけが明確でなくなったことも、大学運営にマイナスに作用していますし、何よりも教職員の士気が低下しているのです。
  A教職員の勤務条件
<教員の勤務条件>
  法人の発足にあたり、教員は「旧制度」(期間の定めのない雇用であるが、昇給・昇任はいっさいなし)か「新制度」(任期制・年俸制 准教授は任期5年、2回まで更新可、研究員<現在の助手に相当>は任期5年で最大3年まで延長可)のどちらか選択するものとしました。また新規採用者はすべて「新制度」とされています。 任期制・年俸制導入は8・1知事記者会見で打ち出された目玉商品であり、法人当局は「旧制度」を懲罰的な内容にして、教員に対し「新制度」への移行を促進しようと画策しました。当局の提示した任期制・年俸制はきわめてずさんであり、業績給・職務給の算定基準も、再任等の基準もまったく決まっていないという状況であります。そうしたなかで教員のうちかなりの部分が「新制度」に批判的であり、「旧制度」の適用を受けている状態が続いています。また「新制度」に移行した教員のなかにも制度への不安と不満が存在します。
  教職員組合は、4月当初に当局が配布し提出を求めた雇用契約書を提出しないように呼びかけてきました。その結果、かなり多くの教員が契約書を提出していません。この契約書を提出することで、不利益な勤務条件が固定化されてしまうおそれがあります。組合はあらためてこの契約書を提出しないことを呼びかけます。
「旧制度」の昇給・昇任なしという措置は理不尽なものであり、組合は「旧制度」の昇給・昇任を求める態度を変えるつもりはありません。6月21日に当局は組合の要求を拒否し、団体交渉は決裂しました。7月の法人幹部職員の異動などを受けて、10月はじめには、「旧制度」問題を含む人事給与制度の改善を求めて、あらためて当局に団体交渉を申し入れました(『手から手へ第2366号』)。
  秋季には、当局との協議を中心としながら、裁判等の手段も視野に入れて現状を打開するべく準備を進めています。この秋、当局は「年俸制業績評価検討委員会」で、「新制度」の詳細について検討を行うとしています。「新制度」を適用されている教員からも、現在の制度に対して大きな不安があるという声が組合に寄せられています。組合は、「新制度」についても一定の発言を行っていきます。
  とにかく、現在多くの教員が契約書提出を留保していることは、今後の運動にとって大きな力になります。さまざまな理由で契約書を提出された教員も、秋の運動に結集していくことを望みます。

<職員の勤務条件>
  現在首都大に勤務する人々には、@都からの派遣職員(公務員)、A法人固有職員、Bアルバイト等、C派遣会社社員という多様な形の勤務形態が存在します。法人固有職員は1年ごとの有期雇用で3年まで更新可というもので、様々な面で不利な条件にあります。また採用時の「時間外勤務はなし」という原則は守られていない状況です。また有給休暇取得、その他の勤務条件においても不利な状態にあり、こうした問題をひとつひとつ解決し、安心して働ける職場にしなければなりません。
  法人の当初案では、将来的に有期雇用の法人固有職員のみで法人を運営するという構想でありましたが、大学の特性からみて全く非現実的であることがようやく認識されてきたようです。組合は希望する固有職員の常勤化を要求していきます。
  法人固有職員についても、新旧大学の錯綜した事務処理が多くの負担をもたらしています。この数年間、大学にながく勤めてきた職員の中にも他局への異動を希望する人が増えています。適正な人員配置、法人組織、大学の円滑な運営が行われない限り、事務職員へのしわ寄せはなくなりません。法人当局は、事務の実態にあった人員配置を東京都に求めるなど主体的な態度をとるべきです。

 4.赴任旅費問題
法人化後に採用された教員から、赴任旅費の支給基準についての問い合わせが何件かありましたので、組合の考え等を説明いたします。
なお組合では、赴任旅費の支給については、一定の距離要件を満たせば、本学に赴任された教員全員が対象になるように、要求書を法人に提出する準備を進めています。

 4月からの法人の就業規則による旅費規則は、3月までの都条例で定めていた基準とは、いくつかの点で異なっています。
就業規則の旅費規則では、赴任について、以下のように定義しています。

