2321号
 


 有期雇用となること以外は未確定の部分が多く存在する「新制度」
 昇給も昇任もある現行制度とは全く異なる「旧制度」
 どちらを選択しても不利益は明らか

 緊急要求及び緊急解明事項の当局回答に対する中央執行委員会見解

  12月20日に大学管理本部から、「新法人における賃金雇用制度に関する緊急要求に対する回答」及び「新法人における賃金雇用制度に関する緊急解明事項に対する回答」がありました。(手から手へ2318号既報)
 団交の席上、組合は「当局が称する『新制度(任期制・年俸制)』は、期限の定めのない雇用から、有期雇用に変更するもので不利益変更である。また当局が称する『旧制度』は現行の昇給も昇任もある制度の不利益変更であり、緊急要求の回答を受け入れることができない」と発言しました。また、再任基準や評価方法などが、まだ一度しか開かれていない「年俸制・業績評価検討委員会」での検討に委ねられており、現時点で具体的に示されておらず、「制度選択を求めるのであれば、再任基準や評価方法を具体的に示すべきである」と要求している組合に対する回答がないことから、任期制の導入には、反対であるとの見解も示しました。さらに、休職期間中の給料や退職金の算定方法などが明らかでないことを指摘し、当局提案の「新制度」がまだ成案を得ていない不完全なものであることも厳しく指摘しました。
 「急解明事項に対する回答」についても、先に述べた「再任基準や評価方法」「休職期間中に支払われる給料」「職務給」「業績給の業績評価の方法やその評価基準とそれに基づく支給率、苦情処理方法」などが「年俸制・業績評価検討委員会」の検討に委ねられており、未確定であることが明らかになっています。
また、退職金の算定にあたって、「平成16年度末に退職した場合と比較し、不利益にならないよう調整することとしている。」という回答は、具体性に欠けており、誰もが自分の退職金を計算できる現行制度のように、具体的な計算方法や「不利益にならないよう調整する」方法などを示すべきです。
 さらに、当局が称するところの旧制度について、昇給や昇任がない点や当局が称するところの新制度について、昇任した者や新規採用者が「新制度」しか選択できないことについて、「合理的な理由」を尋ねたところ、まともな回答ができなかったことからみても、当局の提案が合理性のあるものであると主張するのであれば、もっと説得的に、理由を明確にして、組合と個々の教員の疑問に答えるべきです。
 以上のような点から当局提案の「新、旧制度」なる賃金雇用制度がどちらも、何ら「選択」に値するものではないことは明らかです。



 全く不合理な年俸の決定方法 旧制度の試算年収の根拠を管理本部に問いただそう

 12月27日の団交で示された「任用・給与制度の選択について(照会)」で明らかにされた来年度の年俸の算出方法は明らかに不合理です。注意事項の(3)に示された「(参考)算定の基礎としたデータ」を見ると、その不合理性は歴然です。
 第1に給料月額についてです。「今年度末の号給(1月に実施予定の定期昇給及び特別昇給は反映済み。)」というものですが、4月に昇給する者は、次の号給にあと3ヵ月で昇給することが考慮されていません。昇給について考慮するなら、4月昇給予定者については、上位の号給との昇給間差の4分の3を、同様に7月昇給予定者には上位の号給との昇給間差の2分の1を、10月昇給予定者には上位の号給との昇給間差の4分の1を加えた額とし、一時金にも反映させるべきです。
 第2に扶養手当についてです。「平成16年10月時点での届出状況に応じた額」というものですが、これでは、11月以降に生まれた子供や結婚に伴う配偶者に対する扶養手当が考慮されません。その一方で、今年度22歳の大学生を扶養している者については、来年度以降もその扶養手当分が算入されることになります。しかも、調整手当にもそうしたことが反映されるのです。
 第3に住居手当についてです。平成16年10月時点での届出状況に応じた額というものですが、現在親の家に同居している、または。親や配偶者が勤める社宅に同居している場合や、現在職員住宅に入居している人が、11月以降に住居を購入したり、賃貸住宅に転居した場合には、住居手当分が算入されないことになります。
 第4に大学院研究科担当手当についてです。「平成16年9月時点での勤務状況を基に本則を適用した額」というものですが、今年度は博士課程の院生を指導していないが、来年度は博士課程の院生を指導する者にとっては、不利な算定方法です。逆の場合は、有利になります。
 第5に日額特殊勤務手当についてです。「平成16年度4月から9月の勤務実績に応じて支給された額の2倍の額」というものですが、前期に夜間授業手当を受取っていて、後期には夜間授業手当を受取っていない者には有利ですが、その逆のケースは不利になります。
 以上のような点を合計した額が旧制度の試算年収とされています。17年度の試算年俸は、旧制度の試算年収を下回らない額とされています。年俸制の場合は、50万円刻み(上位の方は25万円刻み)ですから、ある人は499000円上がることもありますし、1000円しか上がらない人もいます。しかし、上記のような点が考慮されれば、1000円しか上がらないものが、実はもう一つ上位の年俸となるケースもあるのです。
 したがって、旧制度の試算年収の根拠を確かめる必要があります。以上のような点から、全く不合理な試算年俸と言わざるをえません。
 また、団体交渉での組合の質問に対する回答には、次のようなものもありました。

  組合 「年俸制の昇給に関する規定は、どうなっているのか」
  当局 「内部での検討は行っているが、経営準備室運営会議には、提案したことも、説明したこともない」
  組合 「年俸制の場合、基本給は下がることはないのか」
  当局 「基本給は下がることはない」
  組合 「今回の照会で年俸制を選択して、4月に『やっぱり旧制度を選びたい』というのは可能か。その場合、何らかの不利になることはあるのか」
  当局 「4月の契約の時点で、旧制度を選択し直すことも可能。その場合、ペナルティーはない」
  組合 「選択する制度によって、勤務時間、研究費、教育・研究条件、相当する校務などに差異を設けるのか」
  当局 「選択する制度により、勤務時間、研究費、教育・研究条件、相当する校務などに差異は設けない」