2410号
  

 夏季一時金2.5ヵ月分(固有職員については1ヵ月分)を6月30日までに支給を!
 固有職員の賃金・雇用、休暇制度の改善を!次世代支援対策を!
 教員の「扶養手当」「住居手当」「単身赴任手当」を逓減→廃止ではなく都の水準に戻すこと
 教員の採用・昇任に当たっては、任期の有無に関わらず公平に行い、任期付き教員の任期なしへの移行を可能にすること
         ――組合、5.30団交で法人当局に要求――

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  組合は5月30日、法人当局と団体交渉を行い、夏季一時金に関する要求書、固有職員に関する要求書を提出するとともに、教員の給与・人事制度について要求しました。
 夏季一時金については、@2.5ヵ月分(固有職員については1ヵ月分)を6月30日までに支給すること、A回答を6月16日までに行うこと、固有職員については、@賃金・雇用に関する要求、休暇に関する要求、次世代支援対策に関する要求を行いました。(具体的な要求項目は、5月19日付「手から手へ」第2409号に掲載)
 教員の給与・人事制度については、@「扶養手当」「住居手当」「単身赴任手当」を逓減→廃止ではなく都の水準に戻すこと、A採用・昇任に当たっては、任期の有無に関わらず公平に行い、任期付き教員の任期なしへの移行を可能にすること等を重ねて要求しました。
 団交での労使の発言骨子は、次のとおりです。
     
【組合発言骨子】
夏季一時金2.5月を要求
 夏季一時金に関する要求書及び固有職員に関する要求書を提出します。提出にあたり一言申し上げます。
 夏季一時金に関してですが、5月に発表された政府月例経済報告は、景気拡大が4年4ケ月持続し、バブル景気を上回ったことは確実としています。また、マスコミの調査によれば、この夏の民間主要企業の一時金は初めて80万円台になるなど、平均支給額は4年連続増加となっています。中小企業などでは依然として厳しいといわれているものの、全体としては景気拡大、一時金増額という基調になっています.
 こうした日本経済と民間企業の動向を見れば、私たちの要求は当然のものといえます。前向きに検討し、要求に応えるよう要請しておきます。

固有職員を期限の定めのない雇用に
 次に、固有職員に関する要求について申し上げます。
 「派遣法」に基づいて、公立大学法人に派遣されている東京都職員は、2007年度末に3年の派遣期間を終了(2年間の延長、および再派遣は可能で、最大10年まで同一職員の派遣は可能です。)します。東京都は、「団塊の世代」の退職にあたって、大量の新規採用者を迎えるのではなく、公益法人などへ派遣している職員の引上げなどの方策をとることを明らかにしています。2007年は、「団塊の世代」の大量退職が始まる年です。
 こうした状況を考えると、現在雇用されている固有職員すべてを3年の任期切れで「雇い止め」にして、大学の事務体制を維持するのは困難です。法人当局は、2008年度以降の事務体制について、至急にその方針と方策を示す義務があります。「固有職員を期限の定めのない雇用に」という主張は、こうした状況からいっても道理のあるものです。固有職員が基幹的役割を果たしている図書館司書、看護師、技術職員に賞与を支給することを始め、賃金を含めた労働条件を改善し、2008年度以降も安定した大学運営ができるようすることが法人当局に求められています。

出産、育児、介護などにあたる職員の支援体制について、率先的に改善を
固有職員の多くは、女性で出産、育児、介護などの家庭責任を果たさなければならない世代です。育児、介護は、女性だけの仕事ではありません。固有職員がそうした責任を果たしながら、働きつづけるための条件整備が求められています。少子化問題の解決のためにも、次世代育成支援対策法に基づく、一般事業主行動計画を至急作成し、実行に移すことが求められているのです。助産師の養成課程を持っている本学こそ、出産、育児、介護などにあたる職員の支援体制について、率先的に改善を行うべきです。
 また、少子化問題では、産婦人科医と助産師の不足も指摘されています。助産実習は、国家試験受験の要件であり、昨年来、夜間に及ぶ助産実習に携わる教員の勤務実態について、調査と報告を求めていることを、この際、指摘しておきます。