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  (法人の就業規則の旅費規則では)
  第2条 この規則において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
  (4) 赴任 法人の要請に基づいて国若しくは他の地方公共団体等を退職し、引き続いて採用された教職員、若しくは採用に伴う移転のため住所若しくは居所から就業の場所に旅行し、転任を命ぜられた教職員が、その転任に伴う移転のため旧就業場所から新就業場所に旅行し、又は住所若しくは居所を移転する者が、移転のため旅行することをいう。
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 これに対して3月までの都条例と旅費支給規程では、次のように定められてい
ました。

***********************
  (3月までの都条例と旅費支給規程では)
  第二条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
五 赴任 都の要請に基づいて国若しくは他の地方公共団体等を退職し、引き続いて採用された職員若しくは任命権者があらかじめ人事委員会と協議して指定した職に充てるため採用された職員が、その採用に伴う移転のため住所若しくは居所から在勤庁に旅行し、転任を命ぜられた職員が、その転任に伴う移転のため旧在勤庁から新在勤庁に旅行し、又は住所若しくは居所を移転する者で任命権者が人事委員会と協議して特別の事情があると認められたものが、移転のため旅行することをいう。
また、人事委員会と協議して指定した職には(職員の旅費支給規程 第2条の2)都立の大学(短期大学を含む)の総長、学長、教授、助教授及び講師の職、ただし、助教授及び講師の職については、他の大学の講師以上の職にあった者が引き続いて都に採用された場合に限る。
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 具体的に説明しますと、都立の大学時代(都条例が適用されていた時)は総長、学長、教授であれば、前職を問わず赴任旅費を支給していました。
助教授と講師については、前職が大学の(従って私立大学であっても)助教授及び講師であれば支給していました。
それ以外の助教授と講師、助手については、支給していませんでした。

 私立大学の退職者には、支給せず?
ところが、法人の就業規則では、都条例にあった「人事委員会と協議して指定した職」に類する定めがありませんので、就業規則の字義上は、採用される教員の職層は問わないが、法人の要請に基づいて国若しくは他の地方公共団体等を退職することが旅費支給の必要要件になります。
したがって、就業規則の字義上は、教授であっても、前職が私立大学であれば支給されませんが、研究員であっても、前職が国若しくは他の地方公共団体等の職員であれば、支給されるということになります。
  これらをまとめると赴任旅費の支給対象者は表の通りになります。

 他の大学では
東京大学や茨城大学、横浜市立大学の法人の旅費規程には、首都大学東京の旅費規程のような、「法人の要請に基づいて国若しくは他の地方公共団体等を退職し」といった文言は一切ありません。横浜市立大学は100Km未満は支給しないと定めており、東京大学や茨城大学は50Km未満でも、住居を移転すれば、赴任旅費が支払われています。
東京大学http://www.ne.jp/asahi/tousyoku/hp/
茨城大学http://park16.wakwak.com/~ibakyo/kisoku/pdf/ryohi.pdf
横浜市立大学http://homepage3.nifty.com/ycukumiai/

 そこで、組合は次のとおり要求します。
  就業規則を定める過程を振り返ってみますと、当初の提案は、都の条例をコピーしたものがそのままに近い形で、提案されました。しかし、都条例の時代にはあった、「人事委員会と協議して指定した職」に類する定めがないまま、就業規則が作られてしまいました。
組合は、他大学の例から比べても、法人の旅費規程は内容が劣っており、不備もあることから、以下のような理由で赴任旅費を支給するよう要求します。
(1)大学教員は、全国から公募して採用するため
(2)人材確保の観点から、新任の助手(研究員)も含め
(3)一定の距離要件を満たせば
(4)前職を問わず、
(5)赴任旅費を支給する

