2292号

大学管理本部「大学院の重点化」などを回答
身分・雇用については新たな内容なし
就任承諾書提出にあたって留保条件を決議―人文学部教授会

 6月24日の人文学部教授会には、かねてより大学管理本部に同教授会が求めていた3項目についての回答が、学部長を通して伝えられました。この回答をめぐって教授会は、身分・雇用条件については実質的な進展が全くない、また学則上の教授会の人事権に関しての回答は極めて不十分として、それぞれについて教授会決議を大学管理本部等に示すことを決定しました。また、就任承諾書の提出の可否については、それらを踏まえて各教員・各専攻が判断をし、その結果をとりまとめてそろった分を「様式3」(科目・担当教員一覧)とともに大学管理本部に提出することを確認しました。

大学管理本部からの回答の概要

<新大学院について>

2006年度からの新大学院に関しては、人文学部が要求した項目について了承した上で、専攻ごとの内訳について分野別WGで検討、他の3大学所属教員等の意見もきて決定するとの回答がありました。人文学部の要求した項目は以下の通りです。

@18年度から大学院を重視し重点化していく。

A「人間・社会・文化科学研究科」(仮称)は85名で構成する。

85名の内訳は社会行動学専攻20名、人間科学専攻26名、文化基礎論専攻22名、国際文化関係論専攻17名とする。

B大学院教授会は、重要な事項を審議する機関である。

C専攻別教員に欠員が生じて、センター等からの所属変更等では補えない場合には、個別具体的な事情に応じて充員していく。

<身分・雇用問題について>

 この問題に関しては、「任期制・年俸制の内容については、就任承諾書提出後も引き続き話し合いを行い、建設的な意見については取り入れていく」との回答がありました。しかし、これに続く具体的な内容については、これまでに各大学教員への説明会や教職員組合との交渉で大学管理本部が説明してきたものに付け加わるものは基本的に何もありませんでした。

<教授会の人事権について>

 この問題については、経営側と教学側とで構成される人事委員会が、教員人事に関する方針・計画などを検討すること、人事委員会のもとにおかれる教員選考委員会は、部局長・専攻と同じ分野の学内教員・学外の専門家など教員によって構成され、個別教員人事(採用・昇任等)を審議するとの回答が示されました。学則上の当該条項の修正については触れられていません。

2つの決議を決定

 これらの回答について、教授会では、2番目の身分・雇用条件に関しては「事実上のゼロ回答」との評価でほぼ一致しました。そのため、たとえ現時点で就任承諾書を出すことがあっても(あるいは出さない場合でも)、それは身分・雇用条件が不明な段階での暫定的判断であり、最終的な判断をこの先に行う権利を保留することを教授会として決議し、大学管理本部及び文科省・設置審に示すことを決定しました。

 また3番目の教授会人事権については、教員選考委員会の構成次第では実質的に教員組織側の意見が反映できる仕組みになった点を一定程度評価する意見と、学則上教授会の人事権が認められていないことが重大とする意見が出ました。その結果、この項目についても教員人事に関する項目を学則に明記することを、再度、大学管理本部に求める決議を行うこととしました。

4大学すべての教員は今後の就任承諾書撤回・提出の権利を留保している

 教職員組合は、人文学部教授会の3項目の回答要求について、6月21日付の中央執行委員会声明でも、これは人文学部に限らず4大学の多くの教員が同様に不安に感じている事柄であり、大学管理本部が明確に回答することを強く求めてきました。

  今回の回答の中で、新大学院に関する事柄、とりわけ「大学院重点化」は、4大学の多くの教員が教育と研究の一体となった大学のあり方を求めていた中で、4大学すべてにとって重要な内容です。このことを明確化させた点で、人文学部教授会の奮闘は大きな役割を果たしたといえます。

 しかしその他2項目については、人文学部のみならず4大学の大多数の教員の期待を大きく裏切るものです。就任承諾書の提出という一人ひとりの教員の一身上の重要な判断を行うに際して、身分・雇用条件すら明確でない状態は極めて異常なことです。また、教授会の人事権についてもこれを明確に認めない態度は不当です。

 とりわけ身分・雇用条件が明確でない段階での就任承諾書提出が、あくまでも教員一人ひとりにとっては暫定的判断であり、最終的判断の権利が未だ留保されているということは、人文学部に限らず、4大学全教員にとっても当然のことです。教職員組合は、今回、就任承諾書を提出した者も、提出しなかった者も、身分・雇用条件が明確化された時点で、再度、異なる判断をする権利がすべての者に留保されていることを宣言し、その権利の擁護のために奮闘するものです。

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身分・雇用に関わる諸条件が未確定な段階での就任承諾書提出について

                                   2004年6月24日 東京都立大学人文学部教授会

人文学部教授会は、新大学設置申請に関わる就任承諾書の提出について判断するにあたり、東京都大学管理本部に対して、いくつかの事項について回答を求めた。6月24日臨時教授会に南雲学部長を通して伝えられた回答のうち、新大学とともに設立される法人における教員の身分・雇用に関しては、すでにこれまでに経営準備室運営会議、教職員組合との交渉などを通じて明らかにされてきたものと何ら変わるところがなく、極めて不十分と判断する。

 身分・雇用という重大事項が明確にならないままに、就任承諾書提出が求められることは極めて遺憾である。したがって教授会は、現時点での各人の就任承諾書提出の可否は、あくまでもこのような重大事項が未確定な段階での暫定的判断であり、今後明確にされるであろう身分・雇用に関する条件次第で異なる最終的判断を行う権利を留保することを確認する。

学則上の教員人事に関する教授会権限の記載について

                            2004年6月24日 東京都立大学人文学部教授会

人文学部教授会は、すでに6月10日付「新大学の学則(案)に対する意見書」において、学則(案)に対する修正提案を行った。中でも、「学則(案)」原案にある教授会権限の大幅な制限については深い懸念を抱くものである。しかしながら、今回南雲学部長を通じて示されたメモを見る限り、大学の自治を軽視する東京都の態度が根本において改まっているとは考えられない。

 我々はここに、「教員の採用及び選考等に関する事項」を教授会審議事項として学則上明記することを再度強く求める。