契約更新した固有職員には、昇給を行え
年休の取得単位を時間単位とせよ

 また、契約更新した固有職員には、1年間の業務に対する経験や実績を踏まえて、昇給を実施すべきです。固有職員も、その収入で家計を支えています。常勤職員と同様に、住居手当、扶養手当、単身赴任手当を支給することを要求します。年次有給休暇については、今年度から半日単位で取得が可能となりました。しかし、昨今の子どもが被害者となる犯罪の増加などで、子どもの登下校時の父母による見回りなどが当番制となっている学校も少なくありません。そうした責任を果たすうえでも、取得単位を1時間単位に改めることが必要です。

教員の「扶養手当」「住居手当」「単身赴任手当」を改めて要求
 次に、教員の給与についてです。1月17日の団体交渉における当局の回答のうち、「扶養手当」「住居手当」「単身赴任手当」について、組合は改めて要求することを表明しています。これらについて、東京都の水準に戻すよう要求します。4月からの新たな教員の人事給与制度では、「扶養手当」「住居手当」「単身赴任手当」については、5年間で逓減することとなっています。しかし、このことが実施されると、任期制を選択し、職務給が昇給しても、多くの教員の賃金が減少することになります。「年俸制」だから、「扶養手当」「住居手当」「単身赴任手当」などの生活給は年俸に含まれているとの当局の主張は、実態からも、教員の意識からも乖離しています。

採用・昇任に当たっては、任期の有無に関わらず、公平に
任期付き教員の任期なしへの移行を重ねて要求

 最後に、教員の昇任や新規採用に関する件について申し上げます。来年度の教育・研究体制を決めるためにも、採用を含めての教員人事への対応が必要な時期にきています。組合は、教員の昇任や新規採用に関して、次の3点について、早急に解決することが必要だと考えています。
 1.教員の新規採用公募にあたっては、すべてを任期付きとすることなく、任期を付さない教員公募も行うこと。また、引き継ぎ教員・法人採用教員の区別なく、任期付き教員の任期なしへの移行を可能にすること。
 2.教員の昇任審査にあたっては、任期の有無にかかわらず、応募し受審できること、ならびに審査にあたっては現在任期付きであるか否かによる差別的取り扱いがないことを明らかにし、要綱にその旨を記載するなどその主旨を徹底すること。
 3.引継ぎ教員の昇任にあたっては、教員任期法に則り、任期付きとなる場合 
は本人同意を前提とすること。
組合と法人との間で交わした3月31日付けの覚書でも、こうした組合の要求については、引続き協議をすることになっています。来年度の教育・研究体制を確立するという観点からも早急に回答を求めます。

【総務部長発言骨子】
 それでは、私から申し上げます。
 ただ今、東京都立大学・短期大学教職員組合の皆さんから、「夏季一時金に関する要求書」及び「固有職員に関する要求書」を承りました。内容が多岐にわたっておりますので、整理のうえ検討に入りたいと思いますが、私から一言申し上げます。
 現在の経済情勢を見ますと、民間企業では、事業の見直しや経営改善などの徹底した企業努力を進めた結果、地域、業種や規模により差があるもものの、企業収益は改善してきております。しかしながら、法令遵守や利害関係人への説明責任が一層求められる状況にあるほか、事業環境は常に予断を許さない状況にあり、各企業は、今後も激化する国際競争の中で存続・成長していくため、競争力を常に向上させる努力を行っています。
 2年目を迎えた本法人も、大学全入時代を目前に控え、公立大学としての存在意義がこれまで以上に問われる中、大学改革の理念をより具体化し、その取組の推進に向けた礎の強化を図るとともに、今後進むべき方向性を一層明確にし、より戦略的な取組を高めていく必要があります。
 加えて、独立した法人として自律的な運営が求められるとともに、都からの運営費交付金が主要な財源であることからも、都民の期待に応える効果的かつ効率的な運営を実現しなくてはなりません。
 これまで、皆さんのご理解を得て、教員の新たな人事制度を導入することができましたが、引き続き、教職員の人事・給与制度についての諸課題について検討していく必要があります。これについては、人事制度等検討委員会で十分な議論を行うとともに、協議すべき事項については皆さんとも精力的な協議を行って、教員の意欲と努力に応えるような良い制度を作っていきたいと考えております。
 また、ただ今お話がありました教員人事については、人事委員会で検討していきますが、皆さんとの間で整理が必要な内容については協議してまいります。
 いずれに致しましても、皆さんからの要求については真摯に受け止め、今後、よく検討していくとともに、法人教職員の勤務条件については、皆さんと十分な協議を重ねてまいりたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
 私からは以上です。