 5.固有職員の労働条件
固有職員に4月に配付した組合への加入の訴えの文書には、当面する問題として、次の2つの要求を示しました。
 当面する問題(1)
  年次有給休暇の取得単位
固有職員は、昨年度東京都の専務的非常勤職員として雇用されていた職員を除いて、年次有給休暇の取得単位を1日とされています。都派遣の職員には、1時間単位の取得が認められています。組合と法人との交渉で、当局は「取得単位1日は、法の趣旨」と主張しました。その根拠として、厚生労働省の通達を挙げています。
  確かに、厚生労働省は年次有給休暇について、1日単位でまとめ取りをして、できれば休日を含めて7日以上の連続休暇を奨励していることは事実ですし、あながち悪いことだとはいえません。しかし、職場や家庭生活実態からすると、「PTAの会議があるので、午後から休暇を取得したい」「午前中に、市役所に証明書を取りに行って、速達で家族に送りたい」といったことは、よくあることです。実際に組合には、こうした声が寄せられています。仕事と家庭生活を両立させるためにも、こうしたケースでは、時間単位で年次有給休暇を取得したいという要求は当然です。ましてや、職場の中で、取得単位の異なる職員が存在するのは職場運営上も好ましくありません。
組合は、固有職員にも、年次有給休暇を時間単位で取得できるよう要求しています。
 
  当面する問題(2)
  月16日勤務職員・月13日勤務職員にも、慶弔休暇を
月16日勤務・月13日勤務の固有職員については、慶弔休暇が付与されていません。(注)現在、配偶者や父母の死亡の場合は、引続く7日の慶弔休暇が、都派遣職員や週5日勤務の法人契約職員には付与されています。都派遣職員には週32時間勤務の再任用職員にも月16日勤務・月13日勤務の再雇用職員にも、慶弔休暇が付与されています。
少子高齢化社会を迎えている現在、家族の死に際して、祭祀を主催する立場にあたるケースは確実に増えています。家族の葬儀を経験した人には、よく判ることですが、葬儀が終わって後も、社会保険事務所へ年金の停止の届けの提出などは、休日には行えません。月16日勤務の固有職員の年次有給休暇は、1年目が7日です。あってほしくないことですが、人の命は永遠ではありません。
  組合は「これでは、祭祀を主催できない」「人の倫(みち)に反する」と、月16日勤務・月13日勤務の固有職員にも慶弔休暇を与えるよう主張してきましたが、このことを改めて要求するものです。
(注) 公立大学法人首都大学東京非常勤教職員の勤務時間、休日、休暇等に関する規則(平成17年法人規則第37号)では、第35条で所定の勤務日数が1週につき5日に満たない非常勤教職員については、第22条(妊娠障害休暇)、第23条(早期流産休暇)及び第29条(慶弔休暇)の規定は適用しない、とされています。

 これらに加えて、次のことを法人に対して要求します。
  一時金について
昨年11月に大学管理本部からもらった「任期付職員の労働条件について」を改めて見てみると、「賞与」が支給されるのは任期付一般職員だけで、技術を含めた専門職員には支給されるとはなっていません。
当局に問い合わせたところ、一般事務職員の給与が再任用職員や再雇用職員と比較して、相対的に低いこと、技術を含めた(司書、看護師)専門職員は、世間相場と遜色がないこと等の理由で、賞与を支給しないとの返答が返ってきました。
  しかし、現在、再任用職員(週32時間勤務)には、一時金が支払われています。月16日勤務の固有職員の所定労働時間は、再任用職員(週32時間勤務)とほぼ同程度です。夜勤のローテーションの入っている職員(司書職や看護師)もいます。原則として、超過勤務はないとした、労働条件も守られておらず、再任用職員と同様、超過勤務も多くの職場で生じています。従って、週5日勤務者及び月16日勤務者については、一時金を支給することを、要求します。

 契約更新について
多くの固有職員から、来年度も引き続き働き続けることができるのか?という声が組合に寄せられています。組合では、こうした固有職員の不安を取り除くために、遅くとも12月中旬までには、法人として契約更新の意思を明らかにするよう要求します。

【当面の日程】

 10月21日(金)18:00〜中央委員会(南大沢キャンパス大会議室)
 *中央委員の方は出欠の連絡を19日(水)正午までにお願いします。
 27日(木)12:30〜地域ビラまき
    [大学祭参加行事ビラ.都労連ビラ]
  10月25日(火)〜11月10日(木)[予定]
    勤務時間カットの批准投票期間

  * 南大沢キャンパスの昼食環境改善の署名、
 ただいま実施中! 10月28日(金)正午締め切りです。