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2484号

ようこそ首都大学東京へ
働きやすい職場づくり、都民・国民に誇れる大学づくりのために
新規採用教職員のみなさんに労働組合への加入を訴えます

2008.4.1 公立大学法人首都大学東京労働組合 中央執行委員会

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 今年度、公立大学法人首都大学東京に新規採用された教職員のみなさん。公立大学法人首都大学東京労働組合(以下、組合)より心からの歓迎を申し上げます。
 わたしたち組合は、昨年規約を改正して、それまで、東京都の職員と首都大の教員の組合であった組織を非常勤職員はもとより、アルバイトや本務校のない非常勤講師も加入できる「法人に働くすべての労働者」の労働組合として活動しています。
 以下に、わたしたち組合が掲げて運動している要求を概括してご紹介します。これらの要求は、みなさんが働き始めてすぐに直面する問題であり、しかも、組合員が多くなればなるほど達成できる時間が短縮され、実現の可能性が高くなります。
 ぜひ、みなさんも組合に加入して、働きやすい職場と創造的な教育、研究のできる大学づくりに、ともに手を取り合っていきましょう。

組合のふたつの基本的な目標
  わたしたち組合は、三年前の法人化以来、次のふたつの基本的な目標を掲げて活動しています。
  ひとつは、公立大学として都民、国民の負託に応えられる、持続的永続的に教育と研究を発展させられる大学づくりです。このことは大学という職場に働く労働者にとって根幹的重要な環境づくりです。
  もうひとつは、法人化以来、非常に劣悪になった教職員の労働条件の改善です。とくに、教員の「一律任期制」の打破と非正規雇用職員の賃金・雇用条件の改善、正規雇用化の推進に力を込めています。

首都大学東京の現状
[教員]
  みなさんがこれから働く場所である首都大がどんな状況にあるか、ぜひ知っておいていただきたいと思います。
  現在、教員の過半数が任期制雇用です(新規採用はもちろん、昇格すれば自動的に任期付きとなるのでこの割合は常に増加しています)。助教は5年任期で残り3年の再任一度のみ(最長8年)、准教授は再任二度(最長15年)、という制度で、当然、「どんな基準で再任、不再任が決まるのか」が重大問題となります。しかし任期制施行以来3年が経過した昨年度末にようやく「総合的に評価する」という基本方針が決まっただけなのです。この曖昧な基準は、ひとつには数値化できる皮相な「業績評価」の蔓延を防ぐという側面もありますが、他方、基準の法人当局や管理職教員の恣意的運用の危険性をはらんでもいます。またとくに、「総合的評価」の実体が毎年度の「年度評価」の機械的総合となる可能性も高く、年俸のうちの業績給に反映される1年単位の業績評価が重みを増し、若手の教員にとってはとうてい長期的な展望での研究や教育のプランを立てられなくない心理状態に置かれてしまうものです。
  この「一律任期制」が大学の活性化に資するどころか、内部的には個々の研究に埋没して、大学への帰属意識を薄める傾向を助長し、対外的には、扶養・住居手当がないことと相まって、他大学、他研究機関の研究者にとって魅力のない大学にしているのです。
[職員]
法人と大学の事務局には、大きく分けても、東京都からの派遣職員、法人固有の正規職員、常勤契約職員、非常勤契約職員、人材派遣会社からの派遣職員等、非常に複雑な雇用条件の職員が混在しています。とくに今年は、法人発足時に採用され3年の経験を積んだ非常勤職員の多数が「雇いどめ」で大学を去り、また新たな人員構成で複雑で多岐にわたる大学事務にとりかからなければならないことになっています。
この3年間に、事務局各所でトラブルや極端な長時間残業、仕事の過度の集中などが起こっています。これは、社会的に是正の動きが強まっている非正規、短期雇用に固執した固有職員制度のために、経験を蓄積したプロフェッショナルが育ちにくく、また、東京都の人事異動に振り回される派遣職員配置、とりわけ毎年のようにくるくる替わる幹部職員の交替によるところが大きいのです。
複数の大学、高専を有する法人でありながら、発足時に行わなければならなかった、法人と各大学事務局の組織的な役割分担はようやく今春から手が着けられる、という状況です。職員個々は働きすぎるほど働いているのに、都立の大学時代から比べると、総体として大学事務局の知識、経験の継承が断絶し、力量の低下が目立っています。

