2331号
  

働くものの真の代表者を
選びましょう

――労働者の過半数代表の選出にあたって――
2005.2.23 東京都立大学・短期大学教職員組合 中央執行委員会

 労働者の過半数代表とは
 労働基準法は、第89条、90条で、常時10人以上の労働者を使用している事業場では就業規則を作成し、当該事業場に労働者の過半数で組織する労働組合がある場合にはその労働組合、そうした労働組合がない場合には労働者の過半数を代表する者(「過半数代表者」)の意見書を添えて、所轄の労働基準監督署長に届け出なければならない、と定めています。
 また、時間外休日労働協定(36協定)に代表されるような、日々の仕事を進める上で不可欠な各種の労使協定は、使用者と「過半数代表者」との協議と同意があって初めて有効となります。
 4月発足の法人では、現管理本部職員のいる新宿を含めて、南大沢、日野、荒川、昭島、晴海の計6カ所の事業場があり、そのすべてが10人以上の常勤職員を抱える予定です。したがって、この6事業場ごとに労働者を代表して「就業規則」に対して意見を述べ、また、各種労使協定に賛否を行う「過半数代表者」を選出することが必要です。

 就業規則に教職員の立場に立った意見を言えるひとを
 労基法で定められている就業規則の記載内容は以下の通りですが、実際にはこれらに関連した各種規則群となります。
 1.必ず記載しなければならない事項
 (1) 始業及び終業の時刻、休憩時間、休日、休暇並びに交替制の場合には就業時転換に関する事項
 (2) 賃金の決定、計算及び支払いの方法、賃金の締切り及び支払いの時期並びに昇給に関する事項
 (3) 退職に関する事項
 2.定めをする場合は記載しなければならない事項
 (1) 退職手当に関する事項
 (2) 手当・賞与・最低賃金額について定める場合には、これに関する事項
 (3) 食費・作業用品等を負担させる場合には、これに関する事項
 (4) 安全・衛生に関する事項について定める場合には、これに関する事項
 (5) 職業訓練に関する事項について定める場合には、これに関する事項
 (6) 災害補償・業務外の傷病扶助について定める場合には、これに関する事項
 (7) 表彰・制裁について定める場合には、これに関する事項
 (8) 上記のほか、当該事業場の全労働者に適用される事項について定める場合には、これに関する事項
  これらが、賃金や勤務制度等に関して非常に重要な事項であることは明らかでしょう。現在当局と多数の教員との間の争点となっている「新制度」「旧制度」の賃金・雇用問題も、退職に関連した制度もここでその内容が明示されるのです。また、安全や健康維持、表彰や懲戒など働きやすい職場環境を作るための規定も含まれます。少なくとも、これまでの労働条件を維持し、さらには改善するうえで、監視者である労働基準監督署に提出される「意見書」に、使用者側の都合に従うのではなく、働くものの願いを反映させる意志を持った代表者を選ばなければなりません。

 不当な労使協定案にはノーと言えるひとを
  就業規則だけでは職場は動きません。先に述べた時間外休日労働協定(36協定)以外にも、給与の銀行振り込みを可能にするための「24協定」、職員の福祉に関する協定や、今まさに議論が進められている「裁量労働制」の協定など、毎日の勤務や権利保障の上で就業規則以上に重要になってくるのが労使協定です。
  例えば、一般的に言って、時間外労働に関して、就業規則では「使用者は、業務上必要とする場合に、職員に残業を命じる場合がある」と書かれ、その「残業を命じる場合の事由と残業時間については、労使協定で具体的に定める」ことになります。法人になってこれまでの諸権利や慣行が一方的に不利益に変更されないためにも各種労使協定を十分吟味し、検討しなければなりません。
  ここで重要なことは、就業規則が「過半数代表者」の意見聴取にとどまっているのとは異なって、労使協定では「過半数代表者」は使用者側の提案に対する不同意や拒否も「正当な行為」として保障されていることです。したがって、「過半数代表者」には、おかしな協定案には変更・改善を提案し、使用者が応じないときには明確に拒否する姿勢が求められます。

 たんにひとりに任せるのではなく、全職層の意思を反映できる選び方を
  大学という職場は、非常に多様な働き方をする労働者の集まりです。「教員」をとっても、学部や研究科の意思決定に関わる機会と権限を持つ教授会メンバー、それを補助する助手、あるいは多数の授業を支える非常勤講師があり、そのすべてが大学の教育と研究の担い手です。また、大学の多様な業務遂行を支える職員も常勤職員(4月からは都からの派遣職員)、再雇用職員、非常勤職員(4月からは全職員の三分の一近くになろうとしています)から構成されています。これらの人々がそれぞれの立場で大学(法人)に労働を提供し、平等に就業規則によって働き方を決められるのですから、「過半数代表者」をたんにひとりの代表者として選ぶのではなく、すべての職層の要求や意思を反映できる仕組みを工夫するべきです。
  たとえ、意見書を出し、協定に署名する人は規定上、最終的にあるひとりであるにしても、各職層の代表者の集まりを作れば、集団的な討議、検討を可能であるし、それが真に職場の代表となれるのではないでしょうか。

 4大学に働くすべての教職員の利益を守り、発展させる立場から、組合は過半数代表選出過程に積極的に関わり、サポートしていく決意です。