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2451号

ご存知ですか、危機管理に関する大学院
中央執行委員長 大串 隆吉

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 危機管理に関する大学院を首都大学東京に創ろうという呼びかけが、オープンユニバーシティの総合危機管理講座で行われています。
  オープンユニバーシティは、5月23日から総合危機管理講座を開設しています。この講座は、前期16回(5月23日〜10月10日)と後期16回(10月17日〜2月20日)からなり、定員は各期150人、受講料はそれぞれ48,000円で、行政機関や企業の危機管理に携わる人を対象としています。
  この講座のパンフレットに、我々教職員なら「オット?!」目をむくことが書かれています。それは、前期第一回目の講師佐々淳行氏(元内閣安全保障室長)が、「開講にあたっての本講座の目的」のなかで「首都大学東京に危機管理に関する大学院大学を創ろう」と呼びかけているからです。
 この呼びかけは、佐々氏だけの願望かと思ったら、そうでもないようです。

産学協同プロジェクト総合危機管理講座
  この講座は、東京都と総合危機管理講座創設委員会(代表:佐々淳行)との連携・協力のもとで開かれています。受講申込先は、総合危機管理講座創設委員会代表すなわち佐々淳行氏で、受講料の振込先は同委員会副代表大久保哲夫名義の銀行口座になっています。また、キャンセルの場合、同委員会事務局に連絡し、キャンセル料を払うことになっています。そこで、この講座の講師料の支払い名義はどこなのか、収支の処理はどこで行われているのか、疑問が生まれますが、OUとこの委員会の間に事業協定書が結ばれているはずです。
 すでに、この講座は昨年11月から今年1月にかけても開設されていました。その時に、株式会社フォーバルと総合危機管理講座創設委員会は連名で、報道関係資料を配りました。その表題は「フォーバルと総合危機管理講座創設委員会、首都大学東京と産学協同プロジェクトを開始」で、次のように書かれていました。「総合ブロードバンド・ソリューションを提供する株式会社フォーバル(本社:東京都渋谷区、代表取締役会長:大久保秀夫、JASDAQ上場)と総合危機管理講座創設委員会(代表:佐々淳行、副代表:大久保秀夫)は、本日、日本初の官民合同の『総合危機管理講座』を首都大学東京『オープンユニバーシティ講座』として立ち上げることを発表しました。」。なお、同会社のHPにある会社沿革にも、2006年11月「フォーバルと総合危機管理講座創設委員会、首都大学東京と産学協同プロジェクトを開始」とあります。
 このフォーバルという会社は、1980年に情報機器をあつかう新日本工販株式会社として設立され、情報通信コンサルタント事業も手がけるようになり、1988年に現在の名前に改称し、いくつか小会社をもっています。この会社が、この講座に乗り出す目的は、社長の大久保哲夫氏と佐々淳行氏が、危機管理のスペシャリスト養成が必要だと、意見が一致したからのようです。同社は、昨年、ジュリアー二元ニューヨーク市長が設立したセキュリティ企業Giuliani Partners(GP)と合弁で、GPの日本法人をセキュリティコンサルティング企業として立ち上げています。

シンポ「テロリズムと危機管理」で提言
 昨年9月15日にホテル・ニューオータニで総合危機管理講座創設委員会・9.11日本を守る有志の会(代表:佐々淳行)が主催して、シンポジウム「21世紀におけるグローバルな安全保障『テロリズムと危機管理〜9.11以降の世界』」を開催しました。このシンポの際に危機管理に関する大学院が提言されました。
このシンポの特別後援団体は読売新聞社、日本テレビ網、後援団体には、警察庁、防衛庁、消防庁、海上保安庁、東京都、警視庁、東京消防庁、横浜市、仙台市、東京商工会議所とともに首都大学東京が入っています。この場合の首都大学東京とは、公立大学法人首都大学東京なのか、大学としての首都大学東京なのかはっきりしません。どちらなのでしょう。   
このシンポでは、郷原信郎氏(桐蔭横浜大学法科大学院教授)の記念講演、石原都知事、手嶋龍一氏(元NHKワシントン支局長)、佐々淳行氏による鼎談、ジュリアー二元ニューヨーク市長の特別講演が行われました。そして、総合危機管理講座の12人の講師の紹介が行われ、この講師達も発言したようです。
そして、「シンポジウム提言」がまとめられました。そのなかの「緊急提言」で「私たちは、危機管理専門の大学院大学の設立を目標に掲げ、そのさきがけとして、首都大学東京・オープンユニバーシティ内に、総合危機管理講座を開設していく」という提言がなされたのです。
 このシンポを主催したのは、総合危機管理講座創設委員会・9.11日本を守る有志の会ですが、この両者の団体は一体になっているようです。両者の役員として次の方々が名を連ねています。
 代表:佐々淳行(前掲)、副代表:大久保哲夫(株式会社フォーバル代表取締役会長兼社長)、実行委員:伊藤和明(元NHK解説委員)、杉田和博(前内閣危機管理監)、志方俊之(帝京大学教授・東京防災担当参与)、郷原信郎(前掲)、大野基裕(株式会社ゼネラルサービス専務取締役、財団法人中東調査会上席研究員)。
 これらの方は、今年の講座の講師となっています。ただし、オープンユニバーシティの講座では、9.11日本を守る有志の会の名はなく、総合危機管理講座創設委員会の名前だけになっています。
 ところで、このシンポで、石原都知事は、「不法入国の三国人、特に中国人ですよ。そういったものに対する対処が、入国管理も何も出来ていない」と発言したと報道され、この発言に対する公開質問状が以下の市民団体から出されました。「外国人・民族的マイノリティー人権基本法」と「人種差別撤廃法」の制定を求める連絡会、移住労働者と連帯する全国ネットワーク。
 シンポジウム提言は、以下のサイトから読むことが出来ます。http://www.gssa.jp/seminars/060915.html
 今年の危機管理講座の講師の顔ぶれは、以下のサイトあるいは講座パンフレットを見てください。
  http://www.kikikanrikouza.com/
  市民団体の公開質問状は、「移住労働者と連帯する全国ネットワーク(SMJ)ウエブサイト」にあります。