組合の掲げている要求
  組合の基本的要求(目標)は教員に関して、「一律任期制」の打破と扶養手当、住居手当の復活を含む「年俸制」の根本的見直し、であり、職員に関しては、法人固有の職員制度を正規雇用を基本とするものに変える、というものです。これらを次期中期目標、中期計画の中に盛り込ませるよう、継続的に運動しています。
  同時に、さしあたって現在の賃金・労働条件を一歩でも前進、改善させるために以下のような課題で法人当局と交渉、折衝を行っています。

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[教員の賃金・労働条件]
@ 若手教員に対する「テニュア制度」の導入
A 「任期なし」教員公募の開始
B 非任期付き教員への差別的給与制度の撤廃
C カットされている扶養手当、住居手当の精算
D 他大学教員との給与格差を解消する給与制度への改善
[都派遣職員の賃金・労働条件]
@ 都労連の2008年度賃金労働条件に関する要求の実現に向けた東京都への働きかけ
A 法人を再任用設定職場にすること。また法人独自の高齢者雇用制度の創設
[非常勤契約職員の賃金・労働条件]
@ 同一労働同一賃金の原則に沿った賃金改善
A 契約更新時の昇給額の改善
B 有期雇用を期限の定めのない雇用への転換。当面一般事務職の更新回数制限の撤廃
C すべての非常勤契約職員にたいする一時金支給
D 住居手当、扶養手当、単身赴任手当の支給
E 常勤契約職員への登用選考の継続。技術職員の登用選考の開始
F 司書、看護師の増員
G 都派遣職員との均衡を失しない休暇制度への改善
[常勤契約職員の賃金・労働条件]
@ 同一労働同一賃金の原則に沿った賃金の改善
A 有期雇用を期限の定めのない雇用への転換
B 正規職員への登用選考受験資格を在職1年に短縮
C 都派遣職員との均衡を失しない休暇制度への改善
[臨時雇用(アルバイト)職員の賃金・労働条件]
@ 賃金の近隣国公私立大と同等水準への引き上げ
A 通勤手当の支給
B 法規と本人希望に応じて雇用保険、社会保険等の原則適用
C 上記各項の経費増に見合う予算措置
D 大学の特性に見合う多様な雇用形態に即した制度の整備と運用
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 また、人材派遣職員、業務委託職員も同じ職場でともに働いている仲間であり、その労働条件について組合は無関心ではいられません。法人が直接雇用している職員ではないので、組合員とすることはできませんが、労働基準法が守られているか、賃金は適切か、交通費は支給されているか、障害者雇用を法律の定めに従って行っているか、育児休業がとれるか、労働組合と交渉して労働条件を決定しているかなどの情報開示を求め、安ければよいという契約にならないよう、法人当局への要求と労働条件の改善を求めていきます。

働きやすい職場は人の輪を作ることから
  様々な雇用条件と職種の人々からなる本学を働きやすく、社会に貢献できる職場とするために、組合は上に述べた賃金や労働条件改善の要求を掲げての交渉以外にも、職場づくりは人の輪づくりから、という立場で様々な活動を行っています。
  わたしたちの組合はすべての職種を網羅しているという特性を活かして、組合内外の教職員の連帯や協同をとくに重視しています。
  例えば、組合女性部は、働く女性の立場からの要求発掘や各部署の女性教職員の交流や学習活動を行っています。また、日々の労働安全に関わる問題では、組合は労働安全衛生委員会に代表を送り、環境整備に影響力を行使しています。
  労働環境の整備が遅れている本法人では、組合の内外の教職員から賃金、勤務、再任、再契約など多数の相談が寄せられてきており、それをきっかけにして解決、改善された事例も沢山あります。困った問題では泣き寝入りせず、すぐに組合員や組合事務所に連絡してください。法律的な問題でも組合は顧問弁護団をもっていますから適切なアドバイスが受けられるはずです。
 
組合は、こうした活動以外に、組合主催のバスハイクやレクリェーションも定期的に行って、教職員の交流に努めています。労金からの融資や弁護士との法律相談など組合員ならではの特典もあります。
みなさんもぜひ組合に加入してくださるよう心から訴